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能力は宝の持ち腐れに




 僕は目を覚ますと広い部屋の隅にいた。

 とりあえず、意識を失った原因は思い出せたので、アイラさんへの仕返しを心に刻んでおく事にして周囲を見回してみた、そして部屋の真ん中で倒れていた吉田たちを見つけた。


 僕が起こすと面倒になりそうだからあえて無視しておこう。

 そう思っていたら部屋にやけに豪華な鎧を着た人が入ってきて、部屋で唯一起きていた僕に話しかけてきた。


 「突然の事で混乱しているだろうが、説明したいので私についてきてくれないだろうか?」


 「まだ、目を覚ましていない彼らは、どうするんです?」


 吉田達がどうなろうと、僕には問題はないんだと、一応聞いてみた。



 「彼らも目を覚まし次第、案内するから安心したまえ、それよりも彼らが目を覚ますまでとは言え、勇者様をこのような場所に居させる訳には…」


 「ゆ、勇者様? 僕がですか?」


 いきなり勇者とか言われたのでつっこんでしまった。


 「いきなり呼ばれて戸惑うのも分かります。そのあたりも追々説明するのでこちらにどうぞ」


 そう言われたので、案内されるまま僕は応接室みたいな所に連れてこられた。


 移動中に色々質問したところ、ここはイーベル王国の王城らしい。

 イーベル王国はセルフィアナに3つある国の1つらしい。

 そして鎧の人はそのイーベル王国の騎士団長をしているらしい。この国最強の戦士だそうだ。

 ちなみに、この世界はセルフィアナと言うそうだ。


 これ以上の説明は一度に済ませたいらしく、吉田達が来てから説明すると言われてしまった。



 僕は吉田たちが来るまでにアイラさんに言われた通り、貰った能力の確認をしてみた。

 スキルの使い方が分からなかったので、とりあえず、自分の体をじっと見ていると、なにやらゲームで見慣れたものが見えはじめた。



【名 前】 ノゾム・サエキ

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヒト

【職 業】

【レベル】 1

【H P】 150/150

【M P】 57912862142/57912863400

【筋 力】 80

【防御力】 65

【素早さ】 50

【命 中】 55

【賢 さ】 70

【 運 】 100~0


【スキル】

異世界言語 観察  直感LV1 気絶耐性LV1 (MP使用不可)





 いやいやいや、ツッコミ所がいくつかあるんですが、まずMP多すぎですよ。アイラさんは、自分が魔力を司る神様だって言ってたけど、こんなに貰っていいの? それに運の数値が100~0ってどうゆうことですか? 普通運って固定じゃないんですか? 僕だけ変動式なんですか? まぁ、今までの自分を振り返れば納得と言えば納得なんだけど…。あと職業が記載されていないけど、これは異世界人だからなのかな? スキルも気になるのがあるけど、それは後で調べることにしよう。


 そうこうしているうちに、吉田達もこの応接室に姿を現した。

 吉田達も席に座り、団長さんが色々と説明し始めた。


 「まず、謝らせてくれ。こちらの勝手な都合できみたちをこちらの世界に呼んでしまってすまなかった」


 「おいおい、そんなことよりなんで俺らを呼んだんだよ。そこんとこ説明しやがれよ」


 吉田がイライラしなが話を進めるように促す。

 どうやら、吉田達は応接室に案内される間に、ここが異世界だと説明されていたようだ。


 「分かった、そのあたりから話し始めるとしよう。そもそも、勇者様たち(異世界人)を召喚するきっかけとなったのは、我が国の国王様に天使様より神託が下ったのが始まりだ」


 天使? 神託? テンプレならそこは魔王を倒す為に呼んだんだとかじゃないの? なのに、天使って。とりあえず話の続きを聞いてみよう…。


 「天使様は、他の臣下たちも見たのだが、神託自体は王しか聞いていないので、神託の内容は王より伝えられた通り君たちに伝える。『異世界から勇者を召喚し、ヒト族を一つにまとめ、魔族を討ち滅ぼせば、イーベル王国はさらなる繁栄がもたされるだろう』とのことだ」


 う~ん…。とりあえず、幾つか質問してみようかな?


