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第一の試練 73

いつも読んで下さりありがとうございます!


 聖なる丘には、石の柱が四本立っており、それぞれに指輪をはめ込む箇所がある。


 ゲームでした時はワクワクと楽しんでいたが、これから起こる事を考えるとワクワクなどできるはずもなかった。


 試練は4つ。


 フィリアは、大きく息を吐くと四本の柱の中央に跪き、祈りを捧げた。


 すると、柱が光り輝き始める。


 1つ目の試練は、春の試練。


 フィリアはグリードを思うと、目を閉じた。




 

 目を開けると、辺りは白いモヤで包まれていたが、次第にその輪郭がはっきりとしだす。


 美しく花々が咲き誇り、そして、彼がそこにはいた。


「フィリア嬢。見て。きれいな花が咲いたんだ。」


 そこに立っているのはユーリの姿をしたもの。


 フィリアは覚悟を決めると一歩前へと進んだ。


「美しいですね。」


「うん。だから、、、」


 ユーリは手でその花をちぎってしまう。


「君にあげる。」


 花を差し出され、フィリアはゆっくりとそれを受け取った。


「偽物のヒロインにピッタリの花だね。」


 世界が暗転し、暗い空間に体が浮遊する。


 ユーリの声だけが気持ち悪く響きわたる。


「偽物のくせにこの世界に紛れ込んで、何をしているの?」


「悪役令嬢の恋を応援?君になんて応援されたくないだろ。」


「グリードを助ける?グリードがさらわれた時に何もできなかった君が?」


 ガンガンと頭に叩きつけるかのように言葉が降ってくる。


 それにフィリアはしっかり言葉を返す。その言葉に揺らぐ姿は見せない。


「私は私よ?偽物も本物もないわ。応援はしたいからするの。グリードの事だって助けてみせる!」


 そして眼前に突如フィリアが現れる。


「偽物。」


「偽物」


「偽物。返して。」


「応援?バカね。」


「ユーリ様は私のもの。」


「悪役令嬢のものではないわ。」


「偽物。」


 フィリアは、ゆっくりと呼吸を整える。


 そして、にっこりと笑うと目の前で睨みつけてくるフィリアを抱きしめた。


「ふふ。私は私よ。それにね悪役令嬢を応援したいの。」


「自分が幸せになるルートを知っているのにバカなの?」


「幸せは、人によって形を変えるものだわ。それに私にはグリードがいる。」


「偽物のくせに、欲張りだわ。貴方がほしいのはグリード?それとも悪役令嬢の恋の成就?」


「ふふ。どっちも!」


「偽物の貴方にそんな力はないわ。」


「たしかに、私自身にはそんな力はないわ。でもね、グリードを助けられるように私を信じて皆が力を貸してくれたからここにこれた。指輪がその証拠。悪役令嬢の恋は、令嬢達が努力しているからこそ上手くいってきているの。」


「何を言っても、こんなにびくともしない人は初めてだわ。」


「大切なものを取り返す為だもの。」


 それはまた姿を変え、ユーリの姿へと変わる。


 フィリアは抱きしめていた体を離そうとすると、抱きしめられた。


「ふふ。第一の試練合格。こんな不可解な者は初めてだ!次の試練も頑張って。君に聖なる歌のかけらをたくそう。」


 フィリアの喉にユーリが触れると暖かさと頭の中に歌が刻まれる。


「第二の試練も頑張って。」


 幻だとわかっていてもユーリに応援されているようで嬉しく感じた。


 自分の弱いところを揺さぶる試練の終わりに、フィリアは息をついた。






また読んでいただけたら嬉しいです!

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