41話 料理
高機能執筆フォーム…どうして君はいなくなってしまったのか。
アレほどまでに便利だったあの機能美。
まったく残念でなりません。
それでは愚痴はココまで、本編をどうぞ。
追記:東では無く南です。修正しました。
パーティーのメンバーも揃い、いざ南へ!
となると思っていたのだが、
「悪いが食料の調達が間に合ってない。」
「んー、ミーシャちゃんも準備が終わってないかな☆」
ということで一旦解散、南門にて再集合という運びになった訳で、正直手持ち無沙汰だ。
という訳で丁度時間を潰すところも見つかり、そこで暫く時間を潰すことにしたわけなのだが、
「うわっ!これは安いな!おっちゃん、これ頂戴!」
「銅貨4枚だ。」
「はいよ。」
「ほらよ。」
「っと、商品投げるなよ。お、あっちのはミンか!んじゃなおっちゃん!」
想定していた以上に掘り出し物が沢山あり、いろいろと買い求めているわけなのだが、
「まだ買うの?」
「そんだけの量って山奥にでも籠るつもりかいな。」
不味い。
手が止まらん。
ラナとペグが付いてきてくれているのだが、正直なところそっちに構ってられない。
それよりも目の前のこの辺りでしか買えない食材の方が気になる。
という訳で色々とバイヤーの如く買い漁ったのだが、
「どうしましょう、アイテム欄がパンパンです。」
「アホかお前は!」
スパン!
ペグのハリセンが唸りをあげて俺の後頭部に直撃、脳が揺れるっ!
「あー、ぐわんぐわんする。力強くね?」
「STR極振りやからな!」
「いやいや、極振りの力で叩くなよ!普通に死ぬだろうが!」
「チッチッチッ、舐めてもらったら困るで。[ステータス]見てみ。」
「おお、1残ってる。ナイス調整!ってなる訳ねぇだろうが!」
こいつ馬鹿じゃねぇの!?
ん?というか今変な事聞いたような気がするんだが?
「おいペグ。お前今STR極振りって言わなかったか?」
「言うたで。」
「え?マジで?」
「マジや、大マジや。」
「極振りとかお前どこ目指してんだよ。」
「バ火力?」
「だろうよ!!」
WSOの極振りは一応レベルアップで全ステータスが少しは上昇するとはいえ、臨機応変に対応できるとは言えないロマンプレイの代表格で、普通はどこかで対処し切れない敵に遭遇して心が折れて止めるんだが。
「お前、それでまともにプレイング出来てるのか?」
「もちろん、出来てへんかったら救済措置のステ振り直しやっとるわ。」
「まあそれもそうだけど…。」
ということはペグは極振りでも対処できる方法を持っているということか?
となると、なんとなく読めてきた気がするな。
こいつにフレンドが少ない理由。
「まあ、想像通りなら対応策もあるから問題ないか。」
「ん?なんか言うたか?」
「いや、何でもない。ペグ、おまえのそのバ火力、頼りにしてるぞ。」
「任せとき!」
まあ折角のゲームだ。
これぐらいピーキーなプレイスタイルの奴と一緒に戦うのもまた一興だろ。
「とりあえず、
「彼の者に救いの手を『ミドル・ヒール』」
からの、MP回復待ちついでに買い物の続きと行こう!」
「やること自体は変わっとらんやないか!」
っと!
「避けんな!」
「無茶言うな!また死にかけるだろうが!」
「アイテム欄一杯になってもうたんやろうが!これ以上どないすんねん!」
「あっ…。」
すっかり忘れてた。
「ペグ、お前のアイテム欄は?」
「まあ余っとるけど、これを貸し出したら俺のアイテム欄までパンパンにされそうやからお断りや。そもそも今の時点でパンパンにしてたらドロップアイテム取られへんで?」
「あっ…。」
「お前ほんまに大丈夫か?色々と。」
「あー、いやその…。忘れてた?」
「疑問形っちゅうのも変な話やけど、まあ自分で何とかせぇよ。」
「うっす。」
となると、
「集合まであと何時間だっけか?」
「あと1時間程度や。」
「分かった。」
ギリギリ間に合うか?
「俺は宿に戻って今買ったものを調理してくるけどどうする?」
「付いてく。」
「俺はパス。この辺りぶらついとくわ。」
「分かった。そんじゃ南門で合流で。」
ペグと別れ、ラナと共に現在泊まっている宿、'マタタビの蔵'へと戻っていく。
そうして宿への道のりの途中、すれ違う人々の顔には隠しきれない不安や緊張感というものが漂っているが決して絶望感は存在せず、それは単に英雄と呼ばれるギルドマスターのバジルが健在だからなのだろう。
しかしそれは裏返すと、バジルや後々に集まってくると思われる英雄が死んだ途端にそれぞれの顔には希望一つ見いだせない深い絶望感が現れ、その時が恐らくこのローニッツの秩序が崩壊する時なのだろう。
"モンスターカーニバル"の危機を乗り切る=ローニッツが守られる
という方程式が必ずしも成り立つとは限らない。
「ってことは俺達の役目は英雄のボディガードか。」
まったく嫌な設定盛り込んでくるなよ!
