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神様のスキルはチート過ぎ…る?

この話は書いてて楽しかったです。

チートイイネ!




 「…さて、以上が僕たちの事だよ。最初に他言無用と言った命令の意味が判ってもらえたかな?」


 結構な時間をかけて、僕たちの種族やリンたちが奴隷になった経緯などを説明した。その甲斐あってか、フェルたちは僕の言葉に深く頷いてくれた。


 「それじゃあ、今日はここまでにして、あとは各自お風呂に入ったのち就寝。明日は7時にこの食堂に集合で」


 みんなへと視線を向けると、全員頷いていたので、女の子新人たちのお風呂の面倒をリンたちに頼み、彼女らが出てくるまでの間に、少しだけフライングだけどフェルとネクスに明日からの稽古をつけるとしよう。


 ちなみに、新人たちがお風呂に関して騒がなかったのは、一応説明済みだからだ。





 「2人には、明日からのやってもらう事の説明をしておくとしようか」


 「「はい!」」


 場所を地下にある部屋の中でも一番広い所に移して、2人に説明を始める。


 「まずは、君たちを買った理由だけど、この屋敷の維持をしてもらいたい。僕たちは長期で屋敷を留守にする場合があるからね」


 「それは構わないのですが、自分たちはそういった教育を受けていません。いきなりやれと言われえても、勝手が分からないのですが」


 新人たちの購入理由を教えると、フェルが申し訳なさそうに、自分たちには出来ないと伝えてきた。


 「もちろん、それは分かっている。とりあえず、それは後回し。明日から君たちにやってもらいたい事は、もう一つの理由に関係する事だ」


 僕の言うやってもらいたい事が見当もつかないのか、2人は首を傾げる。


 「それは、戦闘訓練だ。屋敷の維持と一緒に、君たち10人には屋敷の警護も担ってもらいたい。そうだなぁ…、2ヶ月ほどでそこら辺の冒険者ぐらいには、なってもらおうかな?」


 「「は?」」


 「そう言う訳だから、今日は魔法の練習をしようか。体を動かすのは、もう少し体全体に肉が戻ってからだな」 


 驚愕している2人を正気に戻し、魔法練習の基礎である自分の中にある魔力を感知する練習を始めさせる。

 本当なら、筋トレとかさせたかったんだけど、新人たちは今日まで奴隷商館にいただけあって、全員が痩せ細っている。だから、暫くは激しい運動は禁止かな?


 「こんな所にいたのね。望君、お風呂空いたわよ」


 2人の練習を見守っていたら、アイラさんが部屋に入ってきた。アイラさんはお風呂から出たばかりだからか、いい香りがする。


 「分かりました。…そうだ! アイラさん。アイラさんのスキルで、自身の魔力を感知出来るように、サポートする事って出来ますか?」


 「え? …たぶん出来るんじゃないかしら? やった事ないから、確実とは言えないけど」


 「じゃあ、今、この2人で試してください」


 僕が思いついたのは、アイラさんの固有スキル『魔力の支配者(マジック・ルーラー)』で無理やり魔力を感知させる方法だ。さてはて、上手くいくかな?


 「「あっ!」」


 どうやら上手くいったみたいだ。


 アイラさんに手を握られた2人は、すぐに感知出来たようで驚きの声を出す。


 「魔力を感知出来たみたいだし、今日はここまでにして、お風呂に入るか」


 「「はい!」」


 「アイラさんもありがとうございました。明日からもお願いしますね」


 「いえいえ、これぐらいは…え? 明日?」


 「はい、明日からもです。他の7人にもですし、さらに僕の考えている事が実現できれば、アイラさんは明日忙しくなりますね。あと、ルージュのお守りもありますし。あっ! 逃げないで下さいね。これは『命令』ですので」


