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顔合わせ…

何とか、名前決め行軍を乗り切りました。

一気に10人は辛いッスね




 屋敷の購入と、新しい奴隷の購入を済ませてから、2日が経った。

 つまり、今日から屋敷に住居を移すことになる。さらには、新人さんたちも引き渡されるので、アイラさんとルージュにとっては初顔合わせともなる。

 他にも、屋敷に足りない物や新人さんたちの生活用品なども買い足さないといけない。つまり、今日は凄く忙しくなるって事だ。



 「久々の…外の空気」


 「外って明るいんですね」


 2日ぶりに部屋から出れた2人はとても感動していた。ちなみに最初がアイラさん、次がルージュの台詞だ。なお、部屋に窓はあったから光は入ってきていた。だから、ルージュの言葉は大げさだ。


 「2人とも、少し大げさじゃないかな? そんなんじゃ、これから合流する新人たちに舐めらるよ?」


 2人のテンションに苦笑いしか出てこない。それはリンたちも同じだったみたいで、皆も苦笑いだ。


 「仕方がないじゃない。望君ったら、あれから本当にほとんど部屋から出してくれないんだから」


 「それこそしょうがないじゃないですか。ルーの事がどこでバレるか分からないんですから」


 ちなみにルーとは、外でのルージュの呼び方だ。流石に外でそのまま呼ぶのは拙いと思ったからだ。これは皆も了承している。


 「アイラ様…私のせいで、すみません」


 「ルーが気に病む必要は無いわよ。私が貴女に魔法をかければ、外に出ても問題ないはずだったわ。今だってそうしているのに。なのに望君は、私たちにあんな仕打ちを…」


 自分のせいだと落ち込むルージュにアイラさんがフォローを入れる。しかし、後半は僕に対する愚痴をグチグチと垂れ流している。

 

 「そうは言っても、いつまでもアイラさんが傍についてる訳にもいかないんだしさ。いずれしなきゃいけない事を、今の内に少しだけ追い込んで、少しでも早く習得させようとしているだけじゃないですか」


 「望君? 君、初めて会った時より、いい性格になったわね」


 「これも全て、アイラさんのおかげですよ」


 「はいはい。馬鹿なやり取りしてないで、早く動くわよ? ただでさえ、今日は忙しいんだから、無駄なことで時間を使わない」


 「「ごめんなさい」」


 アイラさんとイヤミの応酬をしていたら、リンが呆れた声で、僕らの間に入ってきた。


 「それじゃあ、気を取り直して。ここからは別行動しよう。僕とあと2人は、奴隷商館へ新人さんを引き取りに行く組。

 そして、リンと残りのメンバーはギルドへ行って屋敷の鍵を回収後、食料の買い出しをお願い」


 「何で私がギルドに行く事が決定しているのよ?」


 これからの各自の行動を伝えたところ、リンが不満ですと言わんばかりに、頬を膨らませながら抗議してきた。


 「僕以外で、一番冒険者のランクが高いからってのが理由だよ。それに、リンは僕がギルドに行った時は全て一緒にいたから、アーシャさんにも顔を覚えられていると思うんだよね」


 「…分かった」 


 僕の説明に渋々頷くリン。さっき、自分から今日は忙しいと言った手前、ここで駄々をこねる訳にもいかないと判断したんだろう。


 その後は、割とすんなりチーム分けが終わり、先ほど決めた通りに行動を開始する。





 「ねぇ、ノゾム君。どうして、新人の引き取りをノゾム君1人で行かなかったの?」


 奴隷商館に向かう途中で、サキがこちらに人数を割いた理由を訊いてきた。


 「僕1人で、新人さんたちの服とか買えないって言うのが理由だよ。女の子の服は女の子が選ぶのが一番だからね」


 「なるほど」


 なお、今回購入した奴隷は男2人、女8人となっている。ちなみに、僕が選んだのは両方とも男だ。


 「そう言うわけで、サキとイリスさんは女の子たちのお世話をよろしくね」


 「はーい」


 「いいわよ」


 もう1人の付き添いはイリスさん。

 そう言えば、イリスさんが選んだ娘は1人怪我の後遺症が残っているんだったな。多分、その娘の治療をしたいって理由でこっちにしたんだと思う。




 「おぉ! ノゾム様、お待ちしておりましたよ」


 奴隷商館に到着し、店の中に入ると、やっぱりエジルさんが笑顔で出迎えてくれた。


 「おはようございます、エジルさん。これから屋敷に引っ越すので、彼らを引き取りに来たのですが、大丈夫ですか?」


 「ええ、問題ありません。おい、全員を連れてきてくれ」


 エジルさんは笑顔で受け答えしたのち、部下に指示を出す。


 「ご主人様。これからよろしくお願いします!」


 「「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」」


 エジルさんの部下に連れられて僕たちの前に現れた新人さんたちは一列に並び、男の子が代表で挨拶すると、それに続くように残りの9人も頭を下げて挨拶をする。


 「こちらこそ、よろしくね。…それよりも、エジルさん。彼らの服は?」


 「そちらは、私からのサービスです」


 僕は、彼らの挨拶よりも、彼らが身に纏っている服の方に関心が向いてしまっていた。何故なら、彼らは地球で言う執事服とメイド服を着ていたからだ。ちなみに、メイド服はロングスカート。

 それによく見ると、お風呂にも入れてくれたみたいだ。なんだかサービスし過ぎじゃないか?


