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『杞憂‐あっけない雪解け‐』

 たった2ヶ月ですっかり自信を失くしてしまった津彼太郎は、休日に気晴らしも兼ねて都内某所にある大型ショッピングセンターに出かけ、そこで偶然私服姿の 日上雄三にばったり出くわすことに…。気まずい雰囲気と知りつつも無理して笑顔を装う太郎に日上の方から思いがけない言葉が…。


「アレ?センセー!何してんの、こんな所で?俺、びっくりしちゃった!

先生も音楽好きなの?へぇー?意外だね!知らなかったよ、俺!」

 

 学校で見る姿とは全く別人の彼の表情はいつにも増して明るく自信に満ち溢れていて爽やかな中学生そのもの。初めて聞いた彼の声とすっかり様変わりした風貌のギャップに驚きつつも太郎は冷静になって申し訳なさそうに小声でぽつり呟き  始めることに…。


「あ、あのさ、日上…この間はごめん!先生、みんなの前で良い格好しようと

思った訳じゃなくて…その…えっと…何だろ?その…と、とにかくごめんな!

君の気持ちも考えずに…出しゃばったりして…」


「えっ、何の話…?なんだ、その事!馬鹿だなぁ、先生!気にしないでくれよ!

俺さ、逆にすっごく嬉しかったんだよ、あの時は!先生、本気で怒ってたよね?

たった一人でもこんな俺に味方してくれる、こんなにも思ってくれている人間が

この世の中に居たんだって…!そう思うと何か嬉しくなっちゃって…

俺、先生見直しちゃったよ!すげぇじゃん!そう言や、死んだ父さんが

言ってたっけ。

「男にはいつも七人の敵が居るから一人でも絶対負けるなよ!って…それと

お前のこと理解してくれる人が必ず世の中に一人は居る!ってこともな!」


 更に彼は少しだけ声を落としてこうも呟いた。


「俺さぁ、青森から来てるだろ?迂闊にベラベラ喋るとつい方言が出てちゃって…いっつも転校先でみんなに馬鹿にされちゃうんだよね。…で、気がつけばいつの間にか無口になって誰とも口が利けず周りに一人も友達が居ない。(笑)でもね、俺、全然さびしくなかった。今だって読書してるだけで十分満足してるし、こうやってセンセイとも話ができるわけだしさ。俺、絶対精神的にも強くなって母さんや弟達を守ってやるんだ!俺が父さんのかわりに…。」

 この時半分涙目の太郎は自分より大人の考えを持つ日上雄三に心から

尊敬の眼差しで見つめ、自ら素直に完敗を認めた。


「ところでセンセー、今日何のCD買いに来たの?」

「えっ?榊原まさとしの『不良少女白書』だって?古っ!今時そんなCD有んの?

ドヒャー!EPレコードって?先生、今の時代はさ…つまり『昭和』が終わって 今はもう『平成』じゃん!レコードじゃなくて音楽聴くなら、もちCDでしょ?

CD!えっ?『EFGは無いのかって?』それ全然面白くないよ!しかもそのネタ以前聞いたことあるし…。またクラスで馬鹿にされるよ、全く…(笑)しょうが無ぇなぁ!もう無い!って絶対!レコードが全部CD化されている訳でもないしさ! 

それよっか今流行(はや)っている川村カオリのCD『僕たちの国境』一度聴いてみなよ!

絶対イイ曲だから…!」


 太郎はつい嬉しくなって「ウン、ウン!絶対買うよ、買っちゃう、そのCD!

あ、ありがとな、日上!サンキュー!ウハハハハハ!」と大はしゃぎ!


 彼はこの日を境に再び教師としての自信を取り戻すとともにこの日心に固く  誓った言葉がある。

「こんな若い世代でも自分と同じ考えを持っている存在がこの世の中に居るんだ!正しいと思ったら迷わず突っ走っていいんだ!失敗してもいいんだ!

1+1が必ずしも2にならなくていい!マ二ュアルなんてくそ喰らえだ!

『規則だから…』『ルールだから…』それがどうしたって言うんだい!

悩むよりまず『実行→失敗→反省→再考→再挑戦‼』の繰り返しでいい

じゃない!何もやらずに世間体や周囲の反応ばっかり気にして臆病なまま無難に

生きよう!…なんてもう一生考えない!

俺はやる!絶対やってやるぞ!『真の道徳』ってヤツを…!」


「あ、あのね、お客さん!いい加減にお支払いをしていただかないと 

後がつかえているんでね‼」by店員さん!


「は?ハ、ハハハ…すんませ――――ん!」


「ちょ、ちょっと、お客さ―ん!CD要らないの――⁈ あれあれ行っちゃったよ!

 せっかく買ってくれたのに…。」


 前方100m先から真っ赤な茹でダコ太郎がつっ走って来る!時速100kmで…?

(←そんなアホな?小説じゃあるまいし…?←間違いなく小説です!)


   続くも続かぬもあなた次第!←「ハイハイ!いつものじらし作戦ね!…って

  もう最終回?早っ!」


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