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辻ヒーラーさんは今日も歩く  作者: Luce
第2章 辻ヒーラーさんと初イベント。
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24話 邪推

転移は三度目ということもあって立っていられないということも無くなったが、やっばり慣れないな。

目を開けると飛び込んできたのは、一面の雪景色だった。

まさに銀世界といった光景だった。

チラつく雪が光を反射してキラキラと眩しい。


「ほんとにこの世界ってのは綺麗な所がいっぱいだな。この世界を見て回るのがより楽しみになってきたな。」


と呟くリート。


「ほんまやな。兄ちゃんの言うことよう分かるわ。綺麗なものやんなぁこの世界って。」


とベタな関西弁で同意を示すプレイヤーの声。


「そうだよな。綺麗だよなって、誰だ?」

「ハハハッ、そういや名乗ってないな。どうも俺の名前はペグや。」


ペグと名乗るプレイヤーの姿をみると、緑の髪に黒い目をした同い年くらい男性で腰には剣を携えてた。


「ペグか、俺はリートだ。よろしくな。」

「こちらこそよろしくな。見た分かると思うけど剣使っとる。そちらさんは?ああ、隠したいんやったら答えんでええけどな。」

「別に隠すものじゃないよ。俺は魔法を使ってる。けど、杖を持って歩くのは何だか落ち着かなくてな。[アイテム]に突っ込んでる。」

「へぇ、魔法使いかいな。確かにらしい外套着てるし、もしかしたらなんて思っとったんやけどな。確かに杖を持って歩くんは慣れへんとアカンやろうな。俺のコレは憧れがあったから違和感も飲み込んだんやけどな。」


と自分の剣をポンポンと叩いて笑うペグ。


「確かに帯剣はロマンがあるな、分かるよ。」

「やんな!やっぱロマンがあるよな!いやぁ〜、話わかる兄ちゃんで良かった。話しかけても無視されたらどないしょうとか思っとったわ。」

「俺も話がわかりそうな奴で良かったよ。」

「ならお互い様っちゅうとこやな。なぁリート、聞いてもええか?」


と急に真面目な顔と声で問い掛けてくるペグ。


「なんだ。」

「あんな?俺とフレンド登録してくれへんか?」


とそんなことを言い出すペグ。

そのテンションで言う事でもないだろよ。


「ああ、いいよ。」

「そうかいそうかい!なら早速登録しようや!えっと、メニュー開いて[チャット]のフレンド申請っと、えっとり、り、り、あった。リートに申請っと。リート、送ったで。」


といそいそとメニューを操作していくペグ。

そんなに急ぐことかね?

すると、


『プレイヤー:ペグからフレンド申請が届いています。

承認しますか? はい いいえ 』


というウィンドウが現れる。

リートはもちろんはいをタップして、フレンド一覧に"ペグ"が登録された。


「よし、登録したぞペグ。」

「おう!出来たみたいやな!いやぁ〜、ほんま嬉しいわ。ここだけの話やねんけどな?WSOのプレイ中に関西弁をガンガンに使っとったらなかなかフレンドも出来んでなぁ。お陰様でフレンド一覧もスッカスカや。」


とため息を吐きながらいうペグ。


「それはなんとも言えないな。」

「確かにそれもそうか。ハハハッ。ほんでリートはこれからどないすんの?イベント中。」

「そうやなぁ、俺はとりあえず都市を観光や。」

「口調伝染っとる!観光か。えらい呑気やな?ああ、勘違いせんとってな?上から目線で言うとるわけやないんやで?」

「伝染ってたか。分かってるよ、それは。確かに呑気と言われてもしょうがないよな、観光って言ったら。まぁ目的は情報収集だな。実際"モンスター・カーニバル"が始まるって言われても俺達は具体的にどんな魔物が来るかは分かっていないからそれも聞いておきたい。それに、ここでもあると思うんだよな。宿の競争が。」


