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episode1 夢

てことで第一章開始です。

「......きて。ジュ.........さいよ.....。」


誰かの声が聞こえる。

...母さんか?

だが、母さんならもっとガミガミと言う筈だ。

それに、何だか声が若い気がする。


「...起きて、ジュリ君。...きてってば!」


何だか口調が少しだけ強まった。

これはアレか?

寝ぼけて母さんの事を推しかなんかだと思ってるな?

起きろ、俺の脳。

寝てる場合じゃないぞ。

二度寝したら間違いなく次はどやされる。


「起きてって。...スゥーッ、起きてって言ってるじゃないの!!!!!」


思わず目を見開く。

が、思わず目を閉じた。

...え?

な、ナニコレ?

い、いいい意味わからない。

目の前の人、誰?

というか、ここ、何処?

何より、俺、なんか身体が心なしか重いような......?

でも、それでいていつもよりふわっと浮いているような、そんな気がする。


これは、んーと、夢?

どう考えても夢でしかない。

仮に夢じゃないならこれは何だ?

正夢?

いや、そういう意味じゃないだろ。

.........と、とにかく起きてって言われたし、起きないとやばいのかな。


「あのね、私、怒ってるんだよ?...今二度寝したら口聞いてやらないよ。」


「グテモーラ様はお厳しいですねぇ。勇者様もお疲れだったのでしょうし、ここは多めに見ても......。」


「あのさぁ、アンタがそうやってすぐ甘やかすからこうなってるんじゃないの!?私をそうやって仕立て上げないでくれる!?」


「まぁまぁ、いいじゃんか。それよりよ、どうしたんだよジュリ?いつもと違う環境だから疲れたか?」


え!?

今、俺の名前を!?

な、何でこの人たちが知ってるんだ?!

ま、ままままさか強盗!?

あるいは犯罪者とか。

俺に、な、何をしようって言うんだ?

......て思ったけど、俺の部屋のモノで価値ありそうなのってあんま無いな。

しかも、金は常に金欠だし。

仮に俺を攫ったところで、そこまで大した金は出ないだろ。

この人たちのニュアンス的に知り合いに話しかけているようだし、ひょっとして俺昨日誰かと通話しながら寝落ちしたのかな。

でも、通話できるネッ友もあんま居ないんだよな......。

と、とにかくこれ以上怒らせたら何をされるか分からないし、まずは起きよう。

目を開けてみる。


「ふぅ、ようやく起きたわね寝坊助さん。貴方ありえないわよ?夜番で寝るなんて。一体どんな教育を受けてきたのよ!......前々からアンタなんかが勇者だなんて思っても来なかったけど、こんな低能が私を従えるなんてムカつくわ!!」


え、なんかすごい怒られてない?

というかマジで、本当にこの人たち誰なの?

改めて周りを見てみる。

周りは............一面、樹だな。

どれもこれも高く聳え立ち、葉が生い茂っている。

これじゃ森じゃないか。

...え、森に居るの今。

何で?

全く状況がつかめない。

そして今、俺は木の下で幹を枕に寝ていたようだ。

どんな状況なんだ。


「まぁまぁ、そんな怒るなよ!...コイツぁいい奴だぜ。酒付き合いは良いし、女の趣味も悪くねえ。しかもこんなイケメンで気も遣えると来たもんだ。お陰で俺様にもおこぼれが入るしなぁっ!!そんな言うのは辞めとけよ!!」


そういうこの男の人は、恐らく完全にこの今の俺の腰巾着なんだろう。

実際、胡麻をするような話し方だ。

そして俺がイケメンというのは理解すら出来ないが、恐らくなんか弄られてるんじゃなかろうか。

酒は未成年だから飲んだことは無いし、女の陰は悲しいかな何もない。

そして人と話さないから気も遣った事はほぼ無い。

いや、むしろ関わらないという最低限の気は遣ってる、のかな。

髪型は.........ダメだ分からない。

なんというか、ヤンキーみたいな髪型だ。

美容院なんか言った事が無い。

筋骨隆々としていて、背中に何かを背負っている。

筋肉がカッコいい。

顔はなんだか、モデルみたいだ。

筋肉こそあるけれど、顔自体はそこまで厳つくない。

それどころか、むしろちょっとだらしない感じのイケメンだ。


「そうですよ。勇者様はいつもお疲れです。グテモーラ様はもう少し彼に気を遣ってさしあげたらいいのではありませんか?私は、このチームで如何に連携をとれるかがカギとなる気がします。...ただ、先ほどの酒と女性関係の話は見過ごせませんが。」


そういった子の人は、なんだか修道女みたいだ。

恰好がシスターのそれだ。

十字架のチョーカーをしている。

丁寧そうで、優しそうないい人っぽいぞ。

歳は俺より少し上くらいかな。

女優さんとか劇団員さんに居そうなとても品のある美人だ。

なんでこんな人が俺なんかに優しくするんだ???

というか、連携って何?

ゲームの話?

そもそも、勇者様って、俺の事なの?


