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コメディー集

「呪術陰陽道中無我夢中膳後藤膝栗毛無問題近衛兵長丸列伝三四門会五郎絵巻~猿飛佐助十二神将破壊大明神鬼面菅原道真南無阿弥陀仏烈級章~」っていう本を読んだ僕の話

作者: たこす
掲載日:2021/01/10

思いついた単語を並べていっただけなので、名前に意味はまったくありません(´▽`;)ゞ

 無(む)我(が)夢(む)中(ちゅう)膳(ぜん)後(ご)藤(とう)膝(ひざ)栗(くり)毛(げ)無(もう)問(まん)題(たい)近(この)衛(え)兵(へい)長(ちょう)丸(まる)はげんなりしていた。


 主君(しゅくん)の長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)兼(かね)家(いえ)近(ちか)松(まつ)門(もん)左(ざ)衛(え)門(もん)之(の)介(すけ)より娘の長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)の護衛を仰せつかったからだ。


 長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)といえば松(まつ)平(だいら)天(てん)翔(しょう)女(にょ)人(にん)森(しん)羅(ら)万(ばん)象(しょう)氏家(うじいえ)之(の)美琴(みこと)徳平(のりひら)万(まん)待遇(たいぐう)比良(びら)比丘尼(びくに)大明神(だいみょうじん)の再来とも言われるほどの見目麗しい姫君であるのだが、その気性は荒く、まるで猿飛佐助(さるとびさすけ)十二神将(じゅうにしんしょう)破壊大明神(はかいだいみょうじん)鬼面(きめん)菅原道真(すがわらみちざね)南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)のごとき怪力を誇っている。


 それゆえ、民人たちはこの美しい姫君を松(まつ)平(だいら)天(てん)翔(しょう)女(にょ)人(にん)森(しん)羅(ら)万(ばん)象(しょう)氏家(うじいえ)之(の)美琴(みこと)徳平(のりひら)万(まん)待遇(たいぐう)比良(びら)比丘尼(びくに)大明神(だいみょうじん)猿飛佐助(さるとびさすけ)十二神将(じゅうにしんしょう)破壊大明神(はかいだいみょうじん)鬼面(きめん)菅原道真(すがわらみちざね)南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)姫(ひめ)と呼んでいる。もちろん、当の本人は知る由もない。


 ちなみにこの長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)、かの有名な長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)兼(かね)家(いえ)遠(とお)縁(えん)梅(うめ)桜(ざくら)門(もん)外(がい)右(う)衛(え)門(もん)之(の)介(すけ)種(たね)吉(きち)の孫で、長谷川(はせがわ)泰三(たいぞう)門外不出(もんがいふしゅつ)乃(の)神(かみ)義行(よしゆき)五右衛門(ごえもん)太宰府天(だざいふてん)屋椀屋(やわんや)太郎(たろう)実吉(さねきち)羽左衛門(うざえもん)之介(のすけ)秀吉(ひでよし)の遠縁にあたる。その家柄の良さも相まってか、長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)には絶えず縁談話が舞い込んでくる。


 先だっては、隣国の大名・後醍醐(ごだいご)楊書院(ようしょいん)法華経(ほけきょう)丸(まる)五重塔(ごじゅうのとう)六右衛門(ろくえもん)米吉(よねきち)泰吉(たいきち)将兵(しょうへい)末吉(すえきち)大吉(だいきち)将兵(しょうへい)千手観音(せんじゅかんのん)業平(なりひら)がわざわざひと月もかけてこの姫に会いに来たほどである。

 しかし長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)は、この後醍醐(ごだいご)楊書院(ようしょいん)法華経(ほけきょう)丸(まる)五重塔(ごじゅうのとう)六右衛門(ろくえもん)米吉(よねきち)泰吉(たいきち)将兵(しょうへい)末吉(すえきち)大吉(だいきち)将兵(しょうへい)千手観音(せんじゅかんのん)業平(なりひら)を「気障(きざ)な男」と一蹴し、地面に叩きつけた。


 青くなったのは父の長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)兼(かね)家(いえ)近(ちか)松(まつ)門(もん)左(ざ)衛(え)門(もん)之(の)介(すけ)だ。


 いくら後醍醐(ごだいご)楊書院(ようしょいん)法華経(ほけきょう)丸(まる)五重塔(ごじゅうのとう)六右衛門(ろくえもん)米吉(よねきち)泰吉(たいきち)将兵(しょうへい)末吉(すえきち)大吉(だいきち)将兵(しょうへい)千手観音(せんじゅかんのん)業平(なりひら)が長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)に夢中とはいえ、投げ飛ばされたとあってはただではすまされない。


