『津彼太郎の青春真っ只中!』
『初投稿…⁈いえいえ初登校/初出勤でござい!』
「‟個性を活かす教育”とは…う~ん、なんて難しいテーマなんだろ?
明日4時間目の道徳でやれ!って言ったってよなぁ⁈
何処までが『個性』で何処までが『日常性』か分かんないし…⁇」
「おっとそんな事より先週借りてきたビデオを早く返さなくっちゃ!
明後日返却期限だもんな!何はともあれ、早く見ようっと!」
「あ、在った、在った!これこれ!これを見てから…」っと。
♪暮れなずむ 街の光と影の中 去り行く貴方へ 贈る言葉♪(TBSドラマ『3年B組金八先生』より )
太郎は一度見出すと止まらずに、2、3本立て続けてドラマの世界へ引き込まれ、
‟一心不乱”のお地蔵様状態。そんなもんだから大事なことは一切後回しの連続。気が付けばそのまま寝てしまい翌朝大急ぎで学校へ。シワシワのシャツにアイロンも掛けずに...。(よくある話だけど!)
「お早うございます!」「お早う!」「こんにちは…じゃなかった!お早うございまーす!間違えちゃった、アハハ!」昇降口近くの玄関で飛び交う元気な挨拶。一日の始まりの挨拶ほど清々しいものは無いと思う、この瞬間。ただ習慣なのか、それとも単なる癖なのか?この学校の生徒は困ったことに朝夕問わず顔を見合わせる度に始終挨拶を繰り返す。お互い擦れ違って挨拶を交わし、太郎自身ふと何か忘れ物を思い出し教室に戻ると今しがた挨拶を交わしたばかりの男の子たちに再会するや否や彼らから再び挨拶を受ける羽目に…。
「お早うございま~す!」
「おいおい、ついさっき挨拶したばっかりじゃないか?そんな1日に何度も挨拶する必要は…」太郎がここぞとばかりに持論を展開する間もなく二人の生徒はあっと言う間に何処かの教室へと姿を消してしまった。「ちぇっ、他人の話を最後まで聞けないのかょ?全く近頃のガ…イヤイヤ最近の中学生は…?」
‟教師”という職業に就いて早2ヶ月!新米教師の津彼太郎にとって何もかもが新鮮で驚きの連続である初任校の生徒の一挙手一投足に彼自身興味・関心を示さない筈が無い。
「それにしてもここの学校の生徒たちって本当によく挨拶するなぁ!礼儀正しいって言うか、全中学生の模範みたい。こんな学校他にあるかしら?」でも一つだけ不可解なことが彼の脳裏を過ぎっていたことも事実である。「あんなに校内では挨拶できるのに‟校外では一切挨拶をしない、できない”なんて一体どういう了見だ?学校よりも校外で知人に会ったら挨拶するのが常識なのに…。それとも『学校の無い日は挨拶しなくても良いんじゃない?』って勘違いしているのかなぁ?それだと逆に相手から‟不愛想な奴”だ、とか‟冷たい奴”って思われちゃうぞ!いいの?…ええっと『 Eの次はF! 』と…はぁ、下らねえ!」
職員室でそうこう考えているうちに太郎は隣席の先生からいきなり声を掛けられハッと我に返った。
「あ、あの…津彼先生!一体コーヒーに何杯砂糖を入れるつもりなんですぅ?」
「ハッ?や、やべえ!やっちまった!」
太郎の妄想癖は今に始まったことじゃない。でも正直な話、‟人間とは校内よりも校外の方が本当の自分が出る”のは確かだ。『性格の良し、悪し』という名の本当の正体が…。 つづく…かも⁈