「アンタたちねえ!私がどれ程心を鬼にしてコイツに言ってると思ってるの?!...私はただ、コイツに真っ当に生きて欲しいのよ!教養が無い事は仕方ないけれど、教えたってコイツ覚えないじゃない!!」


そしてこの怒っているグテモーラと呼ばれた女性は、ローブを着ている。

よく魔法使いの作品とかで見かけるタイプの普通のローブだ。

紫色でなかなかカッコいい。

そして杖を持っている。

この人たちは中二病集団なんだろうか。

こんな美人たちが、ねぇ。

それかコスプレイヤーなのかもしれない。

でも、その場合こんな作品見た事も無いな。

俺の知らないコアな作品なのかも。

顔は怒ってこそいるが、アイドルとか配信者に居そうな可愛い顔立ちだ。

なんなんだこの集団。


「ほら、ボサっとしてないで顔でも洗ってきなさいよ。何しているの?......というか、アンタまだ寝てるの?!いい加減にぃ......」


なんかまたイライラされている。

怖いので慌てて立ち上がる。

なんだ、この状況本当に。

朝起きたらなんか森の中に居て、知らないイケメンと美女と可愛い子に囲まれている。

しかもなんだか夜番がどうとかで怒られていて、彼らは俺の事を何故か知っている。

なぜ僕が寿理だと知っているんだ?

分からない。


とりあえずこのままぼーっとしているとまた怒られてしまう。

聞けば川のせせらぎが聞こえる。

そこまで行くか。

......ひょっとしたら、俺はまだ夢の中に居るのかもしれない。

うん、そうだ、そうに違いない。

おかしいよ、だって。

大体俺は本来ならば家に居た筈なんだ。

仮に巡り巡って家以外で寝たとしてもそれは学校しかない。

それ以外に行くところなど無いんだ。


せせらぎの音が近くなる。

少し歩くと川が流れていた。

どう見たって現実だ。

頬を抓ればちゃんと痛い。

何より、水しぶきが当たり涼しい感覚が来る、それが夢とは思えないんだ。

ひとまず顔を洗って............えぇ!?!?!?!?!?

誰これ!?

これ、俺!!!???

ちょっと待って欲しい。

これは俺ではない。

何だこれ。

意味が、分からないぞちょっと。

明らかに俺じゃない誰かだ。

嘘だろ。

おいおいおいおい、ひょっとしてこれって。

......ただ、少しだけ嬉しい。

何せ、超絶イケメンだったからである。

神は金髪、しかもよくイケメンがしている髪型だ。

清潔感もある、しかもスタイルも完璧だ。

これが、俺?


思わず水面に映る自分?の姿に見惚れていると、不意に声が聞こえた。


「おーい、早く洗ってこーい!!!グテモーラ、拗ねて待ってんぞーーーっ!!!」


「拗ねてない!!!!!!!」


さっきの男とローブの女の声だ。

また待たせてしまったみたいだ。

さっさと行って、まずはこれがどういう状況なのか、あの人たちに聞いてみるしかないか。

と、川の付近の草むらが揺れる。

がさがさっと、音がする。


ふと草むらを見つめていると、そこから突如、何かが飛び出してきた。

それは、錆びれた刀を持ってこちらを威嚇する緑の小人だった。

身長は120㎝あるかないかくらい、だよな?

口には牙があり、涎が常に糸を引いている。

目はギラギラとしていて、そして体にはあちこちに包帯を巻いている。

これは、まるで。


その名前を思い出すより先に、その緑小人は走ってきた。


「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」


刀を振り回しながら、こちらに向かってくる。

この意味の分からない状況で、俺、まさか死ぬのか?

あの刀、見た感じ錆びれまくっている。

てことは切れ味は悪い。

あんなのに斬られても死ねない。

どどどどどうすればいいのか分からない。


そ、そうだ。

あの人たちに助けてもらおう。

このサイズ的にきっと中に入っているのは子供の筈。

あそこの人たちのお子さんに違いない。

きっと、怪物は本物じゃない。

大体、そんな訳ないんだよな。

俺に対してきっとビビらせようと友人が考えたドッキリなのかも。


しかし、悲しい事にずっと学校生活では黙っていて、数少ない友人ともあまり話せない生活。

そんな中で急に声なんて出せる筈も無く、叫び声など不可能だった。

せめて声だけでも届けたかったが、俺は怖くなってしまった。

俺なんかが話しかけて、また避けられないかって。

怖すぎる。

今俺に迫っている恐怖よりも、余裕で怖い。

なんとか気づいて欲しいとアイコンタクトしてみるも、こちらなんか見ていない。


ふと顔を横に向ければ、あっという間にその小人は近づいてきていた。

どうやら俺は終わったらしい。

死んだ、かな。

刀を振るわれ、思わず腕で顔を覆い隠す。

もし身体を狙われたら俺は終わりだ。

なんでこんな事になったのかすら分からず死ぬなんて、意味わからない。

まだ現実ではないのではなんて期待しているが、あの小人たちの臭い。

間違いなく、アレは本物の臭いだ。

作られたものじゃない。


終わったと目を瞑ったが、何も痛みは無い。

何かと思い目を開けると、そこには。








「何やってるのよ!!!アンタ、コイツらは流石に倒せるでしょ!!!!ただの雑魚に何を怯えてるのよ!!!」


え、雑魚?


ていうか、俺が、倒すの?











そこには、グテモーラが立っていた。

ありがとう、ございました。

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