 なんとなく、直感スキルが仕事をしてくれたので、アイラさんを命令で縛っておく。


 「ちょっと! また部屋から出れない生活なの? そんなの嫌よ!」


 「ルージュが必要スキルを覚えてくれるまでの辛抱ですよ。はい、お風呂に行くよ2人とも」


 「は、はい」


 「お、おう」


 返事にどもる2人を引き連れて、地下を後にする。

 そして、お風呂の入り方を教えながらお風呂に入る。お風呂から出た後は、地下での魔力の感知の感覚を忘れない為にも復習するように言って2人と別れる。

 2人と別れた後は、屋敷の住人が寝静まるのを待ってから、レベル上げの為に夜の狩りに出かける。

 この間のクイーンの件もあるので、狩り尽くす事はしないで、生態が崩れない程度に留めておく。




 翌朝、昨日伝えた通りの時間に、全員が食堂に集まっていた。食事も出来ているところを見ると、セシリア辺りが早起きして作ってくれたのだろう。ありがたや、ありがたや。


 「よし、今日から君たちにしてもらう事を伝えるよ。まず、フェルたちは午前中アイラさんと一緒に魔法の練習、午後は自分を選んでくれた人と魔法の練習。ルージュは引き続きスキルの修得を目指すこと」


 元気よく返事をするフェルたちとは裏腹に、ルージュは露骨に嫌な声で返事をする。


 「私たちは午前中なにしてればいいの?」


 「リンたちは午前中は自由でいいよ」


 リンは何も指示がない午前の事を訊いてきた。けど、何もする事がないので自由にする事にした。




 リンたちは自由行動、ルージュは地下室の一角で隔離したので、僕はフェルたちの練習に顔を出していた。まぁ、昨日の思い付きを試すためだけどね。


 「それで、望君。私は何をすればいいのかしら?」


 「まずは、魔法を使えない人に、昨日のフェルたちみたく魔力を感知させてあげて下さい。それが終わったら、試したい事があるので、協力して下さい」


 「分かったわ。はい、皆聞いていたわね? さっさとやるから集まって」


 アイラさんの一言でフェルとネクス、それにアジリエ以外の新人がアイラさんの元に集まる。集まらなかった3人の内2人、フェルとネクスは各々魔力を掌に集める練習をしている。アジリエは、すでに魔法を扱えるので、今は何をしていいのか分からず、周囲をきょろきょろと見ている。


 「アジリエ、もしよかったら、フェルとネクスの2人にコツを教えてやってくれないか?」


 「ふぇ!? ご、ご主人様! わ、分かりました!」


 アジリエに声をかけると、かなり緊張した感じで返されてしまったので、少しだけ苦笑いが出てしまった。


 「望君、とりあえず一通り、施してきたわよ。けど、よく思いついたわね、こんな方法」


 「感心するのは、次の実験が成功してからにしてほしいですね」


 練習を開始してから1時間もしないうちにアイラさんが僕の元にやってきた。アイラさんは、魔力の感知させる方法に感心していたけど、まだ序の口。って事で、次のステップへ。


 「実験って何をするのかしら?」


 「まず、アイラさんの『魔力の支配者(マジック・ルーラー)』で僕の魔力を掌握してもらいます。で、その掌握した魔力を使って、僕の体から魔法を(・・・・・・・・)発動さる(・・・・)事が出来るかの実験です」


 「え? つまりどういう事?」


 「例えるなら、僕を魔力のこもっただけの未完成の魔法陣だとして、そこにアイラさんが自身の魔法を書き込み、魔法陣から魔法を発動させるって事です。この実験の目的は、魔力を掌握された人の体と魔力で、掌握された本人が、本来使用できない魔法を使用できるのか試すものです」


 本当の目的は、その先にあるんだけど、今はこの方法が成功するか否かが先だ。


 「貴方ってとんでもない事を思いつくのね…。とにかく、一度やってみましょう」


 そう言うと、アイラさんは僕の背後に回り、僕の肩に手を置く。

 すると、自分の中に魔力が自分の物じゃなくなる感覚が徐々に広がっていく。


 「…掌握完了よ。これから、この掌握した魔力で魔法が使えるか試すわね」


 「それなら、回復魔法でお願いします。いまだに覚えられてないので」


 「回復魔法ね。分かったわ」


  アイラさんに使用する魔法の属性を指定して、待つ事数分。普段ではしない魔法の手順の為か、少しだけ魔法を発動させるのに時間がかかった。


 「…お待たせ。じゃあ、いくわよ? …『ヒール』!」


 アイラさんが回復魔法のヒールを唱えると、僕の掌からヒールの光が出てきた。うん、実験は成功みたいだ。僕の方も、自分の魔力がどうやって回復魔法に変換されているのか、何となくだけど解った気がする。