 案の定、後醍醐(ごだいご)楊書院(ようしょいん)法華経(ほけきょう)丸(まる)五重塔(ごじゅうのとう)六右衛門(ろくえもん)米吉(よねきち)泰吉(たいきち)将兵(しょうへい)末吉(すえきち)大吉(だいきち)将兵(しょうへい)千手観音(せんじゅかんのん)業平(なりひら)は、長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)兼(かね)家(いえ)近(ちか)松(まつ)門(もん)左(ざ)衛(え)門(もん)之(の)介(すけ)の治める加賀八万石(かがはちまんごく)十州(じっしゅう)信濃(しなの)高山(たかやま)由緒丸(ゆいしょまる)善光寺(ぜんこうじ)八公(はちこう)渋谷(しぶや)池袋(いけぶくろ)新宿(しんじゅく)太宰府天満宮(だいざいふてんまんぐう)を敵国とみなし、宣戦布告をしたのだった。


 そういうこともあり、長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)は常に命の危険にさらされ、出かけるときは無(む)我(が)夢(む)中(ちゅう)膳(ぜん)後(ご)藤(とう)膝(ひざ)栗(くり)毛(げ)無(もう)問(まん)題(たい)近(この)衛(え)兵(へい)長(ちょう)丸(まる)ら側近の護衛が必要となったのである。


「無(む)我(が)夢(む)中(ちゅう)膳(ぜん)後(ご)藤(とう)膝(ひざ)栗(くり)毛(げ)無(もう)問(まん)題(たい)近(この)衛(え)兵(へい)長(ちょう)丸(まる)よ」

「は!」

「長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)の護衛、しかと頼むぞ」

「御意」


 無(む)我(が)夢(む)中(ちゅう)膳(ぜん)後(ご)藤(とう)膝(ひざ)栗(くり)毛(げ)無(もう)問(まん)題(たい)近(この)衛(え)兵(へい)長(ちょう)丸(まる)は答えながらも長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)兼(かね)家(いえ)近(ちか)松(まつ)門(もん)左(ざ)衛(え)門(もん)之(の)介(すけ)の言わんとしていることはわかっていた。


 それはすなわち、

「長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)の面倒を頼む」

 ということである。


 長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)は自由奔放な姫君で、どこで何をしでかすか予測がつかない。

 さらには好奇心旺盛で厄介ごとを見つけては我先にと首を突っ込みたがる性分だから質(たち)が悪い。


 それゆえ、長(ちょう)曾(そ)我(か)部(べ)長(は)谷(せ)平(だいら)姫(ひめ)野(の)綾(あや)加(か)辺(べ)美(み)琴(こと)沙(さ)羅(ら)双(そう)樹(じゅ)万(よろず)野(の)巫(み)女(こ)姫(ひめ)乃(の)の護衛を担当する者はみな、その日の終わりには疲れ果てて屍人(しびと)のようになってしまうというのが護衛仲間の間では常識となっていた。


 無(む)我(が)夢(む)中(ちゅう)膳(ぜん)後(ご)藤(とう)膝(ひざ)栗(くり)毛(げ)無(もう)問(まん)題(たい)近(この)衛(え)兵(へい)長(ちょう)丸(まる)は………


・

・

・

・

・


「あのー……、あやめ先輩?」


 僕はそっと本を閉じて目の前にいるあやめ先輩に声をかけた。


 当の本人、あやめ先輩は違う本を読みながらこちらを見ることもなく

「なんだ?」

 と言い放った。


「これ、めちゃくちゃ読みづらいんですけど……」

「『呪術(じゅじゅつ)陰陽道(おんみょうどう)中(ちゅう)無我夢中(むがむちゅう)膳(ぜん)後藤(ごとう)膝栗毛(ひざくりげ)無問題(もうまんたい)近衛兵長(このえへいちょう)丸(まる)列伝(れつでん)三四(さんし)門会(もんかい)五郎(ごろう)絵巻(えまき)~猿飛(さるとび)佐助(さすけ)十二神将(じゅうにしんしょう)破壊(はかい)大明神(だいみょうじん)鬼面(きめん)菅原道真(すがわらのみちざね)南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)烈級章(れっきゅうしょう)~』のことか?」

「……そう、それ」


 すげえ、本も見ずにタイトル丸暗記してるよ。

 さすがは文芸部部長。


「人名とか地名が長すぎて内容が全然頭に入ってこないんですけど」

「それは貴様に覚える気がないからだ」


 貴様って……。


「慣れてしまえばどうということはない。その本は面白いぞ。夢枕(ゆめまくら)夏目(なつめ)御上院(ごじょういん)芥川(あくたがわ)天満(てんまん)鴎外(おうがい)岐宿(きしゅく)葛飾(かつしか)暁(あかつき)流(ながれ)零式(ぜろしき)満願(まんがん)夢枕(ゆめまくら)幕府(ばくふ)先生の大作だからな」


 長い!

