ユーリとエマ 89
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ユーリは、フィリアとグリードがお互いに気持ちを伝えあっているのを見て、なんだかとても微笑ましくなった。
そして、その日からその様子を思い出してはにやにやとしてしまう。
花壇の花の手入れをしながらまた思い出しにやにやとしていると、ふと、目の前で一生懸命に花の世話をするエマが目に入った。
鼻に土をつけているのにも気付かないほど集中して頑張る姿はとても可愛らしい。
「エマ。鼻に土が付いているよ。」
笑いながらそう声をかけると、鼻をこすり土をさらに広げてしまう。
「あらら。広がったよ。待って。」
手袋を外し、エマの側に行くとハンカチでエマの土を拭った。
すると、エマは顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに顔をそらす。
「あ、、、ありがとうございます。」
ユーリはにこにこと笑うと言った。
「お礼は目を見ていってほしいな。」
意地悪だと言うのは分かっていても、エマが可愛くて言ってしまう。
エマは、恥ずかしそうに顔を上げると、ユーリの顔を見上げた。
「ユーリ様の意地悪。でもありがとうございます。」
少し怒ったような口ぶりも、可愛くて、ユーリは額に手を当てて、天を仰ぐと呟いた。
「はぁ、エマが可愛い。」
花壇の世話を終えて二人は荷物をまとめると、学園の寮まで一緒に歩いていく。
二人で並んで歩いているだけで幸せな気持ちになるなんて、ユーリは入学当初は思っても見なかった。
ふと足を止め、桜の木の下に差し掛かると、一つだけ蕾が開き、可愛らしく桜が咲いていた。
「可愛いね。」
「はい!でも、、、寂しそう。」
桜の花にまで心を痛めるエマに、ユーリも思わず頷いた。
「そうだね。もう一つ咲けば良いのに。」
その時であった。
小さな蕾がその咲いている横に急に膨らむとゆっくりと花開いた。
精霊のイタズラであろうか。
「まあ!ユーリ様!素敵ですわね。精霊様、ありがとうございます。」
にこにこと桜の花を見つめるエマに、ユーリは心の中が暖かくなる。
「エマ?」
「はい。ユーリ様。」
ユーリは、エマの髪を手で撫で、そしてその頬に手を添わせた。
「僕は、まだ未熟で不甲斐ないけれど、エマの事をとても大切に思っているよ。」
エマはその言葉に顔を赤くすると言った。
「はい。私もです。」
「エマ好きだよ。僕の婚約者になってくれてありがとう。」
その言葉に、エマの顔は真っ赤に染まった。
「はい。私も大好きです。」
二人は手を繋ぎ、寮へと帰っていった。
フィリアは、そんな二人の姿に、ハンカチを目頭に当てて涙を拭く。
「はぁ。幸せ。ありがとうございます。」
そんなフィリアを抱き締めたいのに、後ろから、ニフエルに睨まれもどかしいグリードであった。
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