幼馴染からもらった年賀状が白紙だった
※なろうラジオ大賞7参加作品です。
幼馴染の葵から白紙の年賀状が届いた。
宛名は書いてあるから無事に届いたけど、中身が真っ白。俺はしばらく白紙を見つめた。
「もしかして――炙り出し?」
絶対炙り出しだ。
葵に白紙だったと笑ったら「炙り出しにも気づかないなんて」と笑い返されるに決まっている。
高校生だからライターなんて持ってない。仕方なくコンロで炙ることにした。紙が燃えないよう火から少し離した位置で、わくわくしながら慎重に炙った。
「…………焦げた」
なんてことだ。
ただ焦げた。黒く焦げただけだった。
葵からの挑戦状だと思い込んでたのに、ただのうっかりらしい。
ふぅ、とため息をついた俺は、幼馴染に文句を言いに行くことにした。
「葵、これ白紙だったぞ」
「……なんで火事になりかけてるの?」
驚く葵を見て、俺は罪悪感を覚えた。
「炙り出しだと思ったんだよ」
「なるほどね、それで焦がしちゃったと」
「年賀状のお年玉くじまで燃えたし、文句言いに来た」
「ほんと、陽ちゃんって脳筋だよね」
その後、一緒に初詣に行った。
❁
バレンタインに葵からチョコをもらった。
俺はずっと葵ひと筋だから、ガッツポーズだ。チョコと一緒に添えられていたカードを見て、俺は固まった。
「……また書き忘れか」
県内有数の進学校に通ってるくせに、うっかりしてるな。でも、そういうギャップもかわいい。
手作りのトリュフチョコ。珈琲を淹れて食べようと思い、ケトルのスイッチを入れた。何気なくついていたテレビを見ていると――
――パスポートや紙幣に使われている透明インクは、ブラックライトに当てると文字が浮かびあがるんです!
「まさか!」
俺は急いで自転車を飛ばし、近所の100円ショップに駆け込んだ。
ブラックライトペンを購入して、はやる気持ちを抑えながら白紙のカードにライトを当ててみる。
『陽ちゃん、好きです』
「まじか……!!」
浮かび上がった文字に胸が歓喜で震える。すごく嬉しくて、叫んだ。すぐに俺の気持ちを伝えたかったけど、葵も驚かせたい。
ホワイトデー当日、葵に手紙を書いて、ブラックライトペンと一緒に渡した。
『俺もずっと、葵が好きだよ』
葵と俺が正式に付き合うのは、それから、わずか15分後のことだった――
読んでいただき、ありがとうございました!
某ダイ◯ーにマジックライトペンという商品があるんですけど、ブラックライトを当てるとクッキリハッキリ文字が見えるんですよ!
ちょっとびっくりして、すごい!なにこれ!100円なのにすごい!って沢山文字を書きたくなるペンでした(笑)
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