逃げるなんて許されない 4
ドクンッ────
心臓の動きが早くなる。姿を見ただけで冷や汗が止まらない。苦しい。怖い。
そんな私の気も知らずに2人は近付いてくる。
「お、や、やっほ!そろそろ帰ろっか!」
…声は震えていなかっただろうか。バレていないだろうか。そんな事を気にしながら昇降口へと向かう。
「あーークラス離れたねー。めっちゃ残念ー。」
柚月にそう言われ
「なーホントに。一緒が良かったー。」
と返すしか出来ない私。
正直今回クラスが離れたのはかなり嬉しい。柚月は嘘ばかりつく。機嫌を損ねたら、ありもしない嘘ばかり言いふらされる。だから面倒なのだ。未夢は同じクラスになってしまったようだ。…今度遊ぶ時話でも聞いてやろう。
心の中で勝手に呟きながら3人で坂を降りていく。今日からこんな所を毎日毎日登校するのかと思うとかなりしんどいな。
「毎日毎日この坂で登校するとかめっちゃ嫌なんだけどーw」
と柚月が言う。
「めっちゃ分かる。しんどいよなー」
まさか同じことを考えているとは。無視するわけにもいかないから、軽く返事をする。早く家に帰ってアニメを見たい。
ようやく2人の家の前まで来た。未夢と柚月は同じ団地に住んでいる。私は横の団地だ。
「それじゃあ、ばいばーい。」
「また明日ー。」
2人別れを告げ、やっと家に着いた。せいぜい10分程度なのに、1時間歩いたように感じられた。
「あぁー…疲れたぁー……。」
リビングに倒れ込み1人呟く。制服を脱ぐことすら面倒くさい。しかし、変にシワが付いてしまっても嫌なので着替えることに。殆どがボタンで止められているから脱ぎやすい、が髪が引っかかりボサボサになってしまった。
あー、やっちった、なんて思ったがどうせ解くしいいか、と気にしなかった。




