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辻ヒーラーさんは今日も歩く  作者: Luce
第2章 辻ヒーラーさんと初イベント。
28/45

26話 宿

どうやら、

「❮エルフ❯に❮ドワーフ❯、それに❮獣人族❯もいるじゃないか!」

というセリフの括弧の部分が四角になっているというご指摘を受けましたので、

「'エルフ'に'ドワーフ'、それに'獣人族'もいるじゃないか!」

というように、' 'で種族名を囲うことにしました。


変更ばかりで申し訳ありません。

それでは本編です。

とても立派な宿に圧倒され動けずにいる二人。

すると、


「ミンクお嬢様、お帰りですか?あと、そちらのお二方は?」


声を掛けてくる門番の1人。


「た、ただいまニャ。この二人はその...。」


と言い淀むミンク。

すると、


「私達はミンクさんに宿に案内を頼んだところ、実家だと言うので連れてきて頂きました。」

「そういうことや。」


と言う二人に驚いた様子のミンクが、


「あ、あのお二人?ここまで連れてきてから言うことでもニャいけどその、高いよ?宿泊費。」


とおずおずと言った。


「どれ位だ?」

「ナンボや?」


と尋ねる二人。


「えっとそのぉ...、朝食付きの1泊5000セルだニャ。」


と小さな声で言うミンク。

確かに高いな。

"止まり木亭"は素泊まりで50セルだからな。朝食アリで80セルと考えると60倍以上の宿泊費がいる訳だ。

それにイベント期間は1週間だから6泊7日、つまり総計30000セル。

これだけあれば、1ヶ月"あかり"で三食食べれるな。

かなりの高級宿というのも頷ける。

しかし、


「全然払えるな。」

「やな。」


この二人には流石にポンとは出せないものの払えない金額でも無かった。

それに"あかり"で働いた15日分の給料はこの程度の金額で消えてしまうようなものでは無かった。


「は、払えるのかニャ?とてもそうは見え...何でもないニャ。」


と目を丸くしているミンク。

...そんなに貧相に見えるのかな俺達って。


「ほう。それではそのお2方は当宿のお客様ということですね。歓迎致します。」


と門番の兄ちゃんが敬礼をした。


「そ、それニャら。コホン。ようこそおいで下さいました。"マタタビの蔵"へ。我々従業員一同はお二方を歓迎致します。」


とミンクは優雅にスカートの裾を摘み深々と礼を行った。

カーテシーって奴かな?

それにあの『ニャ』とかいう言い方はしないんだな。


「よろしく頼む。」

「よろしくな。」


と軽く一礼していう二人。


「私が案内役を務めさせていただきます。クト、フツ。門番は任せましたよ。それでは付いてきてください。本殿へと案内したのち部屋までお送りいたします。」


名前を呼ばれた二人の門番-クトとフツ-は敬礼して再びどっしりと門の前で構えた。

その2人の脇を通り抜けて宿の中に入るミンク、リート、ペグの三人。

宿の門を通り抜けると立派な庭園があった。

庭園と言っても西洋風の噴水を中心とした薔薇園みたいなものではなく、日本庭園に近いものだった。

目の前には大きい池があり、その周りに松や檜といった樹木がたくさん植えられており、石燈篭などと言ったものなどがありそれらには苔が覆うように生えていて、何とも雅な様子であった。

池には八つ橋が掛けられており、宿本殿と繋がっていた。

その橋を渡って本殿へと進んで行くにつれて静謐な雰囲気が濃くなっていた。

しかし、その宿本殿というのがビルの様な形状のため日本庭園のような雰囲気とどこか噛み合っていなくてリートにはなんとも言えないもどかしさが溜まっていた。


「なんだか本殿と庭の雰囲気があってなくて何だかこう...な?」

「言いたいことは分かるわ。これじゃない!って感じやな。」

「だよな。何だか違うよな?」


と何処かを噛み合っていない宿の様子に違和感を感じている二人。

そこに、


「これが"マタタビの蔵"自慢の庭です。...、正直お二方の言いたいことは分かります。本殿と庭はそれぞれ素晴らしい出来なのですが、組み合わせるとどうしても...こう違和感がありますよね。」


と苦笑いしながら言うミンク。

続けて、


「この宿の創設者、つまり私の御先祖様は異種族の文化を取り入れ混ぜ合わせていこうという考えの持ち主だったらしくいろいろな事を融合させていったところ、確かに新たにいいものも出来たのだけどあれみたいにこう、消化不良な感じのものもいくつか出来たそうらしいです。」


と苦笑いが引き攣らせながら言うミンク。


「...心中お察しします。」

「ご愁傷様や。」


と感想を述べる二人。


「それでは本殿に参りましょう。」


とそのなんとも言えないような庭を歩き始めたミンク。

それに付いていく二人。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


本殿の前には執事服を着た青年がこちらに気付いたのか、扉を開けて三人を中へと通した。

中の様子はシャンデリアが天井に吊るしてあって床はカーペットで敷き詰めてあったようなものであった。

ここまでは確かに高級ホテルのようなものなのだ。

しかし、和服を着た女性従業員に執事服の男性従業員が働いていたり、記入用のペンが筆であったりと良いように言えば和洋折衷、悪いようにいえばごちゃ混ぜといったような光景が広がっていた。

その様子に二人は、


((うわぁ〜。))


と若干引いていた。

そんな様子の二人にミンクは、


「こちらが本殿です。宿泊の手続きはお部屋でさせて頂きますので、ひとまずご案内致します。」


と言って青白く光る円環に魔法陣みたいなものが描かれてある謎の装置のある方を手で示しながらそちらの方へ歩き出した。

それを追う二人。

その中で、


「やっぱり違和感がな。」

「やんな。」

「噛み合ってないよな。ここ。」

「全く持って同意見やわ。」


という小声での会話があった。

そして、謎の装置の前で立ち止まって、


「こちらは魔術エレベーターと言って、乗る時に何階に行きたいかを念じることによって自動的に動きます。今回案内させて頂くお二方のお部屋は8階になっております。お部屋はそれぞれに一部屋ずつの隣同士のお部屋を都合しておりますが、宜しいですか?」


と問いかけてくるミンク。

それに、


「俺は構わないが。」

「俺もかめへんで。」


と了承の意を示す二人。

すると安心した様子でミンクは、


「ありがとうございます。それではお乗り下さい。」


と言って魔術エレベーターだという青白く光る円環に乗り込んだ。

それに幾らか遅れて二人が乗り込むと三人の周りを白い光の膜が包んだ。

それを見届けたミンクは、


「それでは8階に参ります。」


と言った。

それが聞こえないうちに白い光の膜が青く変わり、転移した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「こちらが8階です。お降りください。」


といってさっさと円環から出ていくミンク。

その姿を視界の端に捉えていたリートとペグは、


「「エレベーターじゃない(とちゃう)!!」」


とツッコミをいれた。

そして立て続けに、


「明らかにこれ転移だよね!?エレベーター要素何処にあった!?ウプっ、また酔った。」

「これがエレベーターなんて信じられるか!こんなモン転送装置でええやろ!名前!」


と口々に捲し立てるように言った。

すると、


「ですよね。私も思っていました。」


とあっさりとミンクから肯定が帰ってきたのでそれ以上何も言えず、しかし納得出来ない様子で口を噤むしかない二人であった。

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もう一つの連載作 テーマは邪道の王道。
「真実は迷宮の中」
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