12話 あなたにこれを
もう一度アナウンスさせていただきます。
この度「辻ヒーラーは今日も歩く」ですが、何点か変更したい点ができましたので変更点につきましては前話、または活動報告の「いろいろ変更します」をご覧ください。
変更するにあたって皆様にはご迷惑をおかけしますが、どうぞ宜しく御願いいいたします。
それでは本編をどうぞ。
そうして[鑑定]をしては休み、MPを回復させてからまた[鑑定]を発動させながら露店を見て回った。
大体30分程そういった行動を繰り返していると、[鑑定]のアビリティレベルが4上がっていた。
「[鑑定]のアビリティレベルが7になりました。意外と上がるものなのですね。」
「ここは露店ですから、鑑定するものに事欠くことがありませんので上がりやすいのですわ。」
「左様でございますね。それでは今後鑑定のアビリティレベルを上げようと思えば、こういった露店で鑑定を使っていけば宜しいのですね。」
「そういう事ですわ。」
そういって、また次の店を覗いてみる。
そこはアクセサリーを取り扱っている店みたいだ。
革で出来たベルトや、蝶を模して作られた金属製のブローチなどがたくさん並べてあった。
「これは仕事が丁寧ですわ!」
「左様でございますね。どれも手の込んだ作りにございます。」
置いてあるアクセサリーは品がよく、また繊細な作りをしていた。
「お客さん。気に入ってくれましたか?」
そう言って話しかけてきたのは20代前半位の可愛らしいお姉さんだった。
「ええ。どれもこれも繊細な作りで見惚れてしまいましたわ。」
「それは嬉しいですね。他にもご覧になりますか?」
「ええ。見せていただきたいですわ!」
「そうですか。例えばこちらはどうですか?」
そう言ってこちらに見せてきたのは革紐で作られたネックレスだった。
胸の前に来るところには一番真ん中に丸く整形されたトンボ玉程度のガラスによく似た淡い黄みの橙色の透明な鉱物が付けられており、その両脇になにかの動物の小さな牙か爪らしいものが通してあり、その隣にはさっきよりも一回り小さな青の透明なトンボ玉のような鉱物が付いてあるシンプルなものだった。
「可愛いですわ。このガラス玉みたいなものがいいですわね。」
「そうでしょう?そしてその脇の牙は・・・」
2人はアクセサリー談義で盛り上がり、お姉さんは他にも数点のアクセサリーを取り出してきてキャッキャと2人して楽しんでいた。
綺麗な女性達がキャッキャ言っている姿は眼福です。
そして、時々自分に合わせて感想を求めてくるリリィに自分の少ない語彙を最大限に使って褒めた。
くっ、リリィを褒めるためにピッタリの言葉が見つからない。
もどかしい!
「いやぁ、話が合うお客さんと話すのは楽しいですね。」
「こちらこそ楽しかったですわ。」
そういって、先程から取り出していた数点のアクセサリーをしまい始める。
あれは、
「少し待っていただきたい。」
と声を掛けた。
「どうしました?」
「どうしたのですかリート。」
突然声を上げたリートの顔を不思議そうに見る2人。
「そのイヤリングを拝見させて頂いてもよろしいですか?。」
しまおうとしていたアクセサリーのうちの一つのイヤリングを見せて欲しいと言うリート。
「構いませんがこれがどうかされましたか?」
と首をかしげながらもイヤリングを渡してくるお姉さん。
それを両手で受け取るリート。
青い宝石を中心に据えて、銀製で周りに幾何学的な模様を細工してあるクリップ式のイヤリングだ。
それは先程リリィが付けていたアクセサリーの中でも一番似合っていたイヤリングで、リリィも一番気に入っていたように見えた1点であった。
「こちらはお幾らですか?」
「400セルだけど...はっは〜ん?200セルでどうだい?」
そういってこちらの意図を悟ったように最初に言っていた金額よりも半分に下げた金額を告げる。
「それでは400セルで購入させていただきます。」
といって、[ステータス]から400セル取り出して支払う。
「200セルでいいって。」
と200セル返そうとしてくるお姉さん。
「女性へのプレゼントに値切ったものを渡すことは出来ませんので。」
といって400セル全額貰ってもらう。
「仕方ありませんね。けど、そういう男性はいいと思いますよ。っと、こちらがもう片方のイヤリングです。」
と笑いながらもう片方のイヤリングを渡してくるお姉さん。
「ありがとうございます。リリィお嬢様。受け取って頂けますか?」
とイヤリングを差し出すリート。
「え、え〜と、う、受取りませんわ!そ、その!...つ、着けて下さいまし。」
と大声で叫んだあと、顔を赤面させて俯き、小声で着けてくれと頼むリリィ。
「仰せのままに、お嬢様。」
といって、顔を近づけて耳にかかる髪を優しく片手で押しのけ、もう一方の手でイヤリングをつける。
これを片方の耳にもして、手を離して顔を離す。
