10 異世界人だった専務のオジサン。
<この世界はミョルニールと呼ばれ> <この国はユトリヘルムと言い>
異世界に召喚されてから、俺やオジサンの他【小学生勇者】らが20名、座学を学んでいた。
「君たちは大変に優秀だ!計算も国語も完璧だ。歴史も直ぐに覚えてしまう。」と、教師連中はベタ褒めであった。
<俺ってば勉強で褒められたことなんて始めだ> <私も計算苦手だったのに、ここに来てから頭が冴える!>
勇者補正?なのだろうか、俺も体が軽いので剣術の稽古も楽しいのだ。
そんな中、憂鬱そうな人物が1人いた。専務オジサンである。
俺は練習終わりに専務に対して「何か思い詰めているのですか?家族とか・・」と余計な詮索をしてしまう。
専務は俺を見て「私が【都市伝説】好きだと話した事があったねえ」と言う。
俺は「はい。月刊ムーニーの愛読者だそうですね」と返す。
「私は【異世界人】なんだよ」と言う専務に対して俺は「まあ、私も異世界人ですが・・」と答えるが・・
「いいや・・何と言ったらいいのか、君は【アズガルド】と言う世界を知っているか?」と聞かれたので・・
「いいえ。私が知っているのは5歳の時に迷い込んだ【この】世界だけです」と正直に答えたのだ。
専務は「ほお・・自分から言い出すとは思わなかったよ。当時はF海道のニュースなんて中々報道されなかったのだが、月刊ムーニーで【天空町のセイちゃん】の記事を見て、これは異世界に行ったに違いないと思ったのだ。そして私がF海道に北上して流れていったとき聖二君と出会った訳なのだ」と言う。
「自分では、当時ブームだったUFOによる誘拐!だと思い込んでいましたから。亜人であるバードマン達を宇宙鳥とか言ってハハハ。恥ずかしい黒歴史ですよ」と言う俺に・・
専務は「今回の召喚で【アズガルド】に帰されたと思い、怖かったのだがあそこにはバードマンは存在しないので安心したんだよ」と言う。
俺は専務に「兄が勇者召喚され、そして私も召喚されました。恐らくは私が身に着けていたネックレスが【媒体】になったのだと思います」と告げた。
「そうか・・私のせいで巻き込んでしまったのではないか?と心配だったのだ」と言うオジサンは<ステータス・オープン>と言い、俺にも見せてくれた。
++++俺の【ステータス】++++++
種族:ヒューマン
年齢:58歳
LVレベル:111(成人平均30)
アビリティレベル:【走法B】【体術A】【泳法B】【刀法A】【盾術B】
MP(魔力):65(成人平均30)
HP(体力):67(成人平均30)
AGI(回避):61(成人平均30)
STR(攻撃力):87(成人平均30)
VIT(耐性):65(成人平均30)
INT(知性、並列思考):71(成人平均30)
MNP(精神力):89(成人平均30)
状態:強健!
スキル:【剣技A(剣豪)】
ギフト【島内人A】【ショップ】
***表示終わり***
「凄いじゃあないですか!剣豪って何ですか・・レベルが100越え?」俺は自分とかけ離れたステータスに驚いた。
「ありがとう。私の話を聞いてくれるかい」と言うオジサンは、身の上を話始めたのだった。
「私はただの人殺しなのだよ・・」