 「あの、幾つか質問してもいいですか?」


 「なにかな?」


 「まず、天使と神託についてなんですが、そもそも天使とはなんですか? そして神託って、普通は神様から授かるものではないのですか?」


 「順を追って説明させてもらおうか。まず、神様はこのセルフィアナをより良い世界にする為、色々な事をなさっているそうだ。その1つに人々を導くという目的のものがある。それが先ほどから話に出ている神託だ。しかし、全てを1人で行いほど神の仕事は簡単ではないそうだ。そこで、天使と言う種族を創り、神様の仕事の一部を代行させることにした。と言う風に伝わっている」


 「天使と神託についての関係は分かりました。次に僕たちは何をするべきなのかなんですが、神託の内容からして、魔族の殲滅だけですか?」


 「正確には魔族の中でも上級魔族と言われる魔族を倒してもらいたい。魔物やただの魔族程度なら我々騎士団でも十分渡り合えるのだが、上級悪魔は我々の手に負えないのだ」


 「なるほど。分かりました。あと…」


 「うだうだといつまで質問してんだよ、佐伯のくせに。魔族なんて皆殺しでいいんだろ。あとはこの後どうするかが分かればいいんだよ!!」


 僕が質問している途中で吉田が我慢の限界に達し怒鳴り始めた。質問を続けられそうにないので団長に目で合図を送り話を進めてもらう事にした。幸いにも、団長は分かってくれたらしくこの後の予定を話してくれた。


 「この後は、謁見の間で国王と面会してもらい、そこで君たちのステータスの確認を行う」


 「はぁ? ここで確認できないのかよ。いちいち謁見とかだりぃんだけど。王だかなんだか知らねぇけど、俺らを呼んだんなら、てめぇが謁見しにこいって話だよな」


 団長が謁見の話をすると、伊藤がそれに噛み付いた。


 「確かにそうだよな、りょうの言う通りだな」


 吉田も移動するのが嫌なのか、伊藤の意見の賛成する。原はどちらでもいいのかこの話題には乗ってこない。団長は僕らが勇者なのでどう扱うべきか迷っているようだ。僕はこれ以上、話がこじれるのはまずいような気がして、吉田たちに話しかけた。


 「あのさ吉田、この国の王に今から悪い印象を与えるのはまずいんじゃな? 僕たちはこの世界に召喚されたばかりで、右も左も分からないんだ? さらに王の印象を悪くして、後ろ盾を失くすような事になるのは、危険じゃないのかな?」


 「………」


 『後ろ盾』の言葉を聞いて、吉田は少し考えそして舌打ちをした。


 「…ちっ、しょうがねぇ、団長様よぉ、早いとこ王とやらに顔を見せに行こうぜ」


 ひとまず、これ以上事態が悪化せずに済んだみたいだ。


 こうして僕たちは国王に謁見する為、さっそく謁見の間に移動する事になった。


 謁見の間に到着すると国王らしき人物がすでに待ち構えていた。


 「遅かったな団長よ」


 「はっ、すみません。説明するのに少々時間がかかりました」


 団長は王に話しかけられると、片膝立ちになり頭を下げ、遅れた理由を簡潔に報告した。


 「まぁよい、ようやく我が宿願が叶う足がかりに会えたのだから。勇者たちよ、余がイーベル王国の国王である、シャルトニア・イーベル・14世だ。団長より説明は受けているな? とりあえず、勇者たちのステータスを余に見せてはくれぬか? ステータスオープンと心の中で唱えれば大丈夫だ」


 僕たちは言われた通りステータスを出して、王に見せた。



【名 前】 ノゾム・サエキ

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヒト

【職 業】

【レベル】 1

【H P】 150/150

【M P】 %$&#&?¥%$&%#@/%$&#&?¥%$+&%

【筋 力】 80

【防御力】 65

【素早さ】 50

【命 中】 55

【賢 さ】 70

【 運 】 100~0


【スキル】

異世界言語 観察 気絶耐性LV1 直感LV1





【名 前】 マサキ・ヨシダ 

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヒト

【職 業】 勇者

【レベル】 1

【H P】 348/348

【M P】 12/250

【筋 力】 240

【防御力】 200

【素早さ】 189

【命 中】 210

【賢 さ】 170

【 運 】 40


【スキル】

異世界言語 剣術LV1 体術LV1 身体強化LV1 オートヒールLV1 火魔法LV1 風魔法LV1 光魔法LV1





【名 前】 リョウスケ・イトウ 

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヒト

【職 業】 魔術師

【レベル】 1

【H P】 183/183

【M P】 21/308

【筋 力】 103

【防御力】 99

【素早さ】 139

【命 中】 171

【賢 さ】 255

【 運 】 27


【スキル】

異世界言語 火魔法LV1 水魔法LV1 土魔法LV1 光魔法LV1 魔法強化LV1 MP回復速度LV1  





【名 前】 ノブオ・ハラ 

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヒト

【職 業】 槍士

【レベル】 1

【H P】 252/252

【M P】 9/180

【筋 力】 196

【防御力】 163

【素早さ】 158

【命 中】 154

【賢 さ】 148

【 運 】 30


【スキル】

異世界言語 槍術LV1 筋力強化LV1 気配察知LV1 攻撃範囲強化LV1




 あれ? さっきは見れたMPバグってる? 僕だけステータス低い? スキルで表示されてないやつがあるのは何で? 職業ないのも僕だけだしどうなってるの? 国王も団長もそんなダメなヤツを見る目で見ないでくださいよ、泣きますよ僕…。


