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トキヤ~異世界①確認~

眩しすぎる光も消え、俺は目を開けた。


「演出過多な気がするんだよなぁ……」


転送後は危険な場所ではないと言われていたが、転送先で目を閉じたまましばらく棒立ちというのもいささか不安があったのだが、どうやら本当に安全な場所に送られたようだ。

とりあえず、周囲を見回してみる。


「周りは木だらけ……というか、これは森だな。それに……空はあるな。洞窟ではないか?いや、洞窟内部に空があるってことも考えられるか……。空が一部明るくなっているってことは明け方か?俺の時計は5時を指さしているけど。この世界の時間と地球の時間が一緒ってことが確認できないから、結局分からないな……。それと、ここはどこだ?」


異世界デビューにも関わらず、俺はかなり冷静だった。というよりも、今までのラノベ知識が、俺を冷静にさせていた。

こういう世界では、慌てた奴から死んでいくのだ。

再度周囲を見回してみる。やはり、町に転送されたわけではないようだ。

周囲を見回してみて、ここが森であることは間違いない。しかし、ファンタジーによく見られる樹齢何万年というレベルの樹木ではなく、いたって普通の樹木が立ち並んでいる。

これなら適当に歩いていても森を抜けられるかもれない。

それに、異世界人だとバレてはいけないということだったので、こんなところに飛ばされたのだろう。調停者からの気遣いといったところだろうか。


「なんにせよ、きちんと指定しなかった俺が悪いってか。」


開始地点まで指定できたのかという気持ちと、それならそれできちんと書いておけば良かったという思いを抱きながら、俺は次に自分の状態を確認することにした。


まずは見た目から。

 


「布の服」


 

本当に初期装備だ。これに関しても、指定しなかった俺が悪いのだろうが、せめて旅人の服でも良かっただろうに……。


次はステータスだ。


メニューウインドを操作してステータスを確認しようと思ったのだが、どうやってメニューを表示するのだろうか。

異世界ものなら、指をスライドさせたり、画面端にステータスアイコンがあったりするのだが……。


「お、あった。」


視界端にアイコンを複数発見した。

俺は、そのアイコンをタップしたものの、指は空中を指すだけだった。

どうやら、タップするというわけではないようだ。

次の手段として、とりあえず念じてみた。

あるラノベでは、戦闘中に念じるだけで魔法が発動したりしていたので、それに倣ってみた。すると、視界端にステータス表示が現れたのだが……これはあまりにも小さすぎる。

もっと大きくなればいいのになんて思っていると、なんと大きさが最適化された。


無駄に高機能だ。


だが、こんなものを見せられては、『異世界』だと認識せざるを得ない。こんなことを言うのは今更だが、実は半分疑っていたのだ。しかし、およそ地球に無いだろう技術を見せつけられては、信じるほかはあるまい。

便利な技術に感心しながらも、俺はステータスを確認する。


 ・名前   トキヤ

 ・性別   男

 ・年齢   15

 ・種族   ヒューマン

 ・職業   勇者の卵

 ・称号   なし

 ・レベル  1

 ・力    30

 ・素早さ  40

 ・体力   60

 ・賢さ   100

 ・運のよさ 5

 ・最大HP 120

 ・最大MP 150

 ・攻撃力  60

 ・守備力  5

 ・装備品  布の服 布のズボン 靴

 ・所持金  0


「おぉ…。」


嬉しさのあまり声が出てしまった。

職業欄に『勇者』の文字があったのだ。これで勇者スキルはとりあえず確定だ。

それにしても、レベル1の素手で攻撃力60というのは高すぎる気がする。


これは勇者補正のおかげだろう。


他の初期値にしてもかなりぶっ飛んだ数字だとは思うが、運のよさと守備力に関してはどうだろうと思ってしまう。

運のよさはとりあえずいいとして、守備力の低さは無視できない。

肉体の強度が弱いという意味なのか、それとも、装備品の守備力が反映されているだけなのか。


どちらにせよ、この数値の低さはまずい。


この場所が、ゲーム世界と同じように、低レベルの魔物だけがエンカウントする森であるならば問題ないのだが、物語中盤のフィールドであるならば話は変わってくる。

なにせ、俺が指定していないのだ。

もしかすると、かなり強い魔物が登場する可能性だって否定できない。

もし、ハイレベルの魔物と戦闘にでもなった場合、この守備力だと魔物の攻撃はほぼ素通りだろう。

『みのまもり』みたいな隠しパラメータが存在しないのなら、俺の防御力は紙切れだ。

隠しパラメータについては、魔物の攻撃を受ければ判明するのだが、いきなり魔物の攻撃を受けるなんて無謀なことはできない。

せっかく転送したのに、死亡しましたなんてことになったら笑えない。

どうしたものかと考えてみたが、相変わらず何も思い浮かばないので、俺は違うことに思考を移した。


『靴も装備品に入っているのか……』


装備品に靴が含まれていることに驚いた。きっとこの世界には、特別な効果のある靴が存在するのだろう。

装備品としては、服上、服下、靴という種類分けがされているのだろう。ここから想像するに、頭に関する装備品も存在するだろうが、今、俺が装備していないということで、ここには表示されていないのだろう。

他にも、アクセサリー類なんかも存在するのだろうか。まぁ、どのゲームにも存在しているものは、この世界にもあるだろう。

どんな効果があるのかという期待を胸に、俺は装備品の考察を終えた。



『運のよさはどうだろう……』


地球にいた頃から運がなかった……いや、妹運には恵まれていたな。

よくよく思い返してみれば、俺の運はそうでもなかったが、妹の運のよさはとんでもないレベルだった。

商店街でクジを引けば必ず3等以上を引き当てるし、ビンゴ大会では4回で揃っている時もあった。

物は試しにと宝くじを買わせたことがあったのだが、100万円の高額当選を果たした時は心底驚いた。

何度か買えば一生暮らしていけるんじゃないかと言ってみたが、『人間真面目にコツコツとだよ』と諭されてしまった。


話がズレたので戻そう。


運が低かったらどうなるのか考えてみた。

会心率やドロップ率の低下、あるいは、バットステータスにかかる確率なんてものに関係するのではないだろうか。だが、その程度であるなら今は気にすることもないだろう。

即死耐性なんかが下がるとかなら考えないといけないが、実験ができない以上、どうすることもできない。

そこまで考えて、俺はステータスの次のページに意識を向けた。

すると、そのページには、俺が取得しているスキル名が記されていた。

どうやら、ここがスキルページのようだ。


「頼むぞ。」


俺は気合いを入れなおして確認画面を注視した。


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