 念の為、ステータスを視ると、スキルに回復魔法が追加されていたので、この実験の本来の目的は達成出来た。これで、アイラさんの協力があれば、誰でもどの属性の魔法を覚える事が出来る事になった。まぁ、スキルのレベルは1だけど。


 「アイラさん、成功しましたよ! しかも、スキルも覚えました!」


 「まさか、私の『魔力の支配者(マジック・ルーラー)』に、こんな使用方法があるなんて…」


 実験が成功して喜ぶ僕に対して、アイラさんはただただ驚いている。だが、これで終わらせはしない。実験の結果から思いついたもう一つの可能性を試さなくては…。


 「アイラさん、もう一つ試したい事が出来たんですが、いいですか?」


 「…次は何よ?」


 アイラさんは何故か、引き攣った表情で僕を見る。しかし、そんなのは無視して話を進める。


 「今度は、掌握された魔力の使用権限だけを僕に渡してもらい、その魔力でアイラさんが使えない属性の魔法を使うと、どうなるのかって言うのを試したいんです」


 「私の使えない属性って、ユニーク属性か召喚魔法ぐらいよ?」


 自分の使えない属性を挙げるアイラさんだけど、彼女は忘れているようだ。僕が雷と氷の属性を持っている事を。


 「まぁ、とにかく掌握お願いします」


 「はぁ…」


 再び掌握される僕の魔力。…さっきは気のせいかと思ったんだけど、掌握される魔力が増える度に体が重くなっているように感じるんだけど、なんだろう?


 「準備出来たわよ?」


 自分の体の事を考えている間に掌握が完了したみたい。そして、魔力も使える。感覚的には、掌握される前には無かったラグがあるのが気になるけど。


 「それじゃあ、いきますね。………………『ショック』!」


 「っ!!!?」 


 雷魔法のショックを発動させる。ラグのせいで、発動まで時間がかかったけど、魔法自体は問題なく発動した。アイラさんは、魔法が発動した瞬間、すごく驚いていたけど、あれは魔法に驚いたのかな? それとも、僕の予想通りの事が起きて驚いたのかな? どっちだろう?


 「ちょっと何なの? 私の知らない属性なのに、何となくだけど、今の属性への変換方法が解ったわ…」


 「どうやら上手くいったみたいですね。一応、ステータスを視て下さい。もしかしたら、スキルを覚えているかもしれませんよ?」


 アイラさんの驚きは後者だったようだ。あとはスキルも覚えてくれたら完璧なんだけど…。


 「…雷魔法? 何これ?」


 おっ? 無事スキルも覚えてくれたみたいだ。それじゃあ、このまま氷魔法も覚えてもらおう。






 「君はいったい、この一年でどれだけ非常識な存在になったのよ?」


 雷魔法によって混乱しているアイラさんをよそに、氷魔法を披露したら、彼女から非難の視線とともにありがたい一言を戴いた。

 僕からしたら、アイラさんの方が非常識な存在だと思います。だって、この分でいけば、彼女の『魔力の支配者』は魔力を使うスキル全てを今の方法で修得できる可能性を秘めている。さすが、神様とでも言うべきチートスキル。


 「それは、横においといて。今は、先ほどの方法でフェルたちが望む魔法を修得させて下さい。あと、ルージュにも」


 「ちょ、ちょっと! あの子たち全員って簡単に言うけど、さっきのあれ、意外と魔力を使うし、慣れてないしで、口で言う程、簡単には出来ないのよ?」


 「けど、ルージュを含む全員にって事は、これが終われば、ルージュのお役m」


 「今すぐ行ってきます!!」


 僕の言葉を最後まで聞かずに、フェルたちの元へ走っていくアイラさん。そんな彼女の後姿を見ながら苦笑いを浮かべる。


 「お役目解放に一歩近づくって、言うつもりだったのにな…。あとでどやされそうだ」


 僕は、この後のアイラさんをどうするか考えるのと一緒に、今後のフェルたちの育成スケジュールを考えながら、同じ部屋にいる彼らを眺めていた。




ありがとうございました

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