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戦力増…強?




 あの後、ルージュの件はどうなったのか。

 結論から言うと、なんの問題にもならなかった。

 と、言うのも、僕たちが屋敷に戻る頃には、ルージュも元に戻っていたからだ。なので、豹変モードのルージュは今のところ、僕とアイラさんだけの秘密だ。



 と言う事で、あれから1週間が経った。


 「それじゃあ、午後は家事修行頑張ってね」


 「「「はい!」」」


 僕の弟子? である内のアイラさんを除いた3人が午前の戦闘訓練を終えて、地下室から出ていく。ルージュも行くのは、つい先日、ようやく魔力操作のスキルを習得し、人前で姿を変えられるようになったからだ。


 「さぁて、今日は何をしようか…」


 訓練が終わったので、このあとどうやって過ごすか考える。


 「…そう言えば、ワイバーンの件ってあれから音沙汰ないけど、どうなったんだろう?」


 これといって用事もないし、確認がてらギルドに顔出してみるか。


 



 「こんにちは、フリーシアさん」


 「ノゾムさんじゃないですか。今日はどうしたんですか?」


 ギルドの受付にいたのは、いつものアーシャさんではなくフリーシアさんだった。


 「ギルドにと言うか、セイドリックさんに確認したい事があったんですよ」


 「マスターにですか? よろしければ用件をお伺いしてもよろしいですか?」


 …まぁ、SSランクで受付嬢もしているギルドきっての何でも屋(パシリ)のフリーシアさんになら言っても平気か。


 「ワイバーンの件と言えば伝わると思います」


 「ワイバーン…ですか。もしかして、北の島の調査と何か関係がありますか?」


 「北の島かどうかは分かりませんが、たぶん無関係ではないかと…」


 「やっぱり…。そうなると、私が北の島に行く事になったのもノゾムさんのせいって訳ですか」


 なにやら、勝手に諸悪の根源みたいな扱いを受けているんですが、これは怒っていいのかな?


 「勝手に納得しているところ悪いんですが、ワイバーンの件で何か知っているのなら、教えてもらえませんか? 1ヶ月ほど前に報告したきりで、経過報告も何もないんです。それが少し気になっているんですよ」


 「おっと、すみません。ノゾムさんでしたら、話しても問題ないと思いますので、お話ししますね。実は、件のワイバーンはノゾムさん以外にも目撃者がいたのです。私は目撃者を探しながら北へと調査をしていたんですが、海に阻まれてしまいました。で、その事をマスターに報告したら、北の島に調査に行く準備をしろと、お達しを受けたのです」


 「そう言うわけでしたか」


 話を聞いた限り、僕が原因と言うのは言いがかりじゃないかな? それにしても、ワイバーンの群れは海を越えたのか。それで、北の島の調査か。

 確か北の島って獣人が住んでいるはず。それに島って言っても、北海道程度の大きさだったはず…。


 「あと、この件に関してマスターは、もう1人SSランクの冒険者を呼び寄せたらしいです。私の北の島への調査はその人の到着してかららしいです」


 もう1人SSランクを…だって!? セイドリックさんはそれだけこの件を重く見ているって事なのか?


 「ちなみに、そのSSランクの人はいつ頃到着するんですか?」


 「私の最初の捜査と同時期に遣いを出したらしいので、あと1ヶ月以内には到着すると思いますよ?」


 奇しくも、フェルたちの訓練が一段落する頃か。SSランクの冒険者も気になるから様子は見に来るとしよう。


 「それじゃあ、その頃にまた聞きに来ます。もし、その前に新情報が出たらこの屋敷の方に連絡を下さい」


 「はい、分かりました」


 フリーシアさんに屋敷の住所を書いた紙を渡し、ギルドを後にする。



 ギルドでの用事を済ました僕は、少し外に出てレベル上げに精を出そうと思い、街の外へと繋がる道を歩いていると、アイラさんが僕とは逆の方向から歩いてくるのが目に入ってきた。


 「あれ? アイラさんじゃないですか」


 「あら、望君じゃない。どうしたの?」


 「僕は少し外に出ようと思っただけですよ。アイラさんはもしかして、外に行ってたんですか?」


 「当たり。私は最近、暇を見つけては外に出て、ルーに譲渡した分を魔物から徴収しているのよ」


 「それなら、試してみたい事があるんで、協力してほしいのですが…」


 アイラさんの魔力が有限じゃないのなら、ヴァンパイアの能力とのコンボでパワーアップを気軽にできるんじゃないだろうか?


