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終焉世界と救世主

久々に新作を書き始めました。

現在、就活中で毎日投稿し続けるのは難しいですが、お読みいただけますと嬉しいです。


 プロローグ



2024年10月29日9:00 日本国島根県出雲市 


 「何があった??」

 白装束の神官は同じく白い装束を身に纏う巫女に問いかける。

 「大いなる禍が近づいております。」

 巫女の顔は青白く、憔悴していた。

 それを男は見て感じた。これは神の力であると。

 「一体何のお告げだった!神は何と仰せだ!」

 彼は巫女をつかんで顔面蒼白な顔で問い詰める。

 彼は焦っていた。神が神官を通じて告げることなんてここ数十年なかった。以前は昭和20年の8月。神が私たちに対して全国の神社仏閣を保護せよと伝えられたときのみであった。

 「分かりません。神のお告げは「扉が開く。備えよ。」と。」

 「そして、神はこうも仰いました。世界が繋がると。」

 彼は意味が分からなかった。扉?世界が繋がる?

 何を言っているのだ。しかし、彼は聖職者である。

 神のお告げは絶対である。この国に迫る危機を幾度も伝えてきたのである。それは妖しげなものの出現であり、外敵の襲来でありそのすべてである。

 「備えねばならぬ。そして、これは陛下にお話しせねばならぬ。良いか、この事は他言無用である。」

 彼は巫女にそう伝えると、内宮奥の巫女の間を去った。

 大いなる危機感と恐怖を感じながら。

 多くのものは知らないだろう。本物の神との交信手段があるなんて、そして日本は世界的に見て重要な位置付けにあることを。

 

 同時刻 イスラエル エルサレム旧市街地下

 聖都エルサレムでは星読みの儀式が行われていた。

 まぁもう千年続くただの形式的な儀式である。

 星読みの巫女が決められた文章を読みながら星の観測を行うのである。

 そして、その年の運命を占うのである。

 まぁ星が何かを言うわけでもなく、結局のところ既に考えられている文章を読むだけなのだが。

 星読みの儀式は、第一段階として祭壇にお供え物をするところから始まる。

 次に第二段階として星読みの舞を巫女が踊るのだ。

 そして、最後に巫女が星の言うことを読む。

 問題はこの最後の手順で起こった。

 突如として星読みの祭壇が光始めたのだ。

 その場にいた3人の神官は慌てふためく。

 祭壇の光はさらに強くなり部屋全体に散らばった。

 そして、巫女がしゃべり始めたのだ。

 明らかに正気を失った顔でこう。

 「世界に混沌が訪れる。人類は再び自らの生命をかけて戦う時代がやってくるだろう。急がれよ、急がれよ。再び戦う準備をせよ。そして、これは、女神からの警告である。まもなく地球の防衛機構は復活する。あぁ、扉が...」

 

 その場は静寂に包まれ、床に巫女が倒れる音のみが響く。

 この超常現象を理解できたものはいなかったが、誰しもが、地球に危機が迫っていることは理解できた。

 しかし、そのことを知るのは巫女を含めてたった4人。

 彼らは、すぐさま動き出した。

 ユダヤ教のために。イスラエルのために。

 しかし、このことを秘密にしたユダヤ教であったが、彼らのうちに1人だけ内通者がいたのだった。


 




 2024年10月29日14:00 日本国皇居


 出雲から急いで上京した出雲大社大宮司 三条宗孝は皇居を訪れていた。

 彼の見た現象は既に収まっており、あの部屋には何も証拠がない状態であった。

 しかし、状況証拠だけでは陛下にお伝えするのは難しいため、出雲大社に眠る過去の資料を持ち、陛下に会ったのだ。


 「そのようなことが、、」

 陛下はそれしかお答えらならなかった。

 彼はやはり私の見間違いかとすら思った。

 陛下は長い沈黙の後に三条にこう告げた。

 「三条にお願いしても良いか?」

 「なんなりと。」そう三条は答える。

 陛下は重苦しい表情をしながら、自身の考えを述べた。

 「そなたが見たものはおそらく真実であろう。皇室に伝わる古い資料で平安時代の資料がある。多くの資料は戦国の戦乱や時代の流れ、明治政府の統制、GHQ対策で表には出ておらぬがな。我が国にそのような守護機能があることは知っておる。ならば事実であろうが、そちが言っているように私もすべてが理解できるわけではない。また不確定すぎて公式機関を動かすことは難しかろう。とりあえず出雲の過去の資料をすべて洗ってほしい。私も、過去の資料を洗ってみよう。」

 「承知いたしました。」

 「良いか?出雲の者たちには秘匿せよ。国家的な危機になるかもしれん。」

 三条は深く一礼して皇居を出た。

 この国は動き出した。まだ小さな一歩だが希望であった。



 2024年10月29日2:00 アメリカバージニア州ラングレー


 CIA長官ルーズベルトはユダヤ教内の儀式で起こったこと、聖都エルサレムで起こったことを米国の諜報機関CIA工作員の協力者である神官から伝えられた。特級の機密扱いでだ。

 実はアメリカ政府は世界に伝わる古い文献や特異事象の情報を1990年代から積極的に集めていた。その繋がりでエルサレムにも協力者がいたのだ。

 伝えられた内容はにわかには信じがたいものであった。地球に危機が迫っていると、混沌の時代が近づいていると。具体的に何が迫っているかは分からない。しかし、ルーズベルトが持つ感覚が危機感を伝えていた。

 何かが起こると。

 政治家や官僚の中で一部が持つ能力であった。

 彼のそれは直感に近かったが、彼は秘密組織を動かすことに決めた。アメリカ中央情報局神秘現象調査部、通称神秘部。

 彼らが設立されたきっかけは、1983年の6月21日。

 イエローストーン国立公園内で突然半円球上に透明な膜が発生したことだ。

 アメリカ政府はイエローストーン国立公園周囲100㎞を噴火の危険ありとしてアメリカ軍とCIAを用いて、封鎖し、現地を調査したところ膜の外側すぐに気持ち悪い生物を発見した。当時の軍資料によると米兵数名が犠牲になったが、射殺に成功したらしい。亡骸は豚と人間が合体したような生物だった。当然、東西冷戦期間中で政府は何も発表せずに政府機関内でもタブー扱いになった。しかし、CIAは当時の大統領からの命令でエリア51で研究を開始した。これを管理しているのが神秘部であった。

 ルーズベルトはイエローストーン内には何も残ってはいなかったという軍の報告書を読んだ記憶があった。

 何もないはず、、いや向かわせてみよう。

 判別しなければならない。もしも祖国に危機が迫っているとすれば、見つけなければならない。残念ながら現在の我が国では神秘現象では軍が動かない。軍の費用削減を大統領が叫んでいるからな。

 彼はそう思うと動き出した。

 

 

 実は世界で異変はおき始めていた。

 しかしながら、バチカンもメッカもインドやネパールの仏教の聖地も気づかない。既に兆候を示す地球の防衛機構は古くなっており整備され続けなければその兆候を見つけるのは難しいからだ。



 

 

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