 「こちらとしては、ありがたいのですが、よろしいのですか?」


 「はい。私からの屋敷の購入祝いだと、思っていたたければ」


 「ありがとうございます。では、代わりと言っては何ですが、これからも何かあれば、頼りにさせていただきます。それで来てそうそうで、申し訳ないのですが、今日はこれで失礼します」


 「それはそれは、ありがとうございます。それとこちらの事は、気にしないで大丈夫ですよ。これからもよろしくお願いします。あとお前たち、これからはノゾム様の元で頑張りなさい」


 僕は、お礼を伝えて店を後にしようとすると、エジルさんは新人さんたちに一言だけ、応援の言葉を贈る。新人さんたちが各々エジルさんにお礼の言葉を言い終わるのを待ってから、屋敷へと向かった。



 奴隷商館を後にした僕たちは、屋敷へ向かう途中で、新人さんたちの服やらなんならを購入した。

 まぁ、色々と大変だったけど、何とかなった。その辺りは割愛するけど…。



 「「「「「「「「「「………………………」」」」」」」」」」


 屋敷に到着したが、新人さんたちが固まってしまった。


 「ほら、固まってないで! 早く屋敷に自分の荷物を置いて、屋敷の片付けをしないといけないんだからさ」


 声をかけないと、いつまでも呆けていそうなので、声をかけて行動を促してみる。すると、商館で一番最初に挨拶をした男の子(名前はフェルだったはず)が硬直から回復し、恐る恐る僕に訊ねてきた。


 「ご、ご主人様。僕たちは、どこに住むのでしょうか? 奴隷用の建物が見当たらないのですが…」


 「ん? 目の前の屋敷にだけど? まぁ、2人で1部屋だけど」


 「…………」


 おや? またしても固まってしまった。


 「もしかして、1人1部屋がよかった?」


 「っ!!? いえ、2人1部屋で問題ないです!!」


 この感じだと、この屋敷に住むことに驚いているのかな? まぁ、地下なしでも20人ぐらいは余裕で住める屋敷だからなぁ…。


 とりあえず、新人さんたちの部屋割りは、僕たちが選んだ人でペアとなり、1部屋となった。

 僕たちが屋敷に入ると、先に帰ってきていたリンたちが、屋敷で引っ越しの荷ほどきに追われていた。


 僕はそんなリンたちを集めて、先に全員の部屋割りを決める。そして、それぞれ部屋の整理から始める。

 部屋の整理が終わった人から、僕の元に次の指示をもらいに顔を出す。夕方になる頃には、片付けも一段落し、僕たちは食堂に集まっていた。


 「みんな、今日一日ご苦労様でした。おかげで大体の事は片付いたと思う。とりあえず、新人さんたちの自己紹介の前に食事にしよう。新人さんたちも椅子に座っていいし、目の前の料理を遠慮せず、食べていいからね」


 そう、僕たちの目の前には大量の料理がある。これはセシリアが作ったものだ。リンとイリスさんも手伝っていたらしいけど。そして、新人たちには前もって釘を刺す。案の定、床に座ろうとしていたし、おこぼれを食べる気だったんだろう。


 そんなこんなで、夕飯も無事終了し食後の休憩もある程度取ったので、そろそろ自己紹介を始める事にする。


 「さて、皆そのままでいいから、話を聞いて。そろそろお互いの自己紹介を始めようか」


 皆も頷いたので、そのまま僕から自己紹介に入る。


 「それじゃあ、始める前に1つ。これから聞くことを他人に話すことを禁ずる。これは命令だ」


 いきなりの命令に、新人さんたちだけが驚いていたけど、無視して今度こそ自己紹介を始める。


 「皆の主人になった、ノゾム・サエキだ。苗字があるけど、貴族じゃないから。冒険者をしていて、ランクはSSランク。あとは…異世界の人だけど、今はヒトてはなくヴァンパイアになった。以上かな? じゃあ、次は…」


 新人さんたちは、僕の自己紹介を聞いて、驚きのあまり呆けてしまっている。そして、そこに畳みかけるようにリン、サキ、セシリア、イリスさん、アイラさん、ルージュの順で自己紹介を続ける。それに伴い、飛び出すヴァンパイア(2回目)、魔族、銀髪の狐人、堕天使、元神様、王女と言う言葉に、やっぱり新人さんたちは驚き続けた。


