石は転がり始める
川崎 優花は不思議な衝動に駆られて骨董屋と書かれたなぞの店に入ってしまう。さあ彼女を待ち受けているものとは、、、。
今思いかえしてみればなぜ骨董屋に入ったのか分からないが、1つ言える事がある。
きっと骨董屋には何か私を魅了する物があったのだろう、、、。
それはさておき本題に入る。
私は骨董屋に入った。骨董屋の外見は薄汚く気味が悪いところだと思ったが中は洋風なつくりで意外ときれいだった。
私がきょろきょろしていたらいきなり
「来たわね」
という声が店の奥からこだまして来た。
不法侵入か何かと間違えられたと思って私はすぐにこの場から立ち去ろうとしていたとき奥から人がこっちに歩いてきた。
その声の主は女性だった。いや大人なのだろうか?肌はとてもつやつやしていて10代のようだが顔はとても美しく大人のようにも見える。服は花柄の着物で現代ではあまり見かけない着物だった。
女は私に話しかけてきた。
「あなたがこの店に入ったのは必然。偶然ではないわ」
「なぜそう思うのですか?」私は恐る恐る聞き返した。
「人は誰しもかなえたい夢があるわ。それをかなえるのがこの店、、。さあ御覧なさい。あなたの心に引き付けられる物はある?」
女からそういわれた私はじっくり店の中を眺めていた。すると窓際に置いてあるいかにも古そうな黒い箱に私は引き付けられた。
「窓際においてあるあの黒い箱が気になります。」
女は窓際からほこりを被った黒い箱を持ってきた。
「はいこれでしょ」
「あ、ありがとうございます」
私は黒い箱を開けた。
「ピキッ」
その瞬間何かが崩れる音がした。気のせいか、、、。
いや気のせいではなかった。私の愚かさが身を滅ぼす音。
箱の中には包帯でぐるぐる巻きにされたミイラの手?が入っていた。ん?まてよ。これはどこかで見たことがあるな。
たしかサキ様の手とかいう名前だったかな、、、
「それはサキ様の手。願いをかなえてくれる不思議な手よ。江戸時代に来たアヤカシの手。不思議な魔力が宿っているの。その手指が6本あるでしょ。願いがかなうごとに指が折れるわ」
「そっかどっかで見たことがあると思ってたけど祖父の家にあった図鑑の中に書いてあったやつだ。」
やっと私は思い出した。
「それはあなたには勧めないわ。」
「お願いしますどうしても欲しいんです。」いつの間にか私は箱の魔力に魅せられていた。
「あげてもいいわ。でも約束して願いはかなえないと、、、。」女は重たそうな顔でそういった。
「ありがとうございます。御代は、、」
「もうもらったわ、、、。」
なぜお金が要らないのかよく分からなかったが財布の中は空だったのでラッキーだと思った。
私はサキ様の手を急いでカバンにいれてその場を立ち去ろうとした。
そのとき小さな声で女が
「石が転がり始めたわ。」とかすかに言った気がしたが願いをかなえてくれるものを手に入れて舞い上がっていたので気にせずに店を出た、、。」