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未知の大国の一兵卒  作者: 安村 餡子
1/2

一人の兵士

人が武器を取りまだ国同士で争いをしていた時代。その中でも大きな力を持っていた三つの大国があった。

ユピテル・ユーノ・ミネルウ、、

この三つの国が特に大きな力を持っていた。そしていまから語られる物語はユーノという大国の一兵卒の物語である。




ユーノ帝国は3大国の中でも技師が作り出した高精度の武器や飛び道具などを主体に大きくなった。

そのため兵にもたせているものは剣ではなく基本的には小型化されたピストルと大きな火力を出せる重火器が装備させられている。

そして国のあちらこちらに建設された工場からは黒煙が絶えることなく上がり日々武器が生産され続けている。

黒煙のせいで国が黒く燃えて見えることから黒果ての国などと呼ばれている。



この国の街のある街の一角である二人の兵士がもめていた。

「ゼム!おきなさい!あんたまた巡回さぼって!」

「うるせぇな〜いいだろどうせ今日も報告書は”街は平和でした”って書けば巡回したことになんだから」

「いいわけないでしょうが!はぁ〜いつになったらその面倒くさがりやが治るんだか」

巡回をさぼって家の屋根で寝ていた兵士はゼム・ユーステス。根は優しいのだが極度の面倒くさがりやでこうしていつも街の巡回をさぼっている。

そしてゼムのその兵士としての態度をいつも飽きもせず注意している兵士キリ・アシュリーは同じ隊であり訓練兵時代からの友人である。昔からゼムの面倒くさがりやなところにいつも頭を悩ませている。


「はい!もう行くよ!隊長から召集かかってんだから!」


「わかったよ…だからさその銃締まってくれない?」

そう言うとキリは銃をしまった。


「ばれてた??」


キリは上目づかいでゼムに問いかけた。


「いやそんな可愛い感じで言ってもダメだからね…いくら銃好きだからっておれで試し打ちしようとしないでくれる?」


「一、二発くらいいいでしょ!」


「バカ言えそんなもん避けれるのなんざ中尉クラスしかいねぇよ!」


 キリは生粋の銃マニアで銃のことになると目がない上少し頭のネジが緩む。

兵士になったのもこの銃生産大国で銃を扱いたかったからだろう。

一市民は所持することすら許されていないからだ。


「で、今回の召集はなんだ?いつもの定期召集にしてはまだはやいだろ」


「今回はなんか任務だって聞いたけど詳細まではまだ聞いてないんだよね」


面倒な予感がする...そう思いつつもゼムは召集場所へと足を進めた。


 そしてゼムの面倒な予感は当たった、そこには隊長ともう一人中尉の姿があった。

面倒な事を極力避けてきたゼムはこういう勘に関しては鋭い。


おいおい…

ゼムは頭を掻きながら苦笑いで溜息をつく。

しかしそんなゼムとは裏腹に横で子供が新しいおもちゃを見つけたような輝いた目をしているキリがいた。


「おい…何でお前はそんなに嬉しそうなの?」


ゼムは呆れた顔でキリに話しかけるが答えは聞くまでもなかった。


「だって見てよあの中尉の持ってるメインウェポン!銃口が四つもあるよ!あんなの見てテンション上がらないわけないじゃん!」


「だよね」


この時ゼムはわかってた上で聞いた自分が不思議でしょうがなかった。


「やっぱり中尉クラスになるとユニークウェポンが当たるんだね!」


「ユニークウェポン??」


ゼムが知らないのも無理はない、なぜならゼムのような一兵卒には普通耳に入らないような話だからだ。


 ユニークウェポンとは中尉クラス以上の兵士にのみ与えられる特殊装備、その兵士一人一人にあった世界に一つしかない銃を国の特殊技術班が製作することで兵士の強化を目的として作られたシステムだ。

