4 受験に失敗し、就職するセイちゃん。
<男満別空港発~星見市・朝日山市経由~札束市行きのバスが発車しま~す>
俺は学生服のまま、髪を七三に分けて札束市菊花町にある面接会場に向かったのだ。
<3月末はまだ【ひまわり】の時期ではないが、空港から見る【ひまわり畑】は天空町の名物の1つでもある。
ちなみに今日は朝6時頃からバスに乗り~6時間後の午後零時頃に菊花町で降り、会場に向かった。
<シ~ン> 同会場は、今回面接を受ける【ヒーロ・トップ・ツアー】の会社が入っているビルの一室らしい。
面接官は【優しいおじさん】【シッカリ者のオバサン】【無関心な老人】の3名だった。
俺は、これまで自分が頑張って来た事などを正直に話したのだが・・・
<ハイ。わかりましたお疲れさま>と簡単に面接が終わったので「ダメだったかな」と少し気落ちして帰路についたのだった。
3月末になると【ヒーロトップツアー】から封書が届き、中を開けると・・
<弊社に対し、貴方の【登録】が承諾されました。つきましては・・>ここは派遣会社だと分かった。
卒業式を待たずに、拾ってくれた会社に顔を出すと、受付に居たのは【シッカリ者のオバサン】だった。
「OH!・・セイジ・イガラシね!やる気があっていいわね。シッカリおやんなさい」と激励された。
「事務室に行くと【優しいおじさん】が居て「最初は僕とペアを組むことが多いだろうけど、僕もこの業界は長いので役に立つと思うよ」と言いニコニコしていた。
そして「支社長!新人君が【一番】に顔をだしましたよ!」と言った相手は【無関心な老人】だったのだ。
俺は全社員(3名)から面接してもらっていたのか・・自分が物知らずだと痛感したのだった。
+++++それからどうした++++
「ただいま父さん、母さん」と帰宅の挨拶をすると、両親は【ハウス】の片づけをしていた。普通の農家ならば春は育苗の準備とか、種まきの準備なのだろうが我が【最北】の農園は少しことなる。
冬の氷点下に備えてハウスは【二重】であり、場合によっては間に【送風】し、空気の層をつくるのだ。そうして【1月取り】野菜を出荷するのが「ノフォーツカ流農法」である。
「おお。会社はどうだった?」「すまないねえ・・私立大学にやりたかったんだけど」両親に対して俺は・・
「スポーツも勉強も限界まで頑張ったんだ。これが俺の【ベスト】なんだから、褒めてくれればうれしいよ」と本心を伝えるのだ。
4月からツアコンとして働く事になった俺だが・・<五十嵐君。これコピーして> <セイちゃん。この封書郵便局に持って行って!> <肩を揉んでくれんかのお・・>
あれ?俺って【派遣社員】ではなかったのか?中小企業の新入社員みたいなのだが・・
俺は【オジサン】に対して「私は派遣社員だと聞いていたのですが、なんだか正社員みたいで、他の方に悪い気がするのです」と聞くと。
「ああ~わが社は【派遣会社】なので、君は派遣会社の【正社員】になるんですよ。」と教えてもらった。
「面接に来ていた方の1/3は合格して今は【即戦力】としてツアコン行っていますよ。業務連絡は【ネット】の時代でしょ!フフフ」と楽しそうにわらうのだった。