堕天使のお姉さん
少々短いです。
堕天使のお姉さんとの戦闘を終えた僕は、彼女が目を覚ますのを待っているのが退屈になり、彼女のステータスを確認しておこうと、思いつき、実行する事にした。
「え~っと?」
【名 前】 イリス
【年 齢】 519歳
【種 族】 堕天使
【職 業】 魔術師
【レベル】 57
【H P】 1742/3729
【M P】 7291/8834
【筋 力】 2510
【防御力】 2361
【素早さ】 6816
【命 中】 6427
【賢 さ】 8571
【 運 】 47
【スキル】
火魔法LV7 土魔法LV6 闇魔法LV4 光魔法LV6 回復魔法LV5 無魔法LV3 消費MP半減 効果範囲増大LV4 限界突破LV5 詠唱短縮
【ユニークスキル】
反転
【所有者】
ノゾム・サエキ
「もしかして、この反転ってスキルが謎のダメージの原因かな?」
僕は先ほどの原因っぽいスキル見つけたので調べてみた。
【反転】
・性質を反転させる事が出来る。
性質の反転? さっき彼女は回復魔法を僕に向けて使ったけど、実際の効果は回復ではなくダメージを受けた。つまり、そういう事なのかな?
まぁ、その辺りは本人に聞くとしても…。堕天使はいったいどれだけ長命なんだ? もしかして、エルフ並みに長生きするのか? それにステータスもかなり高いじゃないか。カースドとレベルは変わらないのにステータスはカースドを圧倒してるよ…。
僕がイリスさんのステータスを視て色々考えていると、その本人が目を覚ました。
「…う、うぅん」
「目が覚めたようですが、調子はどうですか?」
「…えっ? っ!!」
「あっ! 僕に攻撃しないh」
「火よ! 『ファイアb』きゃああぁぁぁぁ!!」
「遅かった…」
目を覚ました彼女に警告しようとしたけど、間に合わず、今、彼女は、奴隷が主人へ害ある行動をしようとした罰で全身を激痛が襲っている。
「はぁ…はぁ…」
「痛みは落ち着きましたか?」
「………」
10分ほどで痛みから解放されたらしく、声を掛けたら思いっきり睨まれた。
「睨んでも無駄です。一応、さっきの痛みについて説明しますけど、あれはあなたが僕の奴隷になった為に起きた痛みです」
「なっ!?」
かなり簡単に説明したけど、奴隷と聞いて彼女は驚愕した。
「嘘だと思うなら、ステータスを確認してみて下さい。ちなみに所有者の名前は偽名ですが、間違いなく僕があなたの主人です。」
「……嘘」
彼女は自身のステータスを確認したみたいけど、事実を受け入れられなかったらしく、そのまま呆然としている。
ちなみに所有者を偽名に出来たのは、偽装のスキルのおかげだったりする。今、彼女にはマーチって名前が表示されている。
何故こんな事をしたかって? だっていきなり攻撃されたと言うより、命を狙われた相手に自分の情報を出すのって不味いでしょ? どこで仲間に情報を渡すか分からないからね。しかも僕は、今1人だし…。
「…それで、私を奴隷にした目的は何よ」
暫く放心していた彼女が突然、僕に質問を投げかけてきた。
「別に目的なんてありませんよ? あえて上げるなら、僕に攻撃させない為です。そもそも僕はあなたに道を聞きたかっただけなんですから」
「…それを信じろと?」
「それはあなたの自由ですよ? イリスさん」
「っ!! あんた、観察持ちなのね!」
「そうですよ。イリスさんが意識を失っている間に視させてもらいました」
「…分かったわ。信じる事はできないけど、現状は把握したわ」
イリスさんは僕を信じる事はできないけど、奴隷になった現状は受け入れたみたいだ。と言うより、諦めたのかな?まぁ僕も彼女の立場なら諦めるしかないと思うけど…。
「それじゃあ、今度は僕が質問しますね。ここは何処ですか?」
「…はぁ?」
やっぱりそういう反応になりますよね…。
僕はここに来た原因の出来事をイリスさんに説明した。
「…それを信じろと?」
なんだろう? さっきも同じやりとりをした気が…。
「信じなくてもいいので、ここが何処だか教えてください」
そういって、僕はイリスさんの目を見る。イリスさんも僕の目を見ているので、見つめ合うような状態になっている。
「…ふぅ。ここは大陸の東にある2つの大きな森、その2つの森の南にある方よ」
やがて、イリスさんは諦めて、現在地を教えてくれた。
それによると、ここはエルフが住んでいる森で、通称南の森と呼ばれている森だそうだ。正確な場所までは分からないけど、僕はターニンの町から王都まで一瞬で移動したみたいだ。そうなると、ダンジョンでのあれは本当になんだったんだろうか?
「とりあえず、ここが何処なのかは分かりました。では次に、エルフの村が何処にあるか分かりますか?」
ここがエルフの住む南の森なら、王都に行けないからエルフの村に行くしかない。村に行けばギルドがあるはず。そこでターニンのギルドに僕の居場所を連絡してリンたちに伝えてもらえば、僕は待っているだけでリンたちと合流できるはず。
まぁ、下手に連絡しないで僕がターニンへ戻っても、リンたちが僕を探しに出ていない可能性もあるし、連絡を入れても大人しく待ってるようには思えないから、向こうが迎えに来るのを待たないと、行き違いになりそうだな。
「…分からないわ」
僕がリンたちとの合流方法を考えていたら、イリスさんはそう答えた。
「今、なんて言いました?」
僕は聞き間違いかと思いもう一度聞いてみた。
「だから、知らないって言ったのよ! 私だってここには逃げてきたのよ。あんたに遭うまでは身を隠していたのよ!」
何から逃げてきたとは聞かない方がいいんだろうなぁ…。それにしても身を隠していた人が水浴びとはかなり余裕があるな。
「…それは、しばらくの間体を洗えていなかったから、ついよ…。け、けど、魔法で綺麗にはしていたのよ! それでも体を洗えなかったのに耐えきれず…」
僕の顔を見るなり、イリスさんは言い訳を言い始めた。どうやら、顔に出ていたらしい。
「分かりました。とりあえず、お互いにこの森から出るのは好ましくないようなので、エルフの村を探したいと思いますが、いいですか?」
「…私に選択権なんてないでしょ?」
僕はイリスさんの了承? を得たので、エルフの村を探すことにした。
それにしても、ここが南の森だったなんて。森から出る前にイリスさんと会ったのは運が良かった。
そもそも僕が王都に行ったら、絶対に厄介な事態を引き起こすと思うんだよね…。
例えば、あいつらに因縁つけられたり、城の方に僕のギルドランクがバレたり…。
…うん。これからも王都には行かないようにしよう!
ありがとうございました。