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赤の地の女帝

目を開けると俺は知らない場所に居た。


周りは『秋』って感じで、紅葉が映えていた。


遠くにはどデカい城があった。


洋風な城じゃなくて和風の城が。


「ようこそ、こちらの世界へ」


「千秋」


そう聞き覚えのない声で名前を呼ばれ、


驚いて声のした方を振り向く。


と、浴衣姿の綺麗な女性が立っていた。


いかにも身分が高そうな女性が。


そういえばなんで俺の名前を知ってるんだ?


そう不思議に思っていると


「そう警戒なさるな」


「妾はこの赤の地の女帝である」


「御主の名は、千秋じゃろ?」


淡々と話した後、ニヤリと笑いながら問う。


「なんで名前..」


そう俺が言ったのと同時に


「妾は柧夜と申す」


「以後、お見知り置きを」


「かよ...」


なんだかこの人...


不気味だな。


ニヤリと笑う顔もそうだけど、


俺の名前を知ってる時点でおかしい。


「御主、得意なことはあるか?」


急に得意なことを聞かれ、


思わず俺は


「は?」


と声を漏らしてしまう。


明らかに自分より身分の高い人に向かって『は?』は失礼すぎた。


そう自分の中で反省しつつ、


「そうですね...」


と考え込むふりをする。


俺は絵が得意だ。


だけど本心を伝えると厄介なことになりそうだ。


「料理ですかね..」


得意でも不得意でもない料理。


俺はそう答えると


「ふむ..」


と言う。


「妾に嘘をつくと申すか..」


「ならば、御主は一生ここから出られないとでもするか?」


出られない?


どういうことだ?


このよく分からない赤の女帝とやらと


一生を過ごすという意味だろうか。


それは嫌に決まってる。


だってもう友達に会えないということだろ?


死んでも嫌に決まってる。


「...絵を描くことです」


俺は蚊の鳴くような声で小さくそう呟いた。


「じゃろうな」


「昔から御主は絵描きが好きじゃったな」


懐かしそうに思い出を語るように、


女帝はそう言った。


というか昔からって...


俺こいつに会ったことあるのか?


そんなはずないと思うけどな。

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