 長いよ、作者名も!

 しかも「夢枕」2回使ってるし!


「あのー……、全然知らない人なんですけど……」

「なに?」

「その……ゆめなんとかって人。初めて聞きました」

「……」


 その日、初めてあやめ先輩は僕を見た。

 夕日に反射する黒髪美女のあやめ先輩。

 放課後の教室で本を読む姿がこんなにぴったりくる人は他にいないだろう。


 僕はあやめ先輩に目を向けられてちょっとドキドキしてしまった。


「貴様、夢枕(ゆめまくら)夏目(なつめ)御上院(ごじょういん)芥川(あくたがわ)天満(てんまん)鴎外(おうがい)岐宿(きしゅく)葛飾(かつしか)暁(あかつき)流(ながれ)零式(ぜろしき)満願(まんがん)夢枕(ゆめまくら)幕府(ばくふ)先生を知らないのか」

「し、知りません……」


 知ってたら逆に覚えてると思う。

 名前が強烈すぎて。


「夢枕(ゆめまくら)夏目(なつめ)御上院(ごじょういん)芥川(あくたがわ)天満(てんまん)鴎外(おうがい)岐宿(きしゅく)葛飾(かつしか)暁(あかつき)流(ながれ)零式(ぜろしき)満願(まんがん)夢枕(ゆめまくら)幕府(ばくふ)先生を有名にした『暁(あかつき)流(ながれ)鳳凰(ほうおう)白虎(びゃっこ)獅子身中(しししんちゅう)八卦(はっけ)蚊取線香(かとりせんこう)青龍(せいりゅう)朱雀(すざく)七転八倒(しちてんばっとう)天中殺(てんちゅうさつ)』もか?」


 ……なんで長いの? この人の作品。


「聞いたこともないです」


 言い終わらないうちに、あやめ先輩は持っていた本をパンッと閉じた。それはもう、いい音色を立てて。


「貴様、それでも文芸部の人間か!」

「文芸部には昨日、入部したばかりですけど……」


 そう、高校の入学式は1週間前。

 そして僕がこの文芸部の敷居をまたいだのも昨日のこと。

 つまりはペーペーのヒヨッコだ。

 もともと本が好きだったけど家が貧乏だったためあまり本は買ってもらえず、高校生になったら文芸部に入ってめちゃくちゃ本を読むと決めていたのだ。


 今日は文芸部に入部して2日めになる。


 っていうか文芸部の部員があやめ先輩しかいないというのを今日初めて知ったんだけど。


「新入部員?」

「そうです、新入部員です」

「そうか、それは失礼した」


 あやめ先輩はスラっと立ち上がって僕の前に立った。

 こうして目の前に立つとやっぱりすごい美人だ。


「私は最上(もがみ)あやめ。文芸部の部長だ」

「1年C組の後藤(ごとう)平八(へいはち)陣内(じんない)勒江(ろくえ)菊八(きくはち)助左衛門(すけざえもん)佐助(さすけ)雄介(ゆうすけ)龍之介(りゅうのすけ)です。って、昨日も挨拶しましたよね?」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………すまんが、もう一度言ってくれるか?」

「1年C組の後藤(ごとう)平八(へいはち)陣内(じんない)勒江(ろくえ)菊八(きくはち)助左衛門(すけざえもん)佐助(さすけ)雄介(ゆうすけ)龍之介(りゅうのすけ)です」

「名前長っ。覚えるの面倒臭っ」


 ええー……。




おしまい

お読みいただきありがとうございました。

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[良い点] あまりのインパクトに、ついお邪魔してしまいました。感想欄のかたがたのコメントに、すごく頷いてしまいます……! タイトルがブラックなお経っぽくて、飛び込んだらあやめ先輩の朗読だったという。…
[良い点]  オチがウケました。さすがたこすさま、発想が面白かったです。  よう子さまとのコラボ作品ついでに、そういえば、と思い出して読みに伺いましたら、ハマりました。  知ってる名前や単語を探すのが…
[良い点] オチ!!オチ最高です!!! 楽しかったー! 実は、読み始めた時は「これ、途中で別の人物と入れ替わっていても分からないぞ」と罠に嵌まるのを警戒して(罠、とは……?)一文字ずつ確認して読み進…
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