 「ノゾム様にアイラ様? このような所でどうしたのですか?」


 「ルー?」


 僕のお手軽パワーアップ計画の手伝いをアイラさんにお願いしていたら、変装モードのルージュが買い物袋を手に持った状態で現れた。



 「僕らは、丁度ここで会ったから話をしていただけたよ? ルーは買い物帰りみたいだね?」


 「はい。この近くの商会には、よくお世話になっていますので」


 「そうだ! ルーは今日の仕事はあと何がある?」


 「仕事ですか? 今日はこの買い物で終わりですね。なので、他の皆さんのお手伝いをしようかと思ってましたが…」


 「なら、これからこのメンバーで外にいかないかい? ルーも新しい魔物と契約して戦闘の幅を増やしたいでしょ?」


 「あれ? 私の意志は確認無しなの?」


 やだなぁ。アイラさんがいないと始まらないんだから、強制に決まってるじゃないですか。

 えっ? さっきのお願いはなんだって? 聞こえな~い。




 いったん屋敷に買い物を置きに戻り、再び街の外へと向かっていると、今度はアジリエとエアルを連れたリンとばったり出会った。


 「おっ! リンじゃん。屋敷の外で会うなんて珍しいね」


 「言われてみればそうね。で、それはそうと、ノゾムはアイラとルーを連れてどこに行くの?」


 丁度いいや。リンも一緒に連れていくか。同じヴァンパイアだから、僕の考えているお手軽パワーアップ法が使えるしね。


 「これから試したい事を試すのと、ルーの契約の為に外へ行くんだよ。って事で、リンも行くよね?」


 「あら? 私がいてもいいの?」


 「試したい事はリンにも関係あるからね。だから問題ないよ」


 「そう言う事なら私も行こうかしら? アジリエとエアルは屋敷に戻ってお仕事の方をよろしく」


 「「はい!」」


 「それじゃあ、行きましょう。ノゾム」

 

 リンが2人に指示を出し、僕たちの方に合流する。





 「そう言えば、リンが見ている2人は、今どんな感じ?」


 「そうねぇ…。ルーキーレベルは卒業したとみてもいいかしら? けど、ノゾムが言ってた2ヶ月でCランクってのは厳しいかも。そっちは?」


 「ん~。こっちも似たようなものかな? スキルは何とかなりそうなんだけど、レベルがなぁ…。やっぱり、最後の追い込みで何処かのダンジョンにでも潜るしか…」


 「ノゾム様、何やら不吉な計画が聞こえるのですが…」


 魔物を探しがてら、リンとお互いの弟子? の進捗状況を報告し合う。そして、それを元に今後の計画を立てていたら、ルージュからツッコミが入るが、まるっと無視をする。


 


 「この辺でいいかな? 周囲に人の気配もないし」


 「それで、ノゾム。いったい、何をするの? 私にも関係があることだって言ってたし」


 街の外をぶらぶらと歩きまわり、ようやく周囲に人の気配が無い場所を見つけたので、実験を始めようとすると、内容を知らない3人のうち、リンが代表で僕に質問をしてきた。


 「試したい事は、アイラさんの魔力譲渡能力で僕に魔力を渡せば、僕はレベルを上げることなく、パワーアップ出来るんじゃないかって事なんだ」


 「そうか! ヴァンパイアの魔力の絶対量に比例して、ステータスが強化される能力!」


 ここにきて、やっとアイラさんは自分に声がかかった理由を理解した。


 「私はパス。そんなズルしてまで強くなりたくないわ。私はルーの契約に付き添うから、そっちは終わってもここで待って」


 私、興味ありません。と言わんばかりに、素っ気ない態度でルージュを連れてこの場を去ってしまったリン。去り際に「何を焦っているのかしら」とか呟いたのが聞こえたけど、何だろう?


 「…気を取り直して、始めるとしますか。アイラさん。試しに100ほど魔力を譲渡してもらってもいいですか?」


 「それぐらいでいいの? てっきり、1万ぐらいは持っていかれるかと思ってたわ」


 アイラさんは、あり得ない物を見るかのような視線を僕に向ける。

 人をなんだと思っているんですかね? 一度しっかりとお話をしないとダメですかね?


