マミーの包帯 カリッと揚げ
サンドラとふざけていると、私の体をぐるぐる巻きにしていた包帯が光り出した
と、包帯が私を締め付けだした
【治療が終わったようだね】
サンドラはドラゴンの姿に戻り、その長い爪でマミーの包帯を切り裂いていく
【晩御飯はマミーにしようか】
ニコニコして、私の方をみてくれる
【マミーは意外と美味しいんだよ、またコロナのお腹が鳴いちゃうかもね】
むう・・・本当に鳴りそうだからヤダ
【さぁ、回復した事だし、料理の方法を教えてあげる】
サンドラは私を奥の部屋に案内してくれた
使い込まれているが、とても綺麗なキッチンがそこにはあった
【ふふっ私の自慢のキッチンだよ~私は料理が大好きで、暇さえあれば料理を作っているのだよ】
それは自慢になるのだろうか・・・・・・でも、サンドラの料理は食べた時の事を思い、本当に真剣に作っている美味しさみたいなのが感じられたから自慢出来るのだろう・・・・・・まぁまだカレーしか知らないけどね
「さぁ!まずは油の準備だ!!」
サンドラは人型になると、大きな底の深い鉄のフライパン?中華鍋かなぁ?を出してきて、その上でマミーを絞った
ボタボタボタボタ・・・と、マミーの体から大量の油が出てくる
「こいつらの油は高級品だよ~傷ついたものを癒すときに体の中を特殊な油で満たすんだ、それからその油を傷ついた場所に染み込ませていく、傷が多く深いほどマミーの油は大量にとれるのさ」
慣れた手つきでマミーの油を絞り終わると、他にも置いていたマミーを私に渡してくる
私も負けじと絞るが、力が弱いせいかあまり絞りきれない
何だろう巻かれている時はわからなかったけど、包帯の中にプルプルしたゼリーがある感じだ
肌触りはスベスベしていてとても不思議な感覚
「こんなもんだろ」
中華鍋の半分が黄金色の油で満たされた
次にサンドラは、マミーを水でゴシゴシ洗い出した
洗っていくとマミーはバラバラとほどけてきて、細長い糸になった
「マミーだけじゃ寂しいなぁ」
冷蔵庫から、人参、玉ねぎ、ピーマンを出してきて私に渡す・・・切れと言うことだろう、まな板の上に食材を並べて包丁で切っていく
料理はやらされていたから、一通りのことは出来るのだが
「手を切っても大丈夫、そこの油につけたら治るから」
と、サンドラは本気か冗談かわからない事を言ってきた
糸になったマミーと野菜を混ぜて、小麦粉を入れるサンドラ・・・・・・
「ねぇ、不思議だったんだけど、何で普通に私の世界の調味料とか野菜とかがあるの??」
そう、ここは異世界のはず
元の世界のモノなんか、今まで見たことも無かった
勿論似ている食べ物はあったけど、全く同じものは初めて見た
「これか?これは元々お前のいた世界の人間が産みだしたものだよ」
「産みだした?」
「そうだよ、植物を生成する魔法が使える奴で、この世界にもかなり浸透しているが値段がまだ高いから市場にはなかなか出回らないのだよ」
サンドラは手早くマミーと野菜と小麦粉を混ぜて、油で揚げていく
ジュワージュワジュワジュワワ
小麦粉が白から黄金色に輝きだす
パチパチ・・・カラカラカラ
「さぁ、揚がったわよ」
香ばしい匂いを嗅いだ瞬間
私のお腹はまたけたたましい音を立てた




