苦労しそうだなぁ
「ここはどこだ?」
周りは白い地平線が広がっている。
見る限り白い床が広がっており、人の姿もなかった。
うーん、これは困った。
僕は消えたはずだ。
天使と共に。
しかし、今、僕は生きている。
いや、生きているかどうかはわからないが存在している。
「うーん。とりあえず適当に歩いてみるか」
右も左もわからないまま僕は歩いた。
「はぁ……」
歩いても、歩いても景色は全く変わらない。
心なしか色が変わっているような気もするがきっと気のせいだろう。
多分、頭がおかしくなっているだけだ。
もう死ぬしかないな。
とか思うのだけどおなかがすくことがない。
疲労もない。
おそらくこれは死ねないだろう。
「どうすりゃいいんだー!」
僕は叫んだ。
すると、どこからか返事のようなものが聞こえてきた。
何を言っているかはわからない。
しかし、確実に何かを言っている。
もう一度叫ぶ。
「おーい!」
「た……て………い」
声の方向を間違えないように慎重に進んだ。
声の方へ進んでいくと。声の主が見えてきた。
しかし、どこか見覚えのある顔だった。
「ん?」
「えっ?」
その人物は対立していた天使だった。
「なんであんたがここにいるのよ」
少し不満げな様子でそんなことを言われる。
「それは僕のセリフだ」
今、僕は彼女と一緒に行動している。
不満はあるがこの空間が何かわからない以上協力するしかない。
「なんかこの空間についてわからないのか」
「わかるわけないじゃない」
「だいたい、あなたたちが邪魔しなければこんなことにはならなかったのよ」
キッと彼女は僕をにらむ。
「消される身にもなってくれよ、消されたら死ぬのと変わらんでしょ。それは消えたくないに決まっているよ」
「そんなの知らないわよ。だいたい消える人間っていうのはこの世に未練がなくなった人間なんだから生きても仕方ないわよ」
生きていても仕方がない?さすがにそんな人間はいないだろう。そんなことを言ったら必死に生きているみんなはいったいなんだというのだ。
納得いかない。
「お言葉ですが、人は何かしらの意味を持って生まれていると思いますがそれはどう思いますか?」
「そんなの知らないわよ。私に聞かないで」
不機嫌そうだ。
「へーそんなこともわからないんですか~。天使も大したことないんですね!」
僕は挑発するように言う。
「うるさいわね!知らないに決まっているでしょ!」
今にもとびかかってきそうなオーラを出している。
「というかそんなことよりもここから出る方法よ!早くあなたも考えなさい!」
そういうと彼女はそっぽを向いてしまった。
「はぁ……」
今は、争っている場合ではないのかもしれない。
しかし、さっき思い浮かばなかったのだ。
今、新しく思い浮かぶわけもない。
困難考えても無駄だな。
僕は目をつむった。
「なに寝てんのよ!」
「痛っ!」
往復ビンタみたいに彼女は僕をたたく。
そんなにたたかなくても……。
「それでどうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ!何か思いついたのか聞いているの!」
「思い浮かぶわけないじゃないか」
「だいたい、この世界に連れてきたのはあんたでしょ。あんたのほうがわかるでしょ?」
そういうと彼女はうつむいてしまった。
「あんたがあんな願いするほうが悪い……」
「百歩譲って僕が悪いとしても、これくらい想定はできたでしょ」
「それでお前が悪いってどういうこと?」
「天使なら自分でどうかしろよ」
そういうと彼女は黙ってしまった。その姿は銅像のように固まっている。
「はぁ……。困ったら黙るのやめたほうがいいよ」
「ぐっ……ん……」
「どうしたの?」
反撃しないことに少し心配をしていたところ。
「うわぁぁぁぁん」
泣き始めた。
「ちょっと待ってくれどうした?泣き止んでくれ」
「うわぁぁぁん。いじめないでよ!私だってわかんないよ!」
「ごめん!謝るから泣き止んでくれ」
そういって僕は彼女の背中をさする。
「言い過ぎたよごめん」
「うん……ぐすん。私も悪かったよ」
そういうと彼女は涙をぬぐい、頭を下げた。
「ごめんなさい」
「こっちこそごめんね」
少し落ち着いたようだ。
さっきはごちゃごちゃとなっているところにたたみかけるように言ってしまった。
少し反省しないとな。
「それでこれからどうしよう」
「これから……?」
彼女はウルウルした目で見てくる。
「そうだな……。とりあえず、ここで生活するしかないか」
そうは言ってもここには何もないし、とりあえず死ぬこともなさそうだいじょうぶか。
贅沢言うなら娯楽が欲しいくらいか。
そういえばソフィーは好きなものを出せていたな。
「そういえば、天使の能力はまだ残っているか?」
「天使の能力?」
「そうだ。物だしたりできるだろ?」
「うん」
そういうと彼女は銃を取り出した。
「できるよ」
そうか。よしよしこれならどうにかなりそうだ!