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辻ヒーラーさんは今日も歩く  作者: Luce
第2章 辻ヒーラーさんと初イベント。
42/45

40話 パーティー結成

間が開きましたが、それではどうぞ!


ゲルマとかいう赤髪のタンク役の男を仮のパーティーメンバーとして迎え、次は、


「…少し面倒だけど腕はいい魔法使いがいる。」


ラナの言う通り、その魔法使いを勧誘することに決定、その魔法使いの元へと移動を開始する。


そのラナの言葉に小さく「アイツかぁ…。」と呟いたゲルマが少し気になるが、ケ・セラ・セラの精神で柔軟に受け入れることにしよう。


少し歩いてラナが声を掛けたのはピンク色の髪の小柄な少女で、その彼女は魔法少女のようなふわふわたしたフリルが大量にあしらわれた華美な服を着てラナに気がつくと、にぱっという擬音が似合いそうな笑顔でラナに手を振る。


「ミーシャ、ちょっといい?」

「んー☆なになにぃ?この私、ミーシャちゃんに何か御用かしら☆」


うん、今の一瞬でよくわかった。


「手を貸してほしい。」

「ラーちゃんの頼みなら聞いてあげてもいいけどぉー☆どうして私に?」

「あなたの魔法の腕が必要。」

「へぇー☆で?その後ろの人たちが仲間ぁ?」

「そう。」

「ふぅ〜ん。」


ミーシャは後ろに手を組みながら腰を軽く曲げて、下から覗き込むように上目遣いを俺とペグを交互に覗き込むように近寄ってくる。


その様子はこう、なんというか…あざとい。


「私はミーシャだよ☆君たちは〜?」


パチンと音が鳴りそうなウィンクでそう言うミーシャ。


いっそその仕草が似合わないようなら、そういった格好に憧れを持っている少女というような印象を持つのだろが、その髪の色や体躯が妙に合っているためなんとも言えない。


「あ、ああ。俺はリート。」

「俺はペグや。」

「リーちゃんにペーちゃんね☆よろしくね☆」


よし、落ち着こう。

いきなり妙な呼ばれ方をされただけ、大した問題じゃない。


「あれあれ〜?ミーシャちゃんのこと、非歓迎ムード??」


ふぅーぅ。深呼吸、深呼吸。


「ミーシャちゃんはリーちゃんとペーちゃんと仲良くしたいだけなのになぁ☆お話ししてくれないの?ミーシャちゃん、悲しい!」

「ちょっとは落ち着いてくれませんかねぇ!?」


我慢出来るか!!


「えー?じゃあミーシャちゃんとお話してくれる??」

「するから!だから一旦ストップ!」

「やったあ!それじゃあ「ラナ!助けて!!」「無理」と思うでしょ?だから「そこを何とか!」「諦める。」って言ったの☆」


普通自分の話の途中で誰かが話し始めたら自分の話切り上げるよな!?

何?話をしないと死ぬの?


「なあゲルマの兄ちゃん。ホンマにあの人って「ミーシャちゃんね☆」…腕が立つん?」

「ああ、あれでもアイツは「ミーシャちゃんね☆」…ハァ。まあ強い、次のこのローニッツのAランク冒険者はミーシャちゃんだ。」

「ぶうぅ!真顔でミーシャちゃんって破壊力あるな!って痛っ!殴らんでもええやろ!」

「…うっせ。俺だって好きで呼んでんじゃねぇよ。ただその名前で呼ばないとめんどくさいことになんだよ。まあそれを利用したものもあるんだがな。」


あいつら、楽しそうな会話をしやがって!

こっちとら一向に話の通じないやつと会話を成立させようとがんばっているって言うのに!


仕方が無い。


「彼の者に安らぎを『ソウル・キュア』」


鎮静の効果を持った治癒魔法、本来は痛みをごまかすための麻酔のように使う魔法なんだが、地味にこういう暴徒鎮圧のような使い方も出来たりするのだが、これでどうだ?


「んー?えっとねえ。あっ、そういえばリーちゃんの話を聞いてないような気がする☆」


よし効いた!


「ごめんね~。少しだけはしゃぎ過ぎちゃった☆」


あれでちょっと?


「ラナ、本当に少しだけか?」

「うん、本来はもっとうるさい。」

「うるさいってひど~い☆」


これで少しって…さっそく前途多難なんだが?


「そういえばリーシャちゃんとパーティーを組みたいんだって?」

「ああ。」

「へえ~☆…本気?」


背筋がゾクッとするような悪寒、それを目の前に居るどこか薄っぺらく見える笑顔でいるリーシャから放たれたからなのか、思わず距離をとって武器である杖、鍛冶師のジル謹製の白と赤のコントラストが鮮やかな杖を[アイテム]から具現化させて手に持って構える。


俺の格好を見て何かを思ったのか、ミーシャは先程までの恐ろしい雰囲気を一瞬にして霧散させると、


「冗談☆ごめんね、試させて貰っちゃった☆」


首を横に捻って潤んだ目を向ける如何にもなあざとさを前面に押し出した、妙に似合うポーズで謝罪するミーシャは、


「というわけで結果発表です☆リーちゃん、ペーちゃんの結果は~どるるるるるる~、ででん!合格だよ☆どちらも早い反応を見せてくれたから私達の戦闘で最低限の活躍は出来ると思うよ☆」