と懸念を話すリート。

すると、ペグは得心したようで、


「確かに俺達は何も知らんしな。それに宿の事は忘れとったわ。いくら都市言うたかって限界ちゅうもんもあるやろうしな。」

「ああ。それに宿の位置も重要になるだろうしな。」

「つまり?」

「まず宿が取れないと大変なことになるのは分かるよな?」

「おう。盗みとかの事やな。」

「それもあるけどな。ペグ、よく思い出せ。あの代表は『都市の雰囲気』もあるって言っただろ?つまり敗戦ムードが漂い始めたりすると、『都市の雰囲気』が悪くなるって事だ。それならいつも以上に盗みの発生率なども上昇する可能性があると思う。それにな?これは俺の予想でしかないんだけどな。いや、妄想と言ってもいいかもしれないな。」

「確かに納得やわ。あと、そないに念押しせんでもええからその妄想とやらを聞かせてくれへんか?」

「分かった。だが、あくまで予想だからな。俺はこの都市内が非殺傷エリアじゃないと思う。」

「非殺傷エリアじゃないって?」

「俺は図書館に何度か足を運んでいたんだけどな?読んだ本の中に"モンスター・カーニバル"を題材にしたものもあったんだ。それには襲われた街の様子の描写もあったんだ。それには『街の雰囲気が悪くなってくると、住民同士での殺し合いも少なからず起きていた』という一文があったんだ。」

「住民同士の殺し合いやって?ほんまかいな。」

「ああ。あくまで本に書かれている内容だから誇張があるのかもしれないけど、用心するに越したことは無いと思ってな。」

「判断はムズイけど、用心する事に越したことは無いってのは賛成や。」

「同意してくれるか。」

「おう。けどそうなると宿の条件ってのが出来そうやな。」


と納得したように頷いた後、そんなことを言い出したペグ。


「宿の条件って?」

「まずは宿の質。悪かったら寝てる間にとか留守にしてる間にとか悪さされる可能性も考えられると思わん?」

「確かにな。」

「次に立地。キルトの街で言うところの"商売区画"は確実に辞めといた方がええやろな。争いの種はそこが一番転がっとる。次点で"食堂区画"も同じ理由で危険。やから"貴族区画"か"冒険者区画"がええんちゃうか?」

「それは盲点だったな。」

「最後に宿自体の戦力。ちょっと最初と被るかもしれへんけどな。多分、警備隊の連中は"モンスター・カーニバル"に掛かりっきりになって都市の警備までは手回らんのちゃうか?それやったら暴徒から宿を守れるだけの戦力ないしは防犯がしっかりしている所を選ぶべきやと思うねん。」


説明する度に指を一本一本立てていき、最終的に三本になった指を左右に揺らしながら宿の条件を語ったペグ。


「確かにその条件は必須だろうな。俺はそこまで頭が回らなかったよ。ペグ。」

「そもそもリートが懸念を話してくれへんかったら考えもせえへんかったことや。」

「そうか。それじゃあ俺ら2人の功績か。」

「せやな。そうゆうこっちゃ。」


そう言ってお互いに手を差し出し握手をした二人。


「と、結論も出たところでだ。とりあえず宿探しまでは一緒に行動しないか?ペグ。」

「ええんか?俺は嬉しいけど。」

「ああ。二人で出した結論だ。という訳でとりあえずは都市に入るか。」

「せやな。にしてもえらい寒ないか?」

「立ち止まって話をしてたからな。確かに寒い。これは防寒対策をしておかないと戦いどころじゃなくなるかもしれないな。」

「けど、こんだけ寒いんやったら防寒の魔術具くらい探したらありそうやな。」

「ああ。少々値が張ってもいいから是非購入したい所だ。」

「同じ意見や。」


寒さで凍える体を摩りながら都市に向かって歩き出す二人。


現在時刻は10:50。

"モンスター・カーニバル"発生まであと4時間と少し。

既に予兆は起こり始めている。

また説明というか語らいというかが長くなってしまいました。

もう少しこんな感じの話が続きます。

平にご容赦を。


あと、ごってごての関西弁ぶち込んですみません。

か、関西弁キャラが書きたかったんや......。

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もう一つの連載作 テーマは邪道の王道。
「真実は迷宮の中」
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