決意
僕は足の向かうままに進んでいた。
何も考えず、前も見ず進んでいた。
そして、着いた先は海だった。
「きれいだ」
海は夕焼けで真っ赤に染まっていた。
血のように赤い海。
近づくと透明である。
手ですくう。
透明だ。
下がってみると、赤くなる。
角度を変えると、青くなる。
海は見る場所によって色が変わるのだ。
僕はわかった。
これならば天使に対抗できるだろう。
僕は家に帰り、ソフィーに事の顛末を話した。
そして、謝った。
謝ってどうなることではないが他にできることはない。
してしまったことはもう取り返しがつくことはない。
「大丈夫ですよ」
「ごめんなさい。私が巻き込んでしまいましたね」
いや、それはいいんだ。僕にとってソフィーが来てくれたことはとてもいいことだった。
むしろ感謝しているよ。
だって、今まで非日常を望んでいたのだから。
まさか、こんなに怖いものだとは思っていなかったけれどね。
「ごめんなさい」
そういうとソフィーは頭を下げた。
そふぃーは悪くないよ。
悪いのは僕だ。
何も考えず、助けて、協力して、勝手に行動して、邪魔になったんだ。
もちろん、助けようと思ったんだよ。
でも、できなかった。
ただ、それだけだよ。
「はい。いままでありがとうございました」
うん。じゃあ、頑張ってね。応援しているよ。
そういってソフィーは僕の家を出ていった。
これでよかったのだと思う。
これから僕がやることには誰も巻き込みたくない。
一人でやって、一人で責任を持ちたい。
この世の中には自己責任という言葉がある。
その言葉の真意は、自分した行動の責任は自分で取るべきということだ。
誰かが傷ついたのなら責任は誰かにある。
では、誰かとは誰だろうか。
それは傷ついた本人かもしれないし、傷つけた相手かもしれないし、はたまた、親かもしれない。
ただ、その時、誰かが、僕の責任ですといったのなら、それは、その人ひとりの責任になることができるのだ。
僕は天使の元へ行った。
「おい!ちょっと聞きたいことがある」
「あら。いきなりどうしたのかしら?」
いきなり表れたことになにも同様せずに返答してきた。
これから、負けるというのにのんきなものだ。
「お前は人の願いをかなえてくれるんだよな」
「ええ。そうよ」
秘策だ。これが通じないのなら、消えるしかない。
「じゃあ、俺の願いを叶えてくれ!」
「いいわよ。願いを言いなさい」
彼女は肯定する。
僕の思惑をわかっているのかわかっていないのかわからないが、願いをかなえてくれると彼女は言った。
その事実は覆ることはない。
「俺の願いは……」
ためらう気持ちを抑え、一気に出す。
「俺の願いは、天使を消すことだ!」
その瞬間、僕と天使は消えた。