 「色々と訊きたい事があるとは思うけど、今は自己紹介を続けるよ。右から順に行こうか」


 「は、はい! 自分はフェルと言います。ヒト族で歳は14です」


 いきなり指名されたけど、簡単ながらも自己紹介が出来た男の子フェル。身長は150cmの赤い髪で金色の瞳で少し柔らかい目つきをしている。


 「次はお、自分ですか。名前はネクスです。フェル…君、と同じヒト族で歳も同じ14歳です」


 次に自己紹介をしたのは、ネクスと言う男の子。フェルとは違い、少し生意気そうな空気を感じる。髪は金髪で瞳は蒼い瞳をしている。身長はフェルより少し高いかな?多分160cmにはギリギリ届かないぐらいだと思う。


 「ネクス、口調は自分が話しやすい口調でいいよ? 他の皆もね」


 「うっ」


 ネクスは口調を指摘されて、少しバツの悪い顔になった。


 「あ、あの、私はアジリエって言います。種族はハーフエルフで歳は54歳です。これからよろしくお願いします」


 女の子のトップバッターはリンが選んだ子の1人、ハーフエルフのアジリエだ。歳だけを見ればかなり年上になるけど、エルフやハーフエルフのこの年齢はヒトで言うところの15歳程度だったはずだ。髪は水色のボブヘア、瞳も水色。身長は少し低めでたぶん140cmもないんじゃないかな?


 「今更ですが、初めまして。ヒト族のリゼットです。歳は14歳です」


 次はサキが選んだ1人でヒト族のリゼット。くせっ毛のオレンジの髪をセミロングにしている彼女は言葉遣いとは違い、ちょっと生意気な目つきをしている。身長は新人女性の中では背が高い方で160cmに届きそうだ。


 「あ、あの…ニーチェです。13歳です。…猫人族です」


 ちょっとおどおどした感じで自己紹介をした彼女は、セシリアが選んだ1人、ニーチェだ。最年少の彼女は、人見知りの気があるようだ。くすんだ色をした金髪でショートカット、紅い瞳は垂れ目のおかげでキツイ印象はない。身長はアジリエと同じぐらいだ。


 「「皆様、初めまして。ナナとネネです。14歳のヒト族です。私たちは双子で姉がナナ、妹がネネなので、間違えないで下さい」」


 見事にシンクロして、一字一句違える事の無かったこの2人は、イリスさんが選んだ娘の双子のナナとネネ。一卵性の双子のようで、ぱっと見は見分けがつかない。2人とも茶髪のストレートロングヘアー。瞳も髪と同じ茶色だ。そんな2人を見分ける術は、姉のナナの左目の近くに泣きボクロがあるので、今のところはそれが唯一の見分ける方法だ。


 「えっと、初めまして。エアルです。兎人族です。私も14歳です。よろしくお願いします」


 リンが選んだもう1人の娘で兎人族のエアル。彼女はウサミミがピンと立っているタイプの兎人族だ。ウサミミの色と髪の色が同じ白で、肩口で綺麗に切り揃えられている。瞳が赤いので、アルビノかと思ったけど、肌の色は僕たちと変わらないので、たぶん違うのだろう。身長はサキとアジリエの間ぐらいかな?


 「初めまして。狐人族のヨーリと言います。歳は14歳です。よろしくお願いします!」


 今までの子たちが多少なりと緊張していたのに、このヨーリだけは元気よく自己紹介をした。金髪でおさげが肩に乗り、前に来ている。瞳は青。身長はサキと同じぐらいかな? そして、何故かセシリアをキラキラした目で見ている。なお、このヨーリはセシリアが選んだ娘である。


 「私で最後ですね。名前はサチェス。狼人族の13歳です」


 最後の1人はサキが選んだ娘、狼人族のサンチェ。ニーチェと同じ最年少だけど、彼女とは違い人見知りではなさそうだ。灰色の髪をショートカットにしているが、右の側面だけ髪が一房分肩口まで伸びている。瞳は黒で、身長はアジリエと同じぐらいかな?


 「一通り、自己紹介も終わった事だし、次は君たちが訊きたがっているであろう事について話していく事にしようか」


 そう言って僕たちは、新人たちに自己紹介では話さなかった、種族の事などの自分たちの事を話していく。なので、僕たちの引っ越し一日目はまだ終わらない。




ありがとうございました。


ちなみに、サキさんの身長は150cmぐらいです。

みんな忘れていると思うので、念の為。


なお、全員の身長は

ノゾム  165cm

リン   160cm

サキ   150cm

セシリア 153cm

イリス  175cm

アイラ  170cm

ルージュ 148cm



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