「ど、どうですの?」
そう頬を紅く染め、上目遣い気味に聞いてくるリリィ。
耳を出した銀色の髪をショートボブにしてあったリリィの髪型であったが、その耳に加わったイヤリングの青い宝石が風にたなびき、蒼くキラキラと輝きを放ち、銀の髪も光を浴びて輝き幻想的な雰囲気を醸し出した。
「お似合いですよ。」
と落ち着き払っているように見えるリートの返答であったが、その内心では次々と湧き上がる情欲を必死に抑えていた。
「ええ。ほんとにお似合いですよ!」
とお姉さんも保証してくれる。
「あ、ありがとうございます。リート」
とお礼を述べるリリィ。
リートが情欲を組み敷き、リリィは嬉しさのあまり上がりそうになる口角を必死に抑えることに必死で、どちらも何も言えず、何とも言えない時間が流れる。
それを見かねたお姉さんが
「良かったですね。お客さん方。」
と口を切ってくれた。
「ええ。いい買い物をさせていただきました。」
「そ、そうですわ。感謝いたしますわ。」
お姉さんのフォローのおかげで口を開くことが出来た2人。
「それじゃあ、また何かあったら"ロッソ装飾店"をご利用下さい。私の名前はスミナ。店で名前を出してもらったらまた会えると思います。」
というお姉さん-スミナ-であった。
「スミナさんですね。分かりました。それでは失礼致します。」
「スミナさん。それではまた。失礼しますわ。」
「ええ、え〜っと、リート君にリリィさん。またお会いしましょう。」
とお互いに名前を覚えて別れる。
そうしてしばらくまた腕を組んで歩いている間に、
「いいお店で楽しまれたようですね?お嬢様。」
「え、ええ。改めてありがとうございます。」
「いえいえ。感謝の印としてプレゼントさせて頂いた次第でございます。こちらこそありがとうございます。」
といってお互いに2人はお礼を言い合っていた。
「っと、お嬢様。ここは宿屋ではありませんか?」
といって、空いている方の手で扉の上の"INN"の標識を指さした。
「そうですわね、合っていますわ。」
「それでは入りましょうか。」
といって、扉を引いてリリィを先に中に入らせてリートも中に入った。
そして、丁度帳簿の整理か何かをしていた受付のお兄さんがこちらに気付いて話しかけてきた。
「ようこそ。"止まり木亭"へ。お泊まりですか?」
とにこやかな表情で聞いてくるお兄さん。
「はい。そうです。」
「申し訳ありませんが、本日は宿泊のお客様が沢山おられまして残りひと部屋となっております。宜しいでしょうか?」
「だそうです。お嬢様。いかがなさいますか?」
「わ、私は平気ですわよ。リートは?」
「私も平気ですよ。それではその部屋でお願いします。」
「・・・ベットは一つしかありませんが?」
「だ、そうですが?」
「ひ、ひとっ!!わ、私は大丈夫ですわ!平気ですわ!」
「もちろん私はソファーなどで寝かせていただきます。」
「・・・重ね重ね本当に申し訳ないのですが、ソファーはありません。」
「そうですか。それでは毛布の貸出はして頂けますか?」
「はい。承っております。」
「それでは貸出をお願い致します。」
「畏まりました。それでは宿泊のご予定は?」
「そうですね。素泊まりの1泊でお願いできますか?」
「はい。承っております。」
「これで宜しいですか、お嬢様?」
「ベットはひとつでも大丈夫ですわ!」
「......申し訳ありません。今言った予定でお願い致します。」
「承りました。それではこちら8番の部屋の鍵となっております。そこの階段を登っていただいて一番奥の部屋となっております。また、お出かけの場合は部屋の鍵をかけてここ受付まで持って来て頂ければお帰りになった際にお渡しいたします。なお、紛失されたや部屋の備品を破損させた場合は弁償として100セル頂きます。また、代金は一泊素泊まりで50セルとなります。」
注意事項を説明し、宿泊費を請求するお兄さん。
[ステータス]から50セルを取り出して支払う。
残り50セルか、マズイな。
「確かに50セル頂きました。それでは鍵をお渡しいたします。あと、部屋は朝の10時までに出て頂かないと、強制的に宿の外に放り出します。また、延長をご希望の際はそれまでに受付まで申し出てください。それではごゆっくりして行ってください。」
と一礼するお兄さん。
それじゃあ、部屋に行くか。
さて、リートとリリィは昨日はお楽しみでしたね展開になるのか?
こぼれ話 リリィのイヤリング
サファイアのイヤリング レア度6 製作者<スミナ>
スミナが作ったイヤリング。サファイヤを主として作られている。
芸術的評価も高く、更には幾何学模様が魔法術式となっており、簡易なものではあるが一種の魔術具となっている。これが出来る職人は限られている。
特殊効果:[水魔法]の威力上昇(小)
[魔法アビリティ]威力上昇(微)