ユニークウェポンを持った兵士と持たない兵士とでは力の差が10倍変わると言われている。


「しらないの?言うなれば中尉クラス以上しか持てない超レア銃って考えてればいいよ!でもゼムの武器もレアって言えばレアよね〜銃大国なのに剣って」


「まぁ俺の場合は銃が撃てない体のせいだけどな


そうゼムは銃が撃てない体なのだ!っと言ってもピンとこないのは無理もない。

ゼムは通常の人間と比べ体が細く筋肉量も少ない、訓練で筋肉トレーニングを行っていたが大してその体格は変化しなかった。要するにはゼム・ユーステスは銃の反動に耐えきり照準を定めるほどの体格を有していないのだ。

そのため特別に剣を装備することを許されているがそれは一般的な能力を持つ兵士で銃が扱えない時点で兵士として国は通常では採用しないだろう。だがゼム・ユーステスは銃が扱えきれないという点を除けば優等兵と言っても過言ではないほど他の接近戦や学力においては他の兵士より頭一つ飛び抜けている。


「なんでそんな特殊な体してんだろうね〜銃を使えなくなる呪いでもかかってんじゃないの?」


「どうだろうな…まぁギリギリだがハンドガンくらいなら何とか扱えるようになったけどな」


まぁ10発中5発当たるかってくらいの命中率だけどな…

ゼムは自分の腰ベルトに装備してあるハンドガンを見ながらため息をつく。


「皆集まったな…今から任務の詳細をアローン・フィルミス中尉から話してもらう!では中尉お願いします」


「うむ」


ゼムたちが所属する第8警備兵隊隊長が中尉の顔色を伺いつつ話を進め出した。


この任務がゼムの運命を変えるものになることは誰も知る由もない。


「今回お前らザコ兵隊に与えられる任務は奴隷搬送だ!今ユピテルとの戦争で人員が足りていないためお前らザコ兵隊にこの任務が回ってきた、奴隷搬送なんざで失態を犯す奴はいねぇとは思うが万が一にも失態を犯す奴がでて来たときには俺が直々に処刑してやるから肝に銘じておくように」


「はっ!」

奴隷搬送か…また嫌な仕事が回ってきたもんだ…


「私奴隷制度嫌いなんだよね…同じ人間なのにおかしいよ」


「まぁな」

奴隷制度。

ここ1年弱の間に新しく国が導入した制度でまだ制度が確立してそんなに経っていないせいか奴隷に違和感や不満を抱いている国民は半数近く存在し、まだ奴隷という身分が馴染みきっていないのだ。

キリがいい例だ。



「ゼム!中尉に噛みついちゃだめだからね!?」


「俺は面倒ごとは嫌いだからなーーそんなことするくらいなら昼寝するさ」


さて、この面倒なイベントをどう乗り切るか...


ゼムは基本的には面倒くさがりやだが負けず嫌いな面もあり客観的に見ればゼム・ユーステス自体面倒くさい性格をしている。


それから中尉から隊長に話はバトンを渡され任務の内容を事細かに説明していった。


「要するにあれだろ?奴隷を大衆の中を通って運ばせることでより奴隷制度を表に出していこうって根端か」


「そうだね…国が認めているとはいえ奴隷を買うことに罪悪感を抱くのが普通だからね」


「胸糞悪いな…」


ゼムの表情が次第にいつもの緩さを失っていく様をキリは見逃さなかった。

バカ...

キリは知っていた。ゼムが兵士になった理由がこの任務では障害になるということを。


そして二人は奴隷の国の中へ受け入れる担当に就いていた。


門を開けよ!受け入れ担当の二人はその指示に従い門を開けた。すると門の中から奴隷が収容された幅約10m高さ約3mもの檻が姿を現した。その檻には大体奴隷が15から20人ほどの奴隷たちが収容されていた。

まだ年端もいかぬ子供や老人や若い女性など無差別に奴隷となっていた。

命乞いも抵抗も無意味とわかっているのか奴隷たちからは生気というものが感じ取れなかった…

「ゼム…」

キリは強くゼムの軍服をつかんだ。

ゼムはその時どこに矛先を向けていたのかわからないが静かに怒っていた。それは誰も気がつくことのない静かすぎる強い怒りだった。

大きな4銃口をぶら下げ歩いてきたのはアローン中尉。

「おい!さっさと運べ!グズどもが!」

「はっ!」

本来アローン中尉は街の中央地点で合流するはずだがなぜここにもうきているのかはその後すぐにわかった。

「さーて今日はどいつを買おうか」

品定めだ。アローン中尉はいち早くいい奴隷を買うために作戦とは違う行動をとっていたのだ。

ゲスが…

ゼムは無意識に中尉に嫌悪の視線を送った。

「おい…なんだいま殺気向けてきた奴は…」

やっべ!