 まぁ、今は置いておこう。それよりも、魔力を譲渡される前にステータスを確認しておかないと。


 

 【名 前】 ノゾム・サエキ

 【年 齢】 18歳

 【種 族】 ヴァンパイア

 【職 業】

 【レベル】 22

 【H P】 17867598/17867598

 【M P】 57912863400/57912863400

 【筋 力】 7589431 (-97.8%)

 【防御力】 6207259 (-97.8%)

 【素早さ】 5988233 (-97.8%)

 【命 中】 6542907 (-97.8%)

 【賢 さ】 7321784 (-97.8%)

 【 運 】 100~0


 【スキル】

 異世界言語 剣術LV5 短剣術LV3 槍術LV5 斧術LV3 盾術LV4 体術LV5 爪術LV5 魔法剣LV4 魔法拳LV4 ブレスLV6 豪腕LV3 身体強化LV6 身体硬化LV6 魔法強化LV5 オートヒールLV3 MP回復速度LV3 攻撃範囲強化LV5 空歩LV4 忍び足LV5 威圧LV6 咆哮LV5 気配察知LV8 熱源察知LV6 魔力察知LV6 突進LV2 かまいたちLV5 火魔法LV5 水魔法LV4 風魔法LV5 土魔法LV6 氷魔法LV3 雷魔法LV4 光魔法LV3 闇魔法LV3 回復魔法LV1 無魔法LV6 魔法合成 気絶耐性LV5 状態異常耐性LV6 直感LV5 並列思考LV6 糸生成LV6 無詠唱 夜目 魔力操作 奴隷契約 偽装 観察 (違和感)


 【ユニークスキル】

 武器生成


 【固有スキル】

 ヴァンパイア 吸血 再生 分裂 龍の鱗 龍の逆鱗


【所有奴隷】

 リンスレット

 サキ

 セシリア

 イリス

 アイラ

 ルージュ

 フェル

 ネクス

 アジリエ

 リゼット

 ニーチェ

 ナナ

 ネネ

 エアル

 ヨーリ

 サチェス


 ん~。なかなかレベルが上がらないなぁ。やっぱり、僕もダンジョンでレベル上げでもしようかな? って、違う違う! 今はレベルよりステータス。


 「アイラさんが僕をどう思っているかは、あとでじっくり聞かせてもらいます。さっきも言いましたが100でいいので魔力を譲渡して下さい」


 「お、お手柔らかに…ね」


 ステータスの確認が終わったので、アイラさんに声をかける。彼女は笑顔を引き攣らせながらも、魔力の譲渡を始めてくれた。


 「はい。終わったわよ」


 「早いですね」


 「100だからよ。譲渡にかかる時間は、譲渡する量が増えれば増えるほど時間がかかるようになるのよ」


 まぁ、言われてみればその通りなんだけど、それでも、もっと時間がかかると思ったんだけどね。


 「じゃあ、ステータスを確認しますね」


 【H P】 17867900/17867900

 【M P】 57912863500/57912863500

 【筋 力】 7589800 (-97.9%)

 【防御力】 6207543 (-97.9%)

 【素早さ】 5988506 (-97.9%)

 【命 中】 6543193 (-97.9%)

 【賢 さ】 7322062 (-97.9%)



 おや? 実験は成功だけど…。気のせいかな? マイナススキルでのステータス制限がさっきより増えたように見えるんだけど…。


 「望君? いきなり地面にキミの世界の数字を書き始めてどおしたの?」


 「ちょっと待って下さい。今、計算しているので」


 僕はステータスが上がった為、現在、どれぐらいステータスがあるのか、その場で計算し始める。…ただ、計算しなくても弱くなったのは体感的にも感じる。しかし、僕が計算するのは、正確な数字が知りたいからだ。


 とにかく、魔力の譲渡でステータスは上がった。が、マイナススキルによるステータス制限も上がった。つまり、プラスマイナスで考えるならマイナスなんだよなぁ…。リンならマイナススキルが無いからこの方法で強化は出来るけど、さっき拒絶されたばかりだし。これはお蔵入りかぁ。


 「ため息をついて、手が止まったけど、終わったの?」


 「あ、はい。終わりましたよ。実験自体は成功です。アイラさんのスキルがあれば、ヴァンパイアはアイラさんの魔力の許す限り強化可能です」


 「なら、何でそんなに暗いのよ?」


 「僕には使えないからです。話しませんでしたっけ? マイナススキルの事」


 「そう言えば、有ったわね。そんなスキル」


 アイラさんはおぼろげにしか覚えていないようなので、改めて僕のマイナススキルの説明をする。と、説明している最中に、遠くからリンが走ってくるのが目に入った。


 …なんだろう? あまり、いい予感はしないな。

ありがとうございます


さて、今回ノゾム君の基礎ステータスが変更さてましたので、現在のステータスを分かり易くします。


魔力譲渡前

レベル 22

力 166967(7589)

守 139631(6207)

速 131741(5988)

命 143944(6543)

賢 161079(7322)



魔力譲渡後

レベル 22


力 159386(7590)

守 130358(6208) 

速 125759(5989)

命 137407(6544)

賢 153764(7323)


と、なります。

ちなみに()の中の数字は0,1%の数字です。なので、レベルが上がると()の数字分ステータスが上昇? 解放? します。



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