進展
そんなことを考えていると僕の体は自然とあの公園へと向かっていた。
公園に着き、僕は倉庫へと向かった。
鍵は壊れている。
ソフィーが壊した時と変わりはない。
「昨日今日じゃさすがになおせないか」
そういいながら、倉庫の扉を開けた。
倉庫の中は前と変わっていない。卓球台があるだけだ。
おかしいところはないはずだった。
念のためくまなく探してみるが、何もない。
「さすがに心配しすぎか」
天使という存在が邪魔をしてきたという事実に少し恐怖を抱きすぎているのかもしれない。
そう結論付け、僕は倉庫を出ようとドアに手をかけた。
「さっきから何をやっていたのかしら」
後ろから声をかけられた。
しかし、後ろを向くことはできない。
「何をしていたか教えてくれないかしら」
とりあえず、ソフィーに連絡しなければならない。
そう思い、ポケットへ手を伸ばすがそこにはケータイはない。
「他の人に連絡しようとしても無駄よ」
そういうと何かを落とした音が聞こえる。
「もう一度聞いてあげましょうか」
「ここで一体何をしていたの?」
ここで頓珍漢なことを言ったら殺されるだろう。
しかし、本当のことを言ってしまったら未来やソフィーにも危険が及ぶかもしれない。
どうしようもない。
「何をはなせばいい」
「ここで何をしていたか話しなさい。さっきからずっといっているでしょ」
「頭が真っ白で何も考えられないんだ」
「あらそう」
彼女は僕に近づいてくる。
「殺さないから安心して」
彼女は僕の手首に手錠のようなものをして倉庫の扉を閉めた。
その時にちらっと見えた彼女は楽しんでいるように見えた。
「それで何をしていたかゆっくり聞かせてもらえないかしら」
彼女が僕を詰問する。
「ちょっと深呼吸させてくれ」
そういって僕は二回ほど大きく深呼吸する。
「スーハー……スーハー……。よしそれでここにいる理由だっけ?」
「ええ」
「ここにいる理由は……」
ここは正直に言うべきだろうか。それともごまかすべきか。
というかこの女はどこまで知っているのか。
わからない。わからない以上、ごまかすことはできないだろう。
「ここにいる理由は、昨日壊れていた錠が直っているか確認しに来たんだ」
「ふーん。そうなんだ」
彼女は僕に近づいてくる。
そして僕の胸元をつかみ引き寄せる。
「本当のことを言いなさい。さもないと、あなたの友人がどうにかなるわよ」
そういって僕を突き飛ばす。
「今の立場わかっているの?圧倒的に私の立場のほうが上でしょ?」
「クソっ!」
正直、言いなりになるのは屈辱だがもう仕方がない。こうなってしまってはあきらめるほかないだろう。
「全部、話す」
「話すじゃなくて話しますでしょ?」
鋭い眼光で僕をにらむ。
「全部、話します」
僕はすべて話してしまった。
今ソフィーがどこにいて、何を目的に行動しているか、どこまで教えてもらったか、全部全部話してしまった。
「もうどうしようもないな」
もう、終わりだ。
これから先の人生は絶望しかない。
こんな人生なら生きるだけ無駄だろう。