「そこの女兵士きさまか?」

殺気は感じとったらしいが誰とまでは性格にわかっていないらしいがそのせいでキリが目をつけられてしまった。

「えっ!?」

「きさまかと聞いている答えろ」

「いや私は…」

すかさずゼムが間に割り込んだ。

「いえ中尉、自分であります」

「ほう…きさまか、いい度胸をしているな…銃も扱えん国の恥さらしの分際でお前を先に奴隷にしてやろうか?」


中尉はゼムの元へゆっくりと足を進めながら右手をユニークウェポンに手をやると凄まじい殺気をゼムへあてる。


そんな一触即発の中一人の兵士が中尉に慌てて駆け寄る。

「中尉ご報告します!先ほど入国した奴隷の一人が逃亡しました!錠が劣化していたらしく気がついた時には逃亡されていたらしく…」


すると中尉は再び背中の武器へと手を伸ばしその兵士へと銃口を向ける。


「おい…いったよな?失態を犯せば処刑すると」


その瞬間大きな衝撃とともにアローン中尉のユニークウェポン”四口閻王”が放たれた。

中尉の4銃口から放たれる弾丸は容赦なく兵士の体をパラバラにし原型をとどめていないそれは殺すという表現より壊すという表現の仕方の方が適切であった。


「きさまもああなりたくなければその兵の失態を拭え!それでさっきの事は不問にしておいてやる」


ここはYESという選択肢以外にはなかった…キリは放心状態、そして目の前にはユニークウェポンを構えた中尉ときた。

一兵卒のゼムは何もできるはずもなく無力さを飲み込みその指示に従うしか守る方法がなかった...

  



