異世界系現代技術無双モノの難しさ
最近思ったことをつらつらと書いたものです。
ある意味自分の知識のなさのさらけ出しても言う。
どーも、シャチです。
今連載中の戦車小説を書いていてものすごく苦労しております。
好きな分野なのですがね、なかなか難しいです。
何が難しかっていうと、技術考証のことですのよ。
20世紀初頭からWW2までの間に起こった技術革新ちゅーのは今じゃ常識で
モノによっては枯れた技術とよばれるほど成熟されたものです。
ですがね、当時は最先端技術だったわけなのですよ。
それに触れる、又は応用するのは未来技術をもってしても難しいというのは技術者ならば理解できるでしょう。
本編中には触れませんでしたが、例えば板厚t=10のSS400材とt=2.3のSS400材の鋼板をアーク溶接するときの適正な電流電圧の設定と、トーチの移動速度はわかりますか?
もーしわけないんですが私にゃわかりません。
きっとアーク溶接の技能講習用の本とかには書いてあると思いますし専門書を紐解けばその時の外気温なども含めて余熱の必要性から教えてくれるでしょう。
ですが、これらの知識をすべて持ち合わせている状態で過去ないし異世界に戻ることは不可能に近いのではないでしょうか?
多くの技術者ならわかると思いますが、これらの知識は憶えている必要はなく、どの文献に記載されていたのかを覚えていることが重要でだからです。
むしろ、溶接に限った話で言えば、現場で溶接作業をしている人間のほうがよほど詳しいでしょう。
元技術者の私ですらこの始末です。
片手間知識で現代技術を再現するのは非常に困難が伴います。
ファンタジーとして魔法で置き換えるためにも原理が分かっていなければ応用は効きません。
例えば、溶接棒の素材が悪ければ溶接品質は保てませんし、シールドガスの選定を間違えばビードの欠陥が生まれます。適切な余熱と冷却をしなければリバティー事件の二の舞です。
そして、現代技術の大半は「安全についての留意点」が出てきます。
溶接も製鉄も有害物質が発生します。
それらの環境対策がなされたのは教科書を読んでいても分かると思いますが日本では主に戦後です。
上記の溶接をとっても、溶接ヒューム対策の防塵マスク、燃えない防護服、皮手袋、そしてシールド(遮光板付き)。
これ等がないまま作業を行えば火災、塵肺、目に残る残像などが起こります。
スパッタの直撃など場合によっては労災認定です。
このように現代の枯れた技術と呼ばれる成熟した工法ですら安全対策は必須です。
電機反応と化学反応を駆使するメッキなんてもっての外。
毒物劇物まみれなのはご存じかと思います。
溶融亜鉛メッキ漕なんて、途中の脱脂設備に落っこちたら骨も残りませんよ。
なんでも溶かすのは溶鉱炉だけではありません。
というように、意外と現代技術チートというのは難しい課題があります。
これ等が平然と使われている現代は、それまでの経験と実績、それらを安全に制御するための装置など様々な教訓などを基に改善されてきたものです。
突然改善されたものを持ってくることができて使えても、今度はトラブルに対応できません。
これ等のことから、私は知識チートを使うときは結構気を使います。
自分が書く世界感において無理なく導入が可能なのか?
そのエネルギー源をどこから調達するのか、その技術に昇華させるためのベース技術はあるか?
そのあたりが本来は重要になってくるのではと思います。