何者にもなれない人間達
この時代に来てから僕はエマと一緒に住み始めた。
元の時代へ戻る方法を探すためだ。
しかし、元の時代へ帰る方法はこれっぽっちもわからなかった。
わかったことと言えば、すでに天使が人を減らし終えたということだ。
ソフィーの願いはかなわなかったということだ。
きっと、消えた人間たちは後悔していないだろうが本当に良かったのだろうか。
そんな死に方で、満足だったんだろうか。
目を覚ますと、白い天井がある。
カーテンを開くと気持ちのいい光が身体にそそぐ。
そして、今日も頑張ろうなんて思う。
下に降りると、エマが作った朝ごはんがある。
顔を洗い、椅子へと座る。
今は、当たり前となった日常である。
こんな日常が好きだ。
いや、好きになってしまった。
そして、仕事へと行く。
たまには、嫌なこともあるだろう。
そしたら、やけ酒するだろう。
でも、きっと元に戻るだろう。
だって現実は今だから。
僕の人生幸せだ。
さあさて、こいつは本当に幸せなのかね?
この人間は夢破れた青年だ。
過去に戻ることをあきらめ、現実に生きることを決めたんだ。
これはいい選択だったのかね?
まあ、少なくとも俺はいい選択だったと思うけどね。
だって、こいつは無力人間だからさ。
アニメとか漫画の主人公なら落ちてくるものを全部拾おうと頑張るもんだし、拾わなきゃいけない状況になるんだ。
でもこいつには逃げ道がありすぎた。
信念もなかった。
そういう人間は逃げたほうがいいよ。
勇者になれるのは選ばれた人間だけなんだ。
何の才能もない奴はせいぜい、わき役としてサポートするのが関の山だよ。
というわけでこいつの物語はおしまい。
一瞬だけでも輝けそうな瞬間があったことに感謝しろよ。
ん?俺は誰だって?
俺はこいつの代わりだよ。
こいつができなかったことを成し遂げた人間だ。
要は輝いている人間ってこと。
……
はい!終わり!
まあ、非日常なんて求めるなってことだ。
どんだけ苦しくても平和な日常に感謝して生きろ。
そういうわけで、じゃあな、きっと何にもなることのできない人たち。
朝起きると見覚えのある天井だった。
ベッドの感触が昨日とは違う気がする。
カーテンを開けるとどんよりとした雲が目に入る。
今日は雨か。
そんなことを思いながら下へ降りる。
しかし、ご飯はない。
よく見ると、そこは消えたはずの風景が広がっていた。
時計は朝6時ちょうどを指している。
今日は少し早く起きてしまった。
無意識に学校への準備をする。
冷蔵庫の中には朝ごはんを作れるほどの材料さえない。
仕方ないので朝ごはんを抜いた。
そして、僕は違和感を持ちながら学校へと行った。
ばったり未来と会う。
「おお、おはよう」
なぜか少し戸惑ってしまう。
「おはよう。どうしたの?」
「いや、なんかね」
「よくわからないね」
雑談をしながら教室へ行き、いつもの習慣のため別れた。
コーヒーを買った。
そして、図書館へと行く。
新聞を読む。
特にめぼしい記事もなかった。
なぜか、落ち着かないため教室へと戻った。
教室にはまだ未来しかいなかった。
僕は今日見た夢の話を未来へとした。
未来も同じような夢を見たらしい。
そんなことに少し運命を感じた。
夢の内容は非現実すぎて僕には少し受け入れがたいものだった。
未来も同様らしくこんなのはあり得ないなんて言っている。
きっと僕らはこのまま普通で終わると思う。
そんなことが幸せでいいことだと思う。
人生の消費期限はもう過ぎた。
見ていただきありがとうございます。初作品なので手探りでしたが、今後の作品に生かせそうなものが多く発見できました。
もしよければ、また次の作品も見ていただければと思います。




