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タイムリミットは、、

   タイムリミットは、、


2024年10月30日0:00 サン・ピエトロ大聖堂地下


 バチカンでは天告の儀式が行われようとしていた。

 CIAの不穏な動きをバチカンに通報したのはアメリカに根強く残るキリスト教福音派のCIA高官とテンプル騎士団の人間であった。

 日本でも異変が起こっていたが、キリスト教の聖地ややローマ帝国時代の遺跡が残るイタリアでも複数の異変が起こっていた。イタリア政府は関知していなかったが、バチカンの警戒感は強いものがあった。

 前日に法王室に天使が現れたと法王が突然言い始めたのだ。多くのものは夢か過労による幻覚であると考えたが、当の本人は真実だと捉えていた。

 そして、数百年ぶりに天告の儀式を行うと言い始めたのだ。

 多くの司祭達は気が狂った法王に同意しなかったが、バチカンの暗部、テンプル騎士団は賛成した。テンプル騎士団の持つ人脈はイスラエルの異変を関知していた。

 さらにこれはアメリカ政府も知らないことだが、イギリス王室や日本皇室の非公式な動きを察知していた。

 

 天告の儀式は粛々と進んだ。

 まるで何も起こらないかのように。

 最後に天告の儀によって、天命が聞こえたのは西暦1000年代が最後であったと、古文書には書かれていた。

 その古文書の内容としては悪魔の出現を示唆するものであった。まるで現代のファンタジーのように様々な苦労が描かれていた。しかしその内容は歴史の淘汰によって角に追いやられていた。

 そして突然、部屋に女神の像が現れたとき、部屋は驚きに包まれた。ローマ法王もまた、言葉を失った。実際に女神に会えるなんて。

 女神は話し出した。

「警告します。

 武器を取りなさい。

 我が信徒達に危機が迫っています。

 すなわち地球に危機が迫っています。

 時は少ない。

 対応手段は神の祝福。

 時が来たら有能な人間に授けましょう。

 さぁ再び地球を危機から守るのです。

 私には祈り、そなたたちに力を分け与えることしかできないが、人類の叡知と過去の英霊達が築いた要塞は必ずやあなた達の助けになるでしょう。

 頼みましたよ。

 今を生きる人間達。」


 部屋から女神の虚像は消えた。その場にいた神官達は圧倒されており、ただボーッとしていたが、法王はある古文書の最後に書かれた後世へのメッセージを思い出していた。

「この世は地獄である。

 後世の君たちに私はこう残そう。

 彼らは破壊の限りをし尽くす。

 私達の力では彼らを撃退しかできなかった。

 これは、悔やんでも悔やみきれない。

 この文書を読んでいる将来の法王に告ぐ。

 兆候が見られるならば、すぐさま、迎撃の態勢を整えよ。

 彼らは文明のすべてを壊そうとしてくるぞ。

 そして、私が愛した地球を守って欲しい。」

 そのページには悪魔を殺す聖剣らしきものや、精霊らしきものが映っていたことを彼は思い出した。彼は家族、バチカンの市民、人類を救うために動き出した。


 

