理解を超えたものは直感を頼るしかない
「多分、無理だと思うけど、全力で開けようとして見てよ!」とアユミは俺を応援するように、両手を握り顎に近づける
「おけ」
錆びた鉄扉の取手を掴み、力を外に出すように右側に力を入れた。ギィィィィって鉄扉はから音はなるが動く気配がない。
「やっぱ厳しいな」
「力弱すぎだよ」アユミの声を掻き消すように音がなった。
バァンバァンバァンバァンバァンバァンバァンバァン鉄の扉を内側から叩いているような音が響きわたる。
「うわっっっわ」俺は慌てて鉄扉の取っ手から手を離す。
「タツミ大丈夫?中に人居るんじゃない?」少し怯えた表情でアユミは言った。
「すみません、どなたか居ますか?」扉を叩く音で声が打ち消される。この扉を叩く音、一人二人では無い。複数の方向から叩かれている。この扉の中はどうなっているのか───
気がつけば廃墟の門を出て数メートル先の桜の木の近くにいた。扉を叩く音は、まだ届いてくる。
「ちょっと置いていくつもり?」とアユミが、後から追いかけてきた。
また、身体が勝手に動いた───あの時の人間の力ではどうすることもできない恐怖が蘇る。ここは明らかに危ないと身体で感じる。
「ねータツミ、あれ警察に知らせた方が良くない?、あの感じ閉じ込められてそう。」とアユミは髪を触りながら言った。