3 思春期になり挫折を覚えるセイちゃん。
そして俺は【10歳】になった。
あたりまえだが、兄は【15歳】である。
「兄さん返してよ~」 「チョットだけ!な・・だって【コレ】超クールじゃネエ!」
今年の4月から高校生になる兄は、少しグレてしまい、リーゼントに短ランをキメており、俺の【ネックレス】を隠れて付けて鏡に見ホレているのだった。
「それは僕が宇宙鳥さんと出会った【証拠】なんだから!」
そんな時だった・・
<勇者【セイイチ・イガラシ】よ!我の求めに応じ、魔王を倒したまえ!>
<ピカッ!>と兄の姿が【魔法陣】に包まれたかと思ったら・・・
風の様に消えてしまったのである。
俺は驚いて家から飛び出し「父さん!母さん!兄さんが・・突然消えちゃった」と言うと、家の脇にある【牛舎】に大型バスが止まっており・・
<ガヤガヤ・・> <ワイワイ・・>と、大勢の【少年・少女】が騒いでいたのだ。
「he disappeared nestala je elle a disparu 他消失了」
何処の言葉かわからないが、とにかく消えたのは兄だけでは無かったらしい。
俺を見つけた父親と母親から「トイレ休憩に来ていたジュニアオリンピックの選手が数名消えた」と聞いたのだった。
俺は「兄さんは勇者として呼ばれて行ったよ」と伝えると・・
<パシャパシャ> <ガヤガヤ>
「天空町のセイちゃん(今回は聖一)事件再びですか!」
「異世界に行ったのですか?」「宇宙では無いのですね!」
時代が【異世界ブーム】だったこともあり、我が家には連日マスコミが押し寄せたのだった。
++++それからどうした++++
聞かないで欲しい・・兄は頭も良く、運動も出来た。
今回のジュニアオリンピックの選手としてF海道の会場に行く予定だったのだ。
「五十嵐 聖二では無かったのだな・・」俺は失意でイッパイだった。
あの頃の俺は「兄さんがどんなに優れていても、宇宙人に呼ばれるのは【僕だ】と、変な自信を持っており、唯一の【拠り所】だったのだ。
1つだけ良いことがあったとしたら【天空町のセイちゃん】と揶揄われなくなったことだ。
その後の俺は一念発起!して「勇者召喚される男になるズラ!」と、運動を頑張った。
空手・柔道・陸上・水泳・・がんばったのだ!が・・<別の道を目指した方が今後の君の為だよ!>と【すべて】のコーチから言われた。
そして【高校生】になった。そのころは両親も【田んぼ】【麦畑】【牛舎】を生産組合の若い人に任せることにした。
僕は地元にある公立普通高校の【幅尻高校】に合格したので「よし!勉強で勇者を目指すぞ!」と時間を惜しんで猛勉強するも・・
<志望大学には残念ながら・・> 家庭に負担を掛けられないため【国公立】を受験したが、すべて落第した。実力不足だったのだろう。
遅ればせながら!と【就職】に切り替えるも・・<スポーツで有名だったら良かったのだけど> <スタートダッシュが遅かったねえ・・> 3年生の3学期から就職活動を始めても時すでに遅しで・・・
<F街道に支店がある全国グループの【ツアコン】会社の面接に行ってみないか!>と先生に紹介され、重い腰を上げて面接に向かったのだ。