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エピローグ

 その夜。

 全てが終わった後。一人店内に残されたすみれは、いつもの様に両親の遺影を前にしていた。

「お父さん、お母さん、ごめんね。私負けちゃった。でも相手はたっくんなんだもん、しょうがないよね」

 写真を見上げる。

 二人は、心なしかいつもより優しく微笑んでいる様に感じられた。

「あーあ、悔しいなぁ。もう一回中国行っちゃおうかなぁ」

 そんな事を言いながらも、すみれの表情には怒りも悔しさも含まれてはいない。むしろ彼女はここ数年間感じた事の無い、実に清々しい心境を味わっていた。

 すみれは翻って、店内に飾られた完食記念のポラロイド写真を見つめる。

 写真の中の匠は溺死寸前の形相だったが、それでも無理繰り作った笑顔で、賞金の十万円を扇状に広げてピースサインを出していた。



 撮影が終わった後――

 匠は、すみれの両親が眠る墓所に足を運んでくれた。

 そして、顕花した後に、

「同業が働いた行為を、同じフードファイターとして謝罪致します」

 と、彼は頭を下げたのだった。

 自分がフードファイターである事に誇りを持っている彼は、同業者の行った愚行に忸怩たる思いを抱いていたに、違いない。

 しかし、それゆえに同じ『フードファイター』として謝罪をする彼の真摯な心根を、すみれはとても嬉しく感じていた。


「ありがとう、たっくん……」

 愛しむ口調で呟いて、写真を手に取り、匠の顔を人差し指で優しく撫で付ける。

 熱い涙がひとしずく、頬を伝ってすべり落ちる。その涙すらも、心地良く感じる事が今なら出来る。


 すみれは、自分が復讐の呪縛から解き放たれた事を実感していた。



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