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辻ヒーラーさんは今日も歩く  作者: Luce
第2章 辻ヒーラーさんと初イベント。
19/45

17話 労働

新章突入です!

ある日の昼下がり、森の中にて、


「あの梟野郎!全然攻撃が当たらない!」


レッサー・オウルと相対している細剣使いの女性プレイヤー。


「早くて矢が当たらない!」


レッサー・オウルを狙って矢を次々と放つ男性プレイヤー。


「あれ?私いらない子?」


鞭を持って何もしていない女性プレイヤー。


「何が、『私いらない子?』だ!あんたの『調教術』試しに来たんじゃないか!ボーッとしてんな!」

「だって私じゃ何も役立てないし。」

「そうだろ「ホホーゥ!」よ、って痛いわ!あー、もう死に戻る。無理無理!」

「あー!!こっちも当たらないよ!早いよ!」

「ふぇぇ。ど、どうしましょう!」

「変な声出してんじゃないよ![調教術]でも試しな!」

「[調教術]はある程度HPバーを削ってからじゃないと効かないんですよぉ。」

「ああそうかい!そそくさと削れなくて悪ぅございました。責任とって死に戻ってやるよ!」

「えぇー!!ダメですそんな!」


などという戦闘中にしてはバカっぽい会話をしていた3人パーティー。

するとそこへ、


「そこの3人![治癒魔法]は必要か?!」


と大きな声で聞いてくる男性プレイヤーらしき人影が見えた。


「誰だっていうのは後にしてだ。ああ!くれるもんなら欲しいね!」

「助かります!お願いします!」

「ふぇぇ。」


という返事を聞き、

てか最後の人あの口調ってマジか。


「かの者に救いの手を『ミドル・ヒール』」


と杖の先端を細剣使いに向けて発動させる。


「おお!一気に5割回復とは!恩に着る!」

「ありがとうございます!」

「ふぇぇ。」


と感謝の言葉が送られてくる。

だから最後の人の口調よ。


「ついてだ!これも持ってけ!

かの者に堅き守りを『エンチャント・VIT』


と再び細剣使いに向けて発動して、続けて、


「かの者に秀逸たる技を『エンチャント・DEX』」


弓使いに向かって発動。

そして、最後の人に、

......。

要らない気がする。


「おお!エンチャントか!これまた恩に着る!」

「DEXに補正ですか!これで......当たった!」

「あれ?私は?」


よし、発動したみたいだ。

最後の人?知らないです。


「それじゃあ、頑張れよ!」


そう言って[隠密]を発動。


「ちょっと待っ「ホホーゥ!」おま!今来んなよ!」

「ええ!ちょっと!」

「あの、私は?」


その場を離れる。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふぅ。」


しばらく離れたところで[隠密]を解く。

ついつい[治癒魔法]と[付与魔法]かけてしまったな。

あ、MPが10以下になってやがる。

[隠密]のMP消費高すぎるぜ。1秒にMP1消費っておかしくない?


「っと、一応集まったな。採取依頼も達成か。んじゃ、帰るか。」


そういって、彼-リート-はキルトの街へと帰っていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「帰りましたよ、料理長。」

「ああ、早いね新入り。」


場所は"あかり"でリートとアンネが話している。


「デコの実少々とココの蜜大さじ1杯にフラキ草カゴいっぱいでしたよね?というかこのレシピに乗っているような表記方法やめてくれませんか?」


そういって渡されていたメモをヒラヒラとふる。


「ああ、合ってるよ。分かりやすかっただろう?」

「少々とか人によって解釈が変わるような書き方は分かりやすくありませんよ。」

「現にあんたは分かっているじゃないか。」

「そりゃあれだけ使われましたからね。」


つい先日ウェイターとして勤務していたリートをキッチンに連れ込み腕があがらなくなるほど食材を切り、鍋をふり、盛り付けをした時のことを思い出す。


「ハッハッハ!いい勉強になっただろう?」

「否定はできませんね。」


手が上がらなくて宿で自分の部屋の扉を近くにいた人に開けてもらったけどな!


