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守りたい人

  守りたい人



 2024年10月30日21:00 東京 アメリカ大使館


 ルーズベルトCIA長官の命を受けたCIA日本支部の部隊は無事に娘のソフィアを保護し、大使館内に連れてきていた。

 ルーズベルトは当初、アメリカ本国の自分の手が届くところにソフィアを保護しようとしていたが、アメリカ本国内のどこが安全かは彼には分からなかった。そもそもCIAの神秘局の見立てではアメリカ国内で100%安全な土地は存在しない可能性が高かった。

 そんな時に彼に入った情報はソフィアを日本にとどめておくに十分値する情報であった。日本の宮内庁内のスパイから日本国内の裏の動きが活発化しているということであった。

 特に京都や出雲、伊勢、東京を中心に皇室関係者や神社本庁の高官、防衛省や公安の関係者も動いているという。

 彼は若い時に日本に留学していたことがあり、日本の神話や昔話にも詳しかった。

 彼のオプションではバチカンやエルサレム、インドなど安全な所の目安はついていたが、バチカンは近年、腐敗が著しくテンプル騎士団の権力が強いためCIAが関与しづらく、モサドがいるエルサレムは安全は確保されるかもしれないが安心して娘を任せられる人間がおらず、インドも同じであった。

 ただ、日本には彼の学生時代の友人や在日米軍がおり、親友である三条がいた。

 彼の決断は三条に京都にて保護してもらうことであった。

 この決断が日本にとってもルーズベルトにとっても良い決断となることは未来のお話。



 同時刻 京都 京都御所


 三条は京都に入った後に急いで準備していた。

 京都市内の全域が安全地域になるとしたらここが司令部となることは間違いない。また、皇太子が避難して来られることからその準備も進んでいた。また、特注の通信設備や食料や武器、水の備蓄も進められていた。

 さらに、上野の国立博物館等からは国宝が続々と京都の国立博物館に移送されており、文化財を守る準備も進んでいた。また、近接戦闘の可能性を考慮して日本刀の用意も進んでいた。

 三条は京都府知事とは会っていないが、京都府警本部長と面会し、各神社のトップや関西方面を統括する自衛官との会議を行っていた。京都府知事に連絡していないのは情報漏えいの恐れがあるからだ。

 桂川や宇治川、北と東の山に防衛ラインを敷き京都を守ることも決定した。

 さらに、政府は演習名目で、千僧の司令部機能、青野原の高射、福知山の普通科連隊、富士の戦車大隊の一部を京都に展開し、大津、宇治、桂と臨時で封鎖された二条城内に待機していた。関東からも対NBC部隊や習志野特殊作戦群、情報保全隊など精鋭部隊が送り込まれた。

 多くの関西圏の人間や京都市民は気づいていなかったが戦の足音が聞こえていた。

 そして会議中、三条はルーズベルトから連絡を受けた。

 彼はそれどころではなかったが、引き受けた。

 米軍とCIAの精鋭部隊が京都に入るということを聞いたからだ。どうやらルーズベルトの家族だけではなく国防長官の家族なども来るそうだ。また、大統領が非協力的なため、在日米軍の撤退もできない。そのため少しでも戦力を残すためという理由もあるらしい。

 まぁ自衛隊を余り大きく動かせず、また各地の防衛に残さないといけないことから戦力がほしい三条にはありがたい話であった。ちなみに、首相の家族や三条の家族も事情は聞かされていないが京都に連れてこられていた。

 名目は皇太子主催のパーティーであったが事情を知っている防衛省上層部や内閣府高官の家族が集められていた。

 もちろん箝口令は敷かれているので事情は話せないが、ここ数日の勝負であるなら皇室を理由にして滞在させるのに苦労はなかった。

 ただし、政府高官や防衛省高官が東京を離れることは許されなかったし、しなかった。以前までなら逃げたかもしれない。しかし、天皇陛下のお言葉と首相が逃げないのに逃げれるはずがない。

 既に政府は政府存続のため横須賀の第一護衛艦隊を中核とした洋上政府の準備すら進めていた。多くの高官達はそっちに向かうことになっていた。



 

 2024年10月30日8:00 アメリカ ペンタゴン

(日本時間10月30日22:00)


 合衆国大統領やその側近、閣僚は選挙に夢中でこのような事態が起こりつつあることを忘れかけていたがシェリル.ノースマン国防長官は、ルーズベルトから聞いたことを自分の力で調べた結果、大統領には内密で軍の部隊を展開し始めた。

 CIAから得た情報と軍情報局DIAが調べあげた情報にあまり差異はなかった。もちろん精度は世界最強のCIAに軍配が上がるが、それに劣らない精度であった。

 彼女は大統領のことを半分見捨てていた。我が国は大統領選挙なんてやっている場合ではないのだ。

 彼女は統合参謀本部議長、陸海空軍大将などを集めた会議を開き、訓練名目での軍の展開を決定した。

 アメリカ国内の精鋭部隊の出動準備を整え、軍の司令部機能の分散を開始した。

 エリア51、通称終末基地や北米航空宇宙司令部NOARDに陸空軍部隊を展開、ワシントンD.C.近郊の部隊に待機を命じ、ノーフォーク及びサンディエゴにいるアメリカ海軍艦隊に洋上待機の命令が発令された。

 さらには、国内基地にいた戦略原子力潜水艦が潜航を開始し、北米上空で待機する空軍機が増加した。

 軍高官の家族の避難も開始された。

 シェリルは残念ながら有事までペンタゴンを離れることを許されず、いつ有事が起こるかも分からないことから娘と息子を祖父に託し、彼らを大西洋上にいる第三艦隊に連れていった。

 

 世界は事情を知るものから少しずつ動き始めた。ほんの一部の情報や政府に関係するものしか知れない情報であった。

 多くの人間は知ることさえも許されない。

 もっと言えば、国が強くなければ分からなかった。

 人は皆平等というが、情報格差というのは深刻である。

 米軍や自衛隊、イスラエル軍は展開を始めたがほとんどの国の軍は平時であり、全世界の一般人は危機を感じてすらいなかった。




 

 

 

 



 

 

 

 

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