家
2月20日の日間ランキングで10位になっていました。
なんと言うか、驚きすぎてリアクションが出来ない状況です!!
ブクマもランクインする前の5倍以上に増えて本当に感謝しかありません。
これからもよろしくお願いします。
ご指摘がありましたので一部追加しました。
どうしてこうなった?
朝、目覚めた僕は現状を理解できなかった…。だって、女の子3人が僕を抱き枕にしているんだから。右腕はリン、左腕はサキで体の上にセシリアがそれぞれ抱きついているのですが、僕はどうすればいいのでしょうか?
「ちょっとみんな、起きてくれないかな?」
「「「……………」」」
ダメだ。反応がない…。とりあえずもう一度挑戦してみよう。
「おーい、朝だよ?起きてってば!」
「「……………」」
「…………ぐぅ」
ん?1人だけ何かおかしな反応をしたぞ?
僕は変な反応をした本人を集中攻撃する事にした。
「…リン?もし寝たふりをしているなら早く起きてくれないかな?僕動けなくて大変なんだけど…」
「…ぐぅぐぅ」
どうやら相手は徹底抗戦するようだ。だけど、他にも2人戦う相手がいるので最初の1人に時間を掛けてはいられない!なので、最終兵器を投入する事にした。
「リン?どうあっても寝たふりを続けるなら、考えがある」
「ぐ、ぐぅぐぅ…」
「…分かった。リンとの奴隷契約k」
「の、ノゾム!おはよう!私は起きたわよ!!そ、それじゃあ顔