そんなことを考えながら宿へと戻り、部屋に入って料理を始める。
これから作る料理はこのイベント中に食べるものということで、ローニッツの外でも手軽に食べられるようにサンドウィッチやハンバーガー、おにぎりといったものを中心に作っていく。
で、
「そこまでギュッとしなくてもいい。握るのは形を整える程度の力でいいから。」
「ん、んん。こう?」
「それくらい。」
こうなったのも、一緒についてきたラナは俺の料理をする姿を見てなにか手伝わなければならないと思ったのか、
「なにか手伝えることは無い?」
と聞かれたことに始まった。
という訳で、料理は俺が担当し、仕上げをラナに割り振った。
意外と言っては失礼かもしれないが、ラナは器用で一度言ったことはちゃんと守ってくれており、一つ目に作ったものよりも二つ目に作ったものの方が綺麗に仕上がっていた。
想定外のラナの手際による手伝いもあったことによって、総合的に見て1.5倍程度の速度で料理を作ることに成功したところで、
「そろそろ集合時間だ。さっさと片付けて向かうことにしよう。」
「了解。」
思念操作であらかじめセットしておいたアラームが視界の端の方でブルブルと振動するように自らの存在を主張しているためにそう言い、コンロに入れていた火を止めて余熱で半熟の卵を作る。
その卵を受け止めるように[アイテム]から取り出した少し大きめの食パンを薄切りにしてゆき、レタスのような瑞々しいしゃきしゃきとした食感が特徴的な葉野菜の上にその半熟のとろとろとした濃厚なオレンジの黄身がゆっくりと圧し掛かる。
そしてそのオレンジの黄身の上に、燻されて香り高い生ハムを豪勢にそれの姿が見えなくなるくらいに重ならないように並べておくとその上に食パンを重ねてふんわりとさせながらも手に持っても形が崩れないという絶妙な力加減で整形してゆく。
ラナもそれに習って作り上げてゆくが、さすがに一発では再現できないらしく四苦八苦しているのを横目にテンポ良く残りのサンドウィッチを作り上げる。
「ん、出来上がり。」
そうしてラナが担当していた最後のサンドウィッチが出来上がり、それを何の目的で買ったのかは良く覚えてない丁度良いサイズのバスケット籠に収めると蓋を閉めて[アイテム]にしまうと、
「これで一通り完成っと。時間があんまり無かったから手の込んだものは作れなかったけど、手抜きはしてないからな。十分満足できる仕上がりになっているはず。ラナ、手伝ってくれてありがとうな。」
「いい。料理くらい出来るようになっておかないとみんなに笑われる。」
「そうか。簡単なものくらいなら教えることも出来るだろうから聞いてくれ。」
「お願い。」
まだ人に教えられるような腕前じゃないが、最初の一歩を踏み出す手伝い位はしてもいいだろう。
この先、彼女がどうなるのかは分からないけど。
まあそれはさておき、
「そろそろ南門に向かおうか。」
「時間?」
「ああ。」
「分かった。」
てな訳でさっさと南門に向かってしまいましょう。
「んじゃ行こう。遅れるとミーシャとかペグがうるさそうだ。」
「ん。」
ペグは単純にうるさそうだし、ミーシャは知り合って間もないからあまり詳しいことは分からないが想像の斜め上を行く指摘をされそうな雰囲気がある。
というのもあんな風な個性が大爆発しているという知り合いなら俺にもいるからな。
そいつに通ずるところもあって、それに巻き込まれないように普段から張っているセンサーに引っかかった。
最初は勢いに呑まれていたが、なんとなくそいつと通じる部分を見つけてからはなんとなく対応方法もおのずと分かってきたというか。
…まあ、その対処方法を簡単にかいくぐってくるのがああ言う手合いなんだがな。
「ま、何とか巻き込まれないように気を付けるしかないな。」
「ん?」
「ミーシャのことを考えていただけ。」
「んん?」
「いやいや、別に深い意味はない。よくよく考えれば知り合いにも似たようなタイプの奴もいるなと思っただけだ。」
「ミーシャと似たタイプ…頭痛がしそう。」
「まあ否定はしない。けどなかなか付き合ってみると楽しいもんさ。良い意味でも悪い意味でも普段は出来ないような体験が出来る。」
「ん~、良く分からない。」
「そう言うもんだろうさ。」
なんていう会話を交わしながら宿を出て、少し早歩きで向かってくる者を避けながら南門へと進んでゆくと、
「お~い、こっちや。」
聞いているだけで恥ずかしくなるほどの大声とぶんぶんと振られた手、そして満面の笑みを浮かべてこちらを見ているペグと少し離れた位置にじっと立っているゲルマ、そして内心が読み取れない笑顔を貼り付けて隣のペグに目を向けているミーシャがいた。
そのミーシャのなんともいえない笑顔に気が付いたのか、少し遠くて話の内容は分からないもののペグが何かを話し、しかしミーシャの笑顔に隠された迫力に次第に勢いが尻すぼみになってゆき、こちらも知り合いと思われることを覚悟の上で近くまで行ったときには、
「あんまり大きな声を出すと迷惑だから止めようね☆」
「いやでも…。」
「ん~、聞こえなかった?…ペグ?」
「ヒィッ!!」
いつかの怖い雰囲気を放ちながらいつもの愛称無しの名前を告げられた途端、ペグは震え上がって歯をカチカチと鳴らすこととなったが、結果として静かになったペグを見てミーシャは今度は本当に楽しそうな笑顔でこちらを向くと、
「全員そろったみたいだね☆という訳でリーダー、音頭をよろしくね☆」
なんという無茶振り。
先ほどのペグに対して行ったあの行動は一体?
と、そんなことを考えていると次は俺の番になってしまうような予感がひしひしと感じられるので、
「目標は南にいるモンスターの討伐。臨時パーティーだ、上手くやろうなんて考えなくても良い。連携ミスで負った傷は俺が治してやる。だから存分に戦うぞ!」
「「「「おー!」」」」
さて、戦闘開始だ。
色々と今回のイベントのために用意はしてきたんだ。
存分に実験台になってもらおう。
「クククッ。」
「おいリート、また悪い顔になっているぞ。」