「[料理]が発現したからいいじゃないか!」

「ええ。それについては感謝してますけど[料理]が発現してから営業時間は料理してウェイターしてで何が何だか訳が分からなくなってますよ!」

「ハッハッハ!」

「笑うだけ!?」

「不満かい?」


そう意地の悪い顔で聞いてくるアンネ。


「......悔しいですけど嫌じゃないですね。」


何だかんだでこの店で働き出してから料理もウェイターの業務も楽しんでいる。

意外と合ってるのかも?なんて考える程度には。


「やっぱりね。見てたらわかるよ。」

「でも見るからに"お偉いさん"って人に、『うちの期待の新人が作った料理です』とか言って俺が作った料理を持っていた時は本気で何考えてるか分からなくなりましたけどね!」

「ハッハッハ!」

「また!?」

「さて、仕込みだ。手伝いな期待の新人?」

「スルーですか!はぁ、分かりましたよ料理長。」


そうして、アンネの仕込みを手伝うリート。

この光景は一週間ほど前から始まった。


そう、WSOのサービスが開始して1週間と一日が経過しているのである。

ちなみに彼の1週間は、


朝〜昼 店で使う材料の調達

夜 "あかり"でアルバイト


で説明がつく。

......。

あれ、俺って労働に勤しむためにこれ(WSO)やってるんだっけ?


「なにしてんだい!フラキ草は早く処理しないと傷むよ!」

「は、はい!」


そうして、手に持っているカゴからフラキ草を取り出し、軽く水でついた泥を落としてアンネ謹製の酸っぱい匂いのする液体に漬け込み上から落し蓋をして重石をのせる。


そうして、カゴに残されたデコの実をミルの付いた木製の容器に入れて、ココの蜜を詰めていた小瓶と同じ場所に置いておく。


「リート!それが終わったら今日のメインのファリッタの香草焼き仕上げな!」

「終わりましたのですぐやります!」


ファリッタとは肉食の鶏に似た家畜である。


「リート!それが終わったら開店準備だよ!」

「は、はい!」


そうしてこの時の為だけに習得した[火魔法]を駆使して店内のキャンドルランタンに着火していく。

一々つけて回る労力を考えたらたかがアビリティポイントの5ポイントなんて安いもんだ!


「リート!ホール回ってないみたいだ、応援行ってきな!」

「え?」

「早く!」

「はい!」


「次はデザートの用意しな!」

「きゅ、休憩を。」


ピコn「営業時間が終わったら好きなだけ休めるよ!」

「なんてこったい。や、やればいいんでしょう!」



そうして、営業時間が終わる。


「終わったー!!休める!」

「まだ閉店業務が残ってるよ!休みはその後だよ!」

「はいはいはいはい。」

「給料下げるよ?」

「やらせて頂きます!」


そうして、[水魔法]で消化して戸締りをして閉店業務完了となった。

これでアビリティのレベルが上がってるんだよな。


「お疲れ様。今日の給金だよ。」

「お、おぉう。この瞬間は緊張する、毎回。」

「大げさだね。」

「いや、普通の討伐依頼より高い給料ですし。」

「そんなもんかい?」

「ええ、普通にこの1週間の給料合わせたら防具一式と武器でお釣りがきますよ?」

「それがあんたの働きに対する報酬分しか出してないよ。」

「......ありがとうございます。」

「さぁ、今日は帰りな。また明日来な。」

「明日もお願いします。」

「ああ。」


そんな会話をしてから宿に帰る。

宿は相変わらず"止まり木亭"だ。

そうして顔馴染みになった宿のお兄さんから鍵を受け取り、部屋に帰ってベットに倒れ込み思念操作でログアウトを選択する。


「今日も疲れた。」


最後にそう言って光の粒子となってリートの姿は消えた。

送られてきた運営からのメールに気が付かずに。

第2章では初イベントをメインに書いていきます!

今回の章でも気の赴くままに書いていきますのでよろしくお願いします!


P.S こぼれ話が早速ネタ切れしました。

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もう一つの連載作 テーマは邪道の王道。
「真実は迷宮の中」
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