ミーシャの言葉にペグの方を見てみると、ペグも腰の剣を抜いて剣先をミーシャに向けながらこちらの様子を伺っており、目と目を合わせると、


「だってよ。」「らしいで。」


よく分からないことを言い合って杖を[アイテム]に仕舞って、ペグは腰の鞘に剣を収めて再びすべての元凶ともいえるミーシャに視線を向ける。


…戸惑う俺達の様子を見て、ラナとゲルマが妙に同情的な視線をこちらに向けてきているということに関してはあえて触れることはしないでおいた。


「一応、ミーシャちゃんはふたりを認めることにしたよ☆あとはどれだけ期待に応えてくれるかだけど、頑張ってね☆」

「ああ。」

「分かったわ。」

「良かった☆」


イマイチどう扱ったらいいかはわからないが、さっきのペグとゲルマの会話の中にあった通りAランク冒険者に近い実力を持っているというところに期待させてもらう。


「これでどう?」

「ん?」

「パーティーメンバー。」

「そうだなあ。」


切り込み役のペグにパーティーの盾のゲルマ、斥候のラナに魔法使いのミーシャ、そして最後に回復役の俺。


パーティーの上限は6人であと1枠空いてるが、特に今の段階で不足は感じないからな。


「ああ、いいと思う。」

「良かった。」


一応ゲルマが仮所属とはいえ、リーダーは決めておかないと不味いだろうな。


「で、パーティーリーダーは誰がする?」


そう聞くとゲルマが、


「実力順ならミーシャちゃんだろうな。」


そう言うと、

「あー…お断り☆ペーちゃんは?」

「ん?俺はアカンで。そもそも前で戦っとる時に周りを見る余裕なんてあらへん。」


と尤もな理由で辞退するペグ。


となると、


「ラナか。」


消去法でこうなるわな。


「私は無理。少なくとも今は正しい判断を下せるとは思えないから。」

「あー、確かにそうか。」


確かに我を忘れて特攻なんてされたら一瞬でパーティーが瓦解する可能性だってあるからな。


「しっかし、そうなるとどうする?やっぱりミーシャ「ちゃん」…。ミーシャちゃんが指示を出すのが確実じゃないか?」


ミーシャの強引な主張に屈しながらもミーシャにそう言うと、彼女は俺をじっと見つめ、更にはほかの面々も俺を見て、


「んー、というかリーちゃんで良くない?パーティーリーダーは☆」

「は?」

「その見た目からして完全に回復役でしょ?」


今の俺の格好はこちらもジル謹製のスータンと呼ばれる黒一色の聖職者の平服で、肩から踝あたりまでスッポリと身を覆った様なものである。


確かに各町や都市には必ず一つは教会があるという聖職者が身近なこちらの世界の住民ならこの格好を見ればすぐに分かるか。


ん?

ということはラナが血まみれになっていた時に人垣が綺麗に割れたのもこの格好を見て回復させる手段を持った者だと判断されたからか。

納得納得。


と、それはともかくとして、


「回復役ではある。」

「なにか含みがあるように聞こえたけどまあいいや☆取り敢えず回復役ならパーティーの体力に気を配らないといけないから必然的に戦闘の全体を把握しなきゃならない訳でしょ?」

「多分。」

「多分とか何を言っているのかちょっと分かんない☆」


仕方ないでしょうよ!

そもそも"(あかり)"に入り浸ってたせいで余りパーティーとか組んでる暇が無かったからな!


「リーちゃんがズレているのはこの際置いておいて、そういう訳だから戦況を一番把握しやすい位置にいるから指示も含めたリーダーよろしくね☆」


ウィンクをしてそう言った彼女の言葉に残りの面々が頷く。


「俺にはそういった指示を出した経験なんてないぞ?」


精々、学校で委員長をした時の経験ぐらいしかないぞ?

その委員長をしていた時もいい指示ができたと思ったこともないしな。


「問題ない。」

「任せたで。」

「お前以外には出来ねぇんだ。それに指示が間違ってんなら拳骨で教えてやる。だから安心しておけ。」

「頑張ってね☆」


うわっ、もう断れそうな雰囲気じゃないな。


まあ何一つとして自信は無いが、それでもこの今向けられている目を裏切るわけにはなぁ。


「はぁ。引き受ける。けど手助けは頼むぞ。」


ここが妥協点だろう。


俺の言葉にそれぞれが拍手をしたところで、


『プレイヤー:リートをパーティーリーダーに設定しました。』


というウィンドウが目の前に現れ、名実ともにこのパーティーのリーダーに就任したらしい。


「ところでパーティー名はどないすんの?無いと不便やろう?」

「足並み揃えるためにもあった方がいいよ☆という訳でリーダーに任せた☆」

「げっ。」


苦手なんだがなぁ、こういう名前を決めるの。


んー、種族は違うし性別も違うとなると共通点を名前にするという方向はパス。

なら結成の理由?

といってもなぁ…愉快な仲間たちは流石にナシだろうからなあ。


じゃあ目的か。

となると、


「"レジスタント"。迫り来る100万の魔物に対して抵抗する臨時パーティーだから。」

「やったら"レジスタンス"やあらへんか?」

「そっちは今回の戦う全ての者達のことをそう表現するべきだろうから残しておく。」

「なんや妙に言い間違いそうな名前やな。まあええけど。」

「…ほっとけ。これしか思い浮かばなかったんだよ。」


もう一つの意味として死に抗う者、死なない様にと願った意味の方は言わない方がいいな。


付き合いの長さ、気恥ずかしさ、それに何より、素面で言える自信が足りない。


「いいと思う。」

「まあ安直だがな。」

「いいと思うよ☆」


全員の承認も得た。


『パーティー名を"レジスタント"に設定しました。』


システムの承認も得た。


なら、


「目指すは南。目標はモンスターの大量討伐。質問は?」


誰も口を開く様子も無いな。


「それじゃあ行くぞ!」

「うん。」

「おう!」

「おう。」

「はーい☆」


さて、イベントの始まりだ。

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もう一つの連載作 テーマは邪道の王道。
「真実は迷宮の中」
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