表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界系現代技術無双モノの難しさ

作者: シャチ

最近思ったことをつらつらと書いたものです。

ある意味自分の知識のなさのさらけ出しても言う。

どーも、シャチです。

今連載中の戦車小説を書いていてものすごく苦労しております。

好きな分野なのですがね、なかなか難しいです。


何が難しかっていうと、技術考証のことですのよ。

20世紀初頭からWW2までの間に起こった技術革新ちゅーのは今じゃ常識で

モノによっては枯れた技術とよばれるほど成熟されたものです。


ですがね、当時は最先端技術だったわけなのですよ。

それに触れる、又は応用するのは未来技術をもってしても難しいというのは技術者ならば理解できるでしょう。


本編中には触れませんでしたが、例えば板厚t=10のSS400材とt=2.3のSS400材の鋼板をアーク溶接するときの適正な電流電圧の設定と、トーチの移動速度はわかりますか?

もーしわけないんですが私にゃわかりません。

きっとアーク溶接の技能講習用の本とかには書いてあると思いますし専門書を紐解けばその時の外気温なども含めて余熱の必要性から教えてくれるでしょう。


ですが、これらの知識をすべて持ち合わせている状態で過去ないし異世界に戻ることは不可能に近いのではないでしょうか?

多くの技術者ならわかると思いますが、これらの知識は憶えている必要はなく、どの文献に記載されていたのかを覚えていることが重要でだからです。


むしろ、溶接に限った話で言えば、現場で溶接作業をしている人間のほうがよほど詳しいでしょう。

元技術者の私ですらこの始末です。


片手間知識で現代技術を再現するのは非常に困難が伴います。

ファンタジーとして魔法で置き換えるためにも原理が分かっていなければ応用は効きません。

例えば、溶接棒の素材が悪ければ溶接品質は保てませんし、シールドガスの選定を間違えばビードの欠陥が生まれます。適切な余熱と冷却をしなければリバティー事件の二の舞です。


そして、現代技術の大半は「安全についての留意点」が出てきます。

溶接も製鉄も有害物質が発生します。

それらの環境対策がなされたのは教科書を読んでいても分かると思いますが日本では主に戦後です。

上記の溶接をとっても、溶接ヒューム対策の防塵マスク、燃えない防護服、皮手袋、そしてシールド(遮光板付き)。

これ等がないまま作業を行えば火災、塵肺、目に残る残像などが起こります。

スパッタの直撃など場合によっては労災認定です。


このように現代の枯れた技術と呼ばれる成熟した工法ですら安全対策は必須です。

電機反応と化学反応を駆使するメッキなんてもっての外。

毒物劇物まみれなのはご存じかと思います。

溶融亜鉛メッキ漕なんて、途中の脱脂設備に落っこちたら骨も残りませんよ。

なんでも溶かすのは溶鉱炉だけではありません。


というように、意外と現代技術チートというのは難しい課題があります。

これ等が平然と使われている現代は、それまでの経験と実績、それらを安全に制御するための装置など様々な教訓などを基に改善されてきたものです。

突然改善されたものを持ってくることができて使えても、今度はトラブルに対応できません。


これ等のことから、私は知識チートを使うときは結構気を使います。

自分が書く世界感において無理なく導入が可能なのか?

そのエネルギー源をどこから調達するのか、その技術に昇華させるためのベース技術はあるか?

そのあたりが本来は重要になってくるのではと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 知識チートは世界大戦中あたりが実は一番やりやすいですけどね。基盤が出来上がってる時期ですから例えば有機化学の専門家を放り込んだら凄まじい活躍ができるはず。 都合の良いことに優秀な科学者に熟練…
[良い点] リアルとリアリティーで悩みながら書いているのが、好感持てました。 [一言] 私個人は異世界もののご都合主義につっこみながら楽しんでるときもあります。メートルとか単位を普通に使う時があるけど…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