 「佐伯ぃ、なんだよそのステータスは、一部バグってるしよ。団長さんよ、この世界ではこいつのステータスでも強い方なのか?」


 吉田は分かりきっている事をあえて質問した。最っ高に憎らしい笑顔で。


 「いや、このステータスは最弱魔物クラス以下で一般人クラスと変わらないな」


 「ふむ、なにやら1人一般人が、巻き込まれてしまったようだが…。それにしても、流石は勇者だな。ステータスもLV1にしてその高さとは。さて、団長よステータスの確認も済んだので、勇者たちを部屋に案内してくれ。勇者たちも今日はもう休んでくれて構わない。これからの事は明日また話そう。ただ、ノゾムとかいったか? おぬしはここに残ってくれ」


 僕は嫌な笑みを浮かべる吉田たちを見送る。そして国王と二人っきりになったこの謁見の間で、彼が話し始めるのを待っていた。


 「さて、残ってもらったのはこれからの話をする為なのだが…。遠まわしに言ってもしょうがないので、単刀直入に言おう。おぬしは1ヶ月以内にここから出て行ってくれぬか?」


 わぁお、戦力外通告は受けるだろうなぁとは思っていたけど、それ以上だった。


 「訳を聞いてもいいですか?」


 「それぐらいなら構わない。とは言っても、簡単だ。おぬしはこのまま戦っても、すぐ死ぬだけだからだ。それならば、1ヶ月以内に出て行ってくれた方が『勇者戦死』よりこちらに都合がいいのだよ」


 なるほど、ここに残って魔物に殺されれば、『勇者が簡単に死んだ』となり、兵士の士気も下がるんだろう。それなら早期にいなくなってくれた方が、臆病者が逃げたなどの噂も流し易いのだろう。まったく、これも『運』よく、アイラさんの所に行ってしまった分の『運』の悪い出来事なのかな?


 「わかりました。僕も死にたくないので1ヶ月以内に出て行きます。ちなみに明日から1ヶ月でいいですよね?」


 「よかろう」


 最後に気になっていた事を聞いておこう。団長には吉田のせいで聞きそびれたからね。


 「最後に1ついいですか?」


 「なんだね?」


 「こちらに召喚される前に声が聞こえたのですが、その声の主はどこにいらっしゃるのでしょうか?」


 「ふむ。あやつは今、召喚術の反動で寝込んでいる」


 「あやつ?」


 「娘のルージュだ」


 「失礼ですが奥様は?」


 この謁見の間に来ていない以上何かあるとは思う。娘さんの容態より王妃の事を聞いておかなければいけないような気がする。直感のスキルのせいかな?


 「やつは召喚の失敗で死んだ」


 「えっ?」


 いやいや、奥さんが失敗して死んだのになんで娘までやらせるんだ? これが、先ほどのカンの正体か。この国王色々と腹に真っ黒いもの抱えてそうだなぁ…。この王といきなり縁を切れるのは良かったのかな? とりあえず、これ以上ここにいても良くないだろうから撤退しよう。


 「そうでしたか、知らないこととは言え、ご無礼をお許しください」


 「別によい」


 「では、僕はこれで失礼します」






 部屋に案内されベッドにダイブする。


 「あーあ、明日からどうしよう?」


 ベッドにダイブしてすぐについ愚痴がこぼれるぐらいには、明日からの事を考えるのが憂鬱になっていた。


 とりあえず、ステータスオープンで表示されなかったスキルの事でも調べるかな。個人的には嫌な予感しかしないから見たくないんだけど、明日からの事もあるし、自分の事は全て把握しておかないと。



『【MP使用不可】

 MPを使う事が出来ない。』



 って、えええええええ~~~~~~!! アイラさんに貰った僕の唯一の武器がいきなり封じられたんですが!? こんな事ってありですか? もしかして、ここを追い出される事じゃなくこっち(MP使用不可)が本当の『運』の悪い方なの!? ゴミステータスにこのマイナススキル背負ってどうしろって言うんですか? ホント、明日からどうしよう…。


 泣き言しか出てこなくなってきたので、僕は明日からの事は明日考える事にして、今日は大人しく寝る事にした。



次回はやっとプロローグにいた少女が登場します。

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