8 念願!の勇者召喚されるセイちゃん。
夏も近づき、大分活動しやすい時期になったころ・・「小学校の修学旅行ツアコンお願いね」と指示された俺達。
ちなみに、我が社は【派遣】とは言え、政府による【同一労働同一賃金】と言うスローガンのおかげで、大手も中小も格差が無くなっていた【らしい】。常務の受け売りである。
正社員だし、保険も効く。年金は401kと言う個人選択タイプだが、そこは大手も同じ条件【らしい】。
「ヤングの聖二は、もっと経験を積みなさい!」と言う常務オバサンの指示で、いつもは他のベテラン添乗員さんが担当する修学旅行のツアコンを任せてもらったのだ。
「ところで、今年の通訳士試験は受けるの?」と言われ・・「はあ、一応・・」と自信なさげに答えると・・
「ホワイ!聖二は仕事は出来るのだから、後は英語の学力だけね!」と激励してくれるのだが、持って生まれた学力の無さゆえに、19歳だった昨年も落ちてしまい今年も自信が無かったのだ。
<ワイワイ> <ガヤガヤ> 「みなさん。流氷は楽しかったですか?」<ハーイ!>
「今日は特別に私の実家で飼っている【牛】さんを見学に行きましょう!」
最近は疫病対策のため、牧場は見学者を入れないところが増えた。そのため社員である自分の実家の牧場・農場見学を【営業】のネタにして、これまで取れなかった修学旅行のツアコンを勝ち取った訳だ。
「聖二君は営業の才能があるねえ。羨ましい限りだよ」と言う専務オジサンだが・・
彼は【5か国語】を話す優秀なツアコンとして、全国を渡り歩いて来た大ベテランらしいのだが、生い立ちについては話さない不思議な人だった。
<あ!月が2つあるよ!> <本当だ!十字架に光っている>
俺は不安?期待?に駆られた・・5歳の時に見た【あの光景】が再び出現したのだから・・
<勇者よ!我が求めに応じたまえ・・> <ピカッ!> <・・・・・・>
そしてオジサン・俺・20名の子供達が【魔法陣】に包まれて・・・
<う~ん> <ここはどこ?> <専務? 子供達は・・> <・・・私のせいだ!>
気が付くと【城の広間】に倒れていたのだった。
「ワッハッハー!よくぞ来てくれた勇者よ!ワシの助けをして欲しい!」
威厳の無い感じの声が聞こえた・・<ムニャ ムニャ> 眠い目を擦ると・・
趣味の悪い王冠・ガウン・王笏杖悪役決定!と言う感じの王様が椅子に座りながら、俺達を見下していたのだ。
周りに居た取り巻き連中も<グへへへ> <ホッホッホ>とか、とにかく品が無かった。
そんな中・・宇宙鳥?全体的に白いが、一部黒が混じった鳥人が居たが・・
「そいつを塔に戻しておけ!」と王が命令し、甲冑の2人から腕(羽)を掴まれて連行され、うつむく鳥人に見覚えは無かったのだが、胸に【赤い宝石】のペンダントが見えた。