2024年10月30日12:00 東京 皇居


 三条と陛下は二人きりで話し合っていた。

 「三条、報告ありがとう。

 事態が切羽詰まっていることは分かった。

 そして京都が有事に備えて動き始めたこともだ。

 そして、最後の質問に答えよう。」

 陛下はそこで言葉を切った。三条は不安げに陛下を見つめる。

 「私は東京から動くつもりはない。」

 陛下の意思は固かった。国民の象徴として、国家元首としてこの首都東京を離れるわけにはいかなかった。

 皇室は国民と共にあり、国民と運命を共にするというのだ。

 「陛下、そこを曲げて京都に来ていただきたいのです。

 国民の象徴である陛下を失えばこの国の伝統が途絶えてしまいます。」

 三条はそう訴えた。

「私は動かないが我が息子達は京都に向かわそう。

 息子がいれば皇室は維持され、国民の象徴は存続できる。

 三条、お主には辛い役目を背負わせるが我が息子を支えてほしい。」

 陛下の意思は変わらない。確かに伝統は後継者がいれば維持されることは間違いない。

 それよりも陛下は国民を守るために最後まで動くつもりであった。

「三条、お主は京都に戻り準備を整えよ。

 本日中に私が政府を動かし、京都に訓練名目で部隊を集めさせる。

 武器、弾薬はもちろん食料や医薬品をかき集めよ。

 この国のどこが安全かは分からないが安全なところに国民達は逃げるだろう。

 そのときに京都が司令部になり助けになれるように準備せよ。

 お主が政府関係で役立てることはない。

 これは私の役目である。

 お主はお主の役目を果たせ。

 あと、伊勢神宮にも結界が現れるだろう。

 そちらの準備をせよ。

 良いな?

 最後に、息子達にはこの事を伝えるな。

 正義感が強い我が息子は東京に残ろうとするかもしれない。

 頼んだぞ、、、」

 「承知しました。お任せください。」

 三条は扉を閉め、再び京都に急いだ。

 これが2人の最後の会話になるかはわからない。

 ただ、三条は涙を流していた。彼も陛下も自らの運命とこの国を襲う悲劇においてもう会えない可能性を分かっていた。2人は幼少期からの学習院の知り合いであり、親友であった。各々が持つ役割によって知らないことは許されず動かないことは許されない。各々が持つ役割を全うすることが責任であり、双方にかせられた使命であった。


 


2024年10月30日1:00 ワシントンD.C.ホワイトハウス


 CIA長官ルーズベルトは世界各地から集めた資料をまとめあげ、11月30日の深夜(アメリカ時間)にも関わらず国家安全保障会議の開催を大統領にお願いし、閣僚が勢揃いしていた。ジョージ.ボーデン大統領は眠そうにしながら早く話すようにルーズベルトをせかした。

 ルーズベルトは世界各国、特にイスラエルやメキシコ、エジプトで起こっている異変をまとめた資料を閣僚に提示した。ただ、多くの閣僚や大統領は早々に読むと冊子を捨ててしまった。

 「ルーズベルト君、君のお家は立派だがこの大統領選の忙しいときにこんなファンタジーな資料で国家安全保障会議を開催するなんてバカなのか?」

 大統領はルーズベルトをそうなじった。

 国防長官は未だに資料を読んでいるが2人の会話に口を挟む様子はない。

 「大統領、これは現実です。現にCIA職員はメキシコで超常現象に遭遇し、エリア51で研究されているアフリカやアジアでの遺物も反応を示しているものもあります。さらにイスラエル政府がこんなにも大規模に動いています。何かしらの国家的な危機が起こっている可能性があります。」

 ルーズベルトは負けじと言い返すが、押し問答は続けど、大統領が本気になることはなかった。

 彼の頭の中は大統領選挙一色であり、そんなことに頭の一欠片も使いたくはなかった。

 たしかにルーズベルトは名家の出身で失業しても困ることはないが、多くの閣僚は失業すればただの人であった。

 最後に大統領はルーズベルトにこういった。

 「良いか、この情報を外に出してはいけない。社会の不安が増大する。社会不安が増大すれば国民の支持が離れる。」

 彼は最後まで食らいついたが、1:30には会議は終了。多くの閣僚が明日に備えて自宅に帰っていった。

 最後に国防長官だけは軍の一部部隊に作戦を命じられるように準備をさせておく。とだけ言って出ていったが、気休めでしかなかった。

 ルーズベルトも頭の片隅で時期が悪いことは理解していたが、老人のポンコツ度は非常に高く、民主主義国家にありがちな機能不全を起こしていることは間違いなかった。

 ルーズベルトは自分の力で家族と国を救うことを決めた。

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