34話 相談
なかなか話も筆も進みませんorz
「さて、相談というのは何だ?」
そういって先を促すリート。
するとラナは、
「私のこれからの生き方について。」
といった。
「そうか。それじゃあまず聞きたい。これから君は冒険者を続けるつもりか?」
「うん。これ以外生き方を知らないから。」
「ラナ。その答えじゃ前と変わらない。知らないから続けるっていう考えではだめだ。特に俺たちは冒険者何dあ。ほかの職業の者たちと比べても危険度は非常に高い。そんな考えだと真っ先に死ぬぞ。それに今は非常事態な上に君とともにいた仲間だって今はいない。しっかり考えるんだ。」
「! ・・・、そう、ね。わかっていたつもりだったけど、まだ変わってない。」
「今気がついたなら直せるさ。」
「そう・・・。」
「けど、この冒険者を続けていくのかどうかは今この現状では非常に大切だ。君の持つBランク冒険者という肩書きは否応なしに君を戦場へと連れて行くだろう。だからこそ今ここで君の大切なものをはっきりさせておく必要がある。」
「私の大切なもの?」
「ああ、君がこれから起こる災害-"モンスター・カーニバル"-に立ち向かい、生き残るためにはそれが必要だ。どんなに劣勢に立たされたとしても折れない心の柱がね。」
「生き残るための心の柱?」
「ああ、君も見ていたんじゃないのか?仲間たちの強さを。」
一つ一つの言葉を確実に受け止め、消化していく。
「・・・うん。確かに見ていた。」
「それは仲間たちのなりたかったナニカのため、守りたかったナニカがあったからこそなのだと思う。だから君にもそれが必要になる。ほかでもない君自身のために。」
リートの言葉は凝り絡まった今までの考えを一つ一つ解していくようで、ラナはまだ何者でもなかったころの自分に出会えるような気がしていた。
「そうね。私がやりたいこと・・・。大切なもの・・・。」
考えが解されていくたびに、今までの生き方で雁字搦めになっていた自由意志が解き放たれていきこれまでのラナの経験と結びつき、これからのラナを作り上げていく。
そうして完全に解き放たれた自由意志はこれからの生き方を迷いなく選び出し、形を作り上げた。
その形にラナは笑いかけ、そして確かなものであると再確認する意味を込め口に出した。
「・・・決めた。私はこれから仲間たちが私に語ってくれた夢を実現していく。そしてその過程に自分自身の生きていく意味を作り上げていく。」
そう語るラナの目は澄んでいて、迷いなど微塵も感じられなかった。
・・・他人に自分の生き方を託すようなことはもうしないだろうな。この様子じゃな。
「そうか。悩みに悩んだ末の結論だということが伝わってくるよ。俺は君の生き方を尊重するよ。」
そういってリートは微笑みかけると、ラナも微笑んだ。
・・・いい顔だな。
「ところで君の仲間たちの夢って何なんだい?」
リートは尋ねる。
「そうね。冒険者として名を上げたいとか料理店を開きたいとか。それにいろいろなところに行ってみたいとかいろいろなものを買いたいからお金が欲しいとかいうのもあった。あとこの町を守りたいって言ってた仲間もいた。・・・彼のおかげで私は死ななかった。」
「そうか・・・。その仲間のお陰で対策がいち早く取れることになったんだ。立派に夢を叶えたんだな。」
「うん。私の自慢の仲間だからね。」
「ああ。本当に立派だ。」
少し元気が出てきたのか口調が明るくなってきている。
こっちが素なのか?
何にせよ元気が出てきたようで少し安心出来るな。
「うん。改めて口に出してわかったけど、みんなの夢を叶えるのはなかなか大変そうだね。まぁ、やりがいがあるともいえるかな?」
「そうだな。こんなくそったれな状況だけど勿論な?」
「うん。こんなところで死んでいる暇なんて無いね。」
「ああ、どうだ?それがどんな状況でも折れることの無い心の柱って奴だ。」
そうリートが言うと、ラナは胸に手のひらを当てて、
「この思いがあれば私は折れない。どんなことがあっても。」
そう言った。開かれていた手は言葉を終えると同時にきつく握り締められていて、その思いの強さを表しているようだった。
「そうか。決心は十分にわかった。・・・少し立ち話をしすぎたかな?」
これからのラナの生き方はよくよくわかった。
きっと彼女ならやり遂げるであろう。
「そうね。座ったら?幸いこの部屋には椅子が設置されているから。残念ながらこの部屋にも、そして私の荷物にも何かお客様に出せるようなものなんて無いけどね。」
そういって手で椅子を指し示し笑うラナ。
適当な椅子を引いてリートは腰掛けた。
そしてリートは、
「そうか。それじゃあ俺はその『お客様に出せるようなもの』でも提供しようかな。」
といって、[アイテム]から"果実水"と"灯特製クッキー"を取り出して机の上に並べた。
「っと、コップはあるか?」
「うん。私の分はね。」
「十分だ。出してくれ。注ぐから。」
そういいながら[アイテム]から自分用のコップと大きめのお皿を取り出してすばやくセッティングしていく。このあたりの手際は"灯"で培われたもので手馴れた様子であった。
そしてラナから差し出されたコップに"果実水"を注いだ。
「よし。こんなもんかな?」
「『こんなもんかな?』って、十分すぎるでしょこれ。しかも妙に手馴れている様子だし。」
「そうか?まぁ、手馴れているってのはたぶんこのクッキーを作っているところでウエイターとしても働いているからじゃないかな。どうぞ召し上がれ。」
「へぇー。そんなことしてるのね。意外だわっと、このクッキー美味しそうね。それじゃあ頂こうかしらね。」
テーブルの上に置かれたクッキーにラナの手が伸びる。そして一つつまみ口へと運んだ。
すると、
「なにこれ!とっても美味しい!とってもサクサクとしているのに、口の中の水分も保たれたままだなんて!味は濃くも無く薄くもなくいつまでも食べていれるような絶妙な味付け!もっと貰ってもいい!?」
と矢継ぎ早にラナはまくし立てた。
その勢いに圧倒されてリートはただうなずくしかなかった。
するとラナは次々に美味しい美味しいといってクッキーを口に運んでいく。
その様子から、クッキーがなくなるのは時間の問題のように思われた。
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そうしてクッキーがすべて皿から姿を消した後、ラナは、
「ああ、美味しかった。また食べたいね。これでまた一つ死んでいられない理由が出来たわ。」
などと言っていた。
そんなラナにリートは、
「それは良かった。"灯"っていうところで売っているからまた機会があれば食べてみてくれ。」
という。そして真剣な表情になって、
「さて、ラナ。先程までは『これからの君の生き方』について考えたが、今からは『今この状況での君の行動』についての話をしていこうか。」
少し弛緩していた空気をもう一度引き締めてそう切り出した。
それに合わせるかのようにラナも真剣な表情になって頷いた。