「うっ..ゼム…わたし…」


あの指示を受けてから20分が経過したあたりにキリは中尉の攻撃の衝撃で失っていた意識を取り戻した。


「大丈夫か?」


ゼムは逃亡した奴隷を探しつつキリを安全な場所へと誘導していた。

「私は大丈夫...ゼムは?」

少しふらついた様子でキリは立ち上がる。

「ああ、問題ない。それよりおれ中尉から受けた任務あるからいくわ!」

「じゃ私も手伝うよ!もともと中尉に目をつけられちゃったの私だし…」

ゼムは頭をかきなが面倒くさそうに顔を背けてキリのことをチラチラ見る。その態度にキリも頭をかしげる。

「なに?なんか言いたい事あるならいってよ」

「いやー実はですね?」

そしてゼムが中尉から目をつけられた経緯を一部始終話した。

「それ本当なの?」

「おれの好きな食堂で出てくるトマトに誓って」

「ありえないんだけど…私のせいだと思い込んでたのがバカみたいじゃない!!」

「いやね!そもそも中尉の感知能力が…」

とゼムが言いかけた瞬間キリの顔面グーパンチが炸裂した。

「言い訳するゼム私嫌いなの」

この時ゼムは中尉よりおっかねぇと心のそこから思った瞬間であった。

「悪かったって!ほんとまじで!」

「じゃあいきましょ!」

とキリは腰のリボルバーを手に取り残弾を確認し始めた。

「いやどこに?」

「決まってるじゃない!奴隷捕縛よ」

ゼムは思わずキリの両肩をつかんだ。

「いや待てよ!今の話の流れからしておれが一人で行くってなるだろ?」

「なんでそうなんのよ ゼムだけに任せられないじゃない」

「いやだから…」

「行くわよー」

キリはすでに歩き始めていた。

そうだった…あいつ一度決めたら絶対曲げないんだった

「めんどくせぇな」

ゼムは吐き捨てた言葉とは裏腹に表情は柔らかかった。




ふたりはまず探索にあたり奴隷が最初に消息を絶った地点から情報を集めることにした。


「ここが奴隷が逃げた地点だな...おれ情報収集とか苦手なんだけどな〜」


「よく一人で探し出すとか言ったわね...あれ?これって奴隷の檻の格子?」

まさか奴隷がやったの...いやっありえない!素手でユーノ製の檻を壊すなんて...5tの衝撃でも壊れないほどの強度よ...


キリは格子の破片を見ながら深く考え込んでいた。

その一方でゼムはあるものを見つけていた。


「嘘...だろ...」


約15人の兵士の死体がそこにあったのだ。

奴隷消失地点から少し進んだ先の路地裏に手で引きちぎられた様な殺され方をされている兵士の死体。

その無残なまでの姿は身元を確認できないほどの有り様になっていた。


ふたりは思った。おれ達(私達)では手に負えないと。

そしてこのことを分かった上で中尉はこの任務を言い渡したのならば意図はどういうものなのかという疑念が1つの答えをゼムに出させた。


「きり..いくぞ」


「え?どこによ?まだ結論を出せるほど情報集まってないじゃない!」


「中尉のところさ」

ゼムの頭の良さは同期で一番だ。ゼムが出題で迷ったところを一度も見たことがない。それ故にキリは心に大きな不安を抱かずにはいられなかったのだ。


「みて!あれってアローン中尉といた部隊じゃない?」

とキリが指差す方向に目線をやると銃を構え戦闘態勢を執っている兵士達の姿があった。

それは護衛をするために構えているというより敵を前にしている状態に見えた。

すると隊長の掛け声と同時に発砲音が街中で響く。

と同時に脱走した奴隷が兵士を蹂躙していた。

ボロボロの小汚い奴隷用の衣服が兵士の血で真っ赤に染めあがっていた。ユーノ製の軍服は普通の弾丸ならば貫通しないほど頑丈だ。それを素手で引き裂かれる様は異常な光景に他ならなかった。


「奴隷!?だがアローン中尉いはいないか」


ゼムは確信に至った。


「止めるぞ!このままだと奴隷制度が主流の国になっちまう!」


ゼムは背中にある剣と左腰にあるハンドガンを手にかけた。


「ちょっとまって!どういう事か説明しなさいよ!」


ゼムが一人自己完結している状況に理解が追いつかないキリはリボルバーに手をかけ今にも飛び出して行きそうなゼムの前にへと立ち塞がった。


「いま説明してる暇はない!とにかく奴隷が市民に手を出す前につかまえるぞ!」


ゼムの以上に焦った表情をみてただ事ではないことだけ理解したキリは進行方向をゼムに合わせた。


「分かったわよ!後でちゃんと説明してね!」


ゼムはキリに話す気は毛頭なかった。なぜならこれが国にからの指示で起きている事であれば一兵卒に過ぎないゼムやキリは消されかねないからだ。


その瞬間、ゼムは後ろに殺気を感じた...感じたことのある殺気...


「貴様ら何をしている?奴隷が眼前にあるのだ!任務を全うしろ!」


アローン中尉だ。

これが中尉の実力か...

ゼムは警戒していなかったわけではなかった。

この近辺にアローン中尉がいることを想定して周りに気を配っていたが相手が悪かった。

アローン中尉からしたらゼムの警戒をかいくぐり後ろを取ることなど容易なことであったのだ。


「貴様は頭がキレるな、惜しいが...」


「ガハッ!!」


「ゼムッ!」


アローン中尉のアッパーがゼムの腹部をえぐった。

ゼムは一瞬意識が飛びかけたがなんとか持ちこたえた。

続けてアローン中尉は倒れ込んだゼムの頭上にめがけて足を振り下ろした。

するとゼムの顔面は街のコンクリートにめり込んでその周囲には亀裂が走った。


「どれ?死んだか?一兵卒ごとき武器を使うまでもない。それほどの価値も無ければ意味もないが奴隷の脱走の意図を読み解いた事だけは評価してやろう!」


「キリから離れなさい!!」


キリは両手のリボルバーをアローン中尉の脳天をねらい放つ。リボルバーの反動はハンドガンの中でも強いゆえにキリは放った後大きく手を反動に沿って流した。だが射撃精度はよく、弾はアローン中尉の脳天へに命中した。しかし弾はまるで壁にでも当たったかの様にアローン中尉から50センチあたりのところで弾かれた。


「なんで!?狙いは完璧だったはず!」


「これは中尉クラスから装備させられる弾道バリアだよ。俺が認識できる弾丸は全て弾かれるようになってる」


「そんな...」


もうだめだ...そもそもこの国のシステムが上に勝てないよう作られてるんだ...


「終わりだ。貴様らが何かできると過信したせいで俺が動かなくちゃならなくなった!死ね!我らユーノの勝利のために!」


アローン中尉が背中にある巨大ショットガンをキリに向けて構えてた。

そして引き金に指を置いたその瞬間。

アローン中尉は異変に気付いた。

引き金を引こうとしていた指が姿を消していたのだ。

と言っても本当に消えたわけではなく切られていたのだ。


「なんだと?指が...」


アローン中尉は殺気を感じていた。

さっき地面に頭を叩き落とした先から...


「まかさ...貴様か??ゼム・ユーステスゥゥゥ!!」


アローン中尉は銃口をゼムの方へと矛先を変え引き金を他の指で弾く態勢をとった。

だが同時にゼムがとてつもない速さで背中の剣を抜きアローン中尉の銃口を弾きそのまま銃を握っていたアローン中尉の腕を下から上と剣を切り上げ切断した。


「ぐあぁぁぁぁぁあ!!」


アローン中尉の叫び声が街の中を響き渡る。

今は市民は奴隷公開のイベントが街の中心広場であるため街の中に人はいないため大の大人が叫んでいる様子を見ているものはいなかったが見ているものからすれば消して嬉しいものではないことは確かである。


「こんなもんじゃねーぞ...奴隷がてめぇにやられたことはな。」


ゼムはいつもより低めのトーンの声でアローン中尉に語りかける。


「てめぇは奴隷を使って市民から犠牲を出して同じ人間という枠から憎い対象に変えて奴隷を同じ人間として扱う方がおかしいという状況を作り出すためにわざと体を改造されているミネルウの奴隷を選んで脱走させたんだろ?」


「そこまで分かっているのならなぜ拒む?奴隷産業を使えばより国は発展する。国のためを思うなら拒む理由がみつからないだろう?」


ゼムは溜息をつくとアローン中尉に剣先を向ける。


「そんな国、おれは住みたくねぇ。それが理由だ」


「ははっ!何様だ貴様は?一兵卒ごときがお前の自己満足で動くとでも思っているのか?確かに貴様はどこで体得したかは知らんが剣技は一級品だ。がそれがどうした?剣なんてなんの役にも立たん。立つのは権力だけだ!貴様はまずその剣技と頭の良さを生かし権力を手に入れるべきだったな」


「確かにそうだったな。だがおれは昔から面倒くさがりやだが一度やると決めたことは絶対実行する!

そしてさっきおれはお前を殺すと決めた!おれはこの状態を長く保てないらしい。だから消えてくれ、アローン中尉。」


ゼムは剣をアローン中尉の頭に向けて振り下ろした。

するとアローン中尉の体は半分に裂け、その下のコンクリートも振り下ろした剣筋に沿って亀裂が入った。


その光景を目にしていたキリは思わずしゃがみこんでしまった。


「キリ...お前はここから離れろ。ここにいるとお前も...」


と最後の力を振り絞りキリに呼びかけるも力つきゼムは倒れてしまった。

キリはゼムの元へすぐには駆け寄らず座り込んでしまっていた。


此処までがゼムの辿る物語の序章に過ぎないことは誰も知る由もないのであった。























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