攻略キャラに会いました 8
グリードさんは過保護を拗らせていきそうです。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
やっと4人共プレゼントが決まりほっとしているとシオンが口を開いた。
「世話になった。礼をする。」
「たしかにそうだな。ちょっと疲れたし、お茶にでもするか。」
「それなら、新しくできたスイーツの店に行こうよ。」
「男4人もいるのにか、、、」
「女の子いるからいいじゃないか。」
すると、視線が集まるが、何故か哀れなものを見るかのような目線。
「どんな外見でも、女子は女子です。」
「い、いや、そんなこと思ってないよ?」
ユーリがフォローをするが、そういう時点でフォローにはならない。
「まぁ、とりあえずいこうぜ!」
カインが率先してあるき始め、みんながそれについて店を出た時であった。
「うわっ!」
いきなり路地から出て来た大柄な男にカインがぶつかり、よろめいた。
あ、これは誘拐ルート確定だなとフィリアは思っていた。
「おぅ、おぅ?あぶねーじゃねーか。」
「そっちがぶつかってきたんだろう!」
カインがそう言い返すと、路地から大柄な男が4人さらに現れた。
「人のせいにするたーひでーなぁ。ちょっと向こうで話をしようや。」
男達はカインを取り囲もうとしたが、すかさずカインの腕を掴み、ロイが自分達の方へと引き寄せた。
「お?なんだおちびさん達の遠足かぁ?」
「キレイな顔のちびばかりだな、、いや、1人ちんちくりんがいるな。」
おい誰だ!ちんちくりん言ったのは!
たしかに、さすが攻略キャラだけあって4人共見目が麗しい。4人の周りだけキレイなお花の背景が見えそうだ。
「こりゃー上玉だな。」
男達は下世話な笑みを浮かべている。
全身の鳥肌がたち、嫌悪感を感じた。
4人はさすがというか、小さくても紳士である。フィリアを守るように立ち、身構えている。
「どけよ。大の大人がこんなことして恥ずかしくねーのか?」
「恥ずかしくねーよー。さぁ、向こうに行こうか。」
そう言うと、男達の仲間が後ろからも現れ八方塞がりとなる。
4人は目止めを合わせると、一斉に動き出し、男達の合間を縫い、懐に入ると腰に携えていた木刀でスネや、膝裏を攻撃して男達に膝をつかせていく。
フィリアは思わず見入り、さすが攻略キャラだなぁとのんびりと構えていた。
「おい!ぼーっとするな。お前は逃げろ!」
ロイにそう言われた時であった。
男の一人に腕を捕まれ持ち上げられる。
「一人つーかまーえた。、、、ん?お前、よくよくみりゃーじょうだ、、、、ぎゃー!!」
男が突然悲鳴を上げたかと思えば、崩れるように倒れる。
フィリアは押しつぶされると慌てて身を翻そうとした。次の瞬間、体がふわりと浮き上がる。
何かと思えば、すでに居心地の良い腕の中のへと収めされていた。
「、、、グリード。私なら平気なのに。」
腕の中にいるフィリアの肩に顔を埋めると、ぐりぐりと顔をこすりつけてくる。
なんのご褒美ですか?可愛い。
「心臓が止まるかと思った。心配させるな。」
「大丈夫なのに。」
「お前ら、我が姫を怖がらせた罪はおもいぞ。」
「怖がってもないもん。」
いや、本当はちょっぴり怖かったです。腕を引っ張られて持ち上げられるなんて初体験ですよ。
グリードは、男たちを見据えると、フィリアを抱きかかえたまま、男たちの間に入り、蹴りで次々と倒していく。
攻略キャラ達は驚き、巻き込まれないように横に避けた。
フィリアは抱きかかえられたまま、グリードが飛ぶわ回るわで、目が回りそうである。
そして、その場には男達の山ができた。
グリードは、フィリアを地面に下ろすと、怪我をしていないか慌てて確かめてくる。
「あ、、、あの。助けてくれてありがとうございます。」
「すごいな貴方!」
「礼をいいます。助かりました。」
「ありがとう。」
4人はキラキラした瞳でグリードを見つめるが、グリードの目は冷たい。
体を向き直すと、冷たい殺気を放つ。
体が動かなくなり、背筋が泡立つ。
空気が一瞬で変った。
「小童共。我が姫を危険に晒すとは、覚悟は出来ているのだろうな。」
初めて感じる命の危機。全身が危険信号を告げる。
それなのに、体が動かない。
「グリードやめて。大人げない。それより、だっこして?」
その言葉に殺気が霧散する。
グリードの表情はやわらぎ、すぐさまフィリアを抱き上げる。
4人は呼吸するのを忘れており、慌てて息を吐き、息を吸う。
まだ鳥肌がたっている。
「なんかごめんなさいね。それじゃあ貴方達、ちゃんと婚約者様を大切にするのよ。じゃあね。」
『え?』
目の前から一瞬で2人は姿を消してしまった。
残された4人はただ呆然と何が起こったのかと辺りを見回すばかりであった。
悪役令嬢も早く出したいです。
読んで下さりありがとうございました!