2 【宇宙鳥】?のお父さん・お母さんの世話になるセイちゃん。
半年もすると、【宇宙鳥】のお母さんの話しも大分理解できるようになった。
子供だから頭が柔らかかったのだろう。
「僕の名前はコレだよ!」と言って、2人に漢字で名前を書いて見せたりもした。
「五十嵐 聖一一」少し【二】の字が下手なのは、ご愛敬だ。
【宇宙鳥】のお父さんは【宇宙王国】の役人らしく屋敷には多くの【宇宙鳥】の使用人がいたし、【宇宙鳥】の来客も多かった。
半年も居れば、大体の会話が理解出来たし【文字】も簡単なものなら読めるようになった。
そんなとき、お母さん鳥が【卵】を産んだのだ。
しかし卵は灰色で、2人は卵を見ながら悲しんだ。
「ああ・・また死産なのか」「あなたごめんなさい」
俺に気が付いた2人は「セイちゃんは心配しなくてもいいよ。おばさんの産んだ卵が孵化しないのだ。これも神の采配なのだろう」と俺を撫でるのだが、俺は納得がいかず卵を両手で抱いた。
そして「僕の【セージ】の力はいりません。この子にあげて下さい。どうか卵がかえりますように!」と祈ると・・<パアッ>と卵が光りに包まれて・・
<パリン>と殻が割れる音がしたのだった。
「やった!卵がかえった」・・<ピイピイ> 中から出て来たのは【頭が一部黒い鳥】だったが、元気に鳴く姿に俺は喜んだのだ。
「セイちゃん。ありがとう・・しかし良いのかい?セージ(聖人)の力を失って・・本当に申し訳ない」と言う宇宙鳥のお父さんだったが、俺はセージとか何が凄いのかわからなかったし、それよりも卵が孵った方が嬉しかったのだ。
半年後の【宇宙満月】の夜、俺は地球に帰還することにした。
宇宙鳥のお父さんは「セイちゃんは【聖人】の力を失ったので、もうこの世界には来れないだろう。娘を授けてくれたせめてものお礼を渡したい」と言って、俺の首に【青い宝石が付いたネックレス】を掛けてくれた。
「そのネックレスは【コレ】と一対のものなのよ」と言う宇宙鳥のお母さんの胸にも同じく青い宝石が付いたネックレスがあった。
「わかった。おいしい食事を沢山くれて、ありがとう。」とお礼を言う俺は【ドア】をくぐると・・また眠くなり・・
「聖二!大丈夫か・・セイちゃん!」と言う聞き覚えのある・・父親の声で目を覚ますと、そこは自宅の庭だった。
++++それからどうした+++
<パチパチ> <パシャパシャ> 連日テレビカメラを持った人が、家に押し寄せた。
「聖二君!行方不明になっていたけど何処にいたか覚えている?」
「うん。宇宙鳥のお父さんと、お母さんの所だよ」
時代は【UFOブーム】だったこともあり、たちまち俺は有名人になってしまった。
幼稚園に通い始めたが、テレビ・新聞・雑誌・ラジオなどが押し寄せて苦情となり、自宅で記者会見を開いたのだ。
<天空の聖ちゃん!宇宙から帰還す>の見出しで、俺は有名人になったが、5歳なので正直、興味はなかった。