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『山の中、小さな出来事』

 生まれて間もなく山に捨てられてしまった子犬は、山の中で餌を獲る方法も雨風を防ぐ術も知らなかった。

自然界で命を永らえるには、親や仲間の庇護を得られるか類い希なる運に恵まれた生き物たちだけだった。
 
洋犬や和犬。大型犬や小型犬。猟犬に愛玩犬。年老いた犬や幼犬。群れを組んで山の中を徘徊する犬。一頭で行動する犬。山の中は犬の見本市だった。

雑多な種類の犬が塵芥屑のように捨てられていた。

元々は飼い犬として愛でられていた犬もいたはずだったが、人間の勝手な都合で山に放り出されてしまった犬《もの》も沢山いた。

今では野良犬《(こう》、野良犬と卑下されて人間の目の敵。

山の中で生きる動物は犬や猫だけではなかった。熊や猪、狸に兎などが棲息していた。生き物たちは互いの餌場を荒らす事なく、自分の領域内で餌を摂取し穏やかに暮らしていた。 

 山は四季折々、明媚な風景に彩られていたが、ゴルフ場造成のため広範囲に渡り山が平らげられた。夜間、人が絶えたゴルフ場は獰猛な番犬が牙を研ぎ待ち構えていた。

 番犬は侵入者を発見すると容赦なく殺戮した。
 
 広範囲なゴルフ場のために餌場を狭められた生き物たちは、餌を求め山を徘徊するようになった。

 強い生き物は弱者を襲った。
 
 弱い生き物たちは仕方なく町に降り餌を求めた。町で人間に姿を見られたら最後、決して無事に戻って来られないと知ってはいたが止む負えなかった。

 生き物たちはどうして人間に追い回されるのか解らなかった。山で食べられない餌を探しに町に下りただけ、ただ腹が減ったから……餌を食べたいだけだった。
プロローグ
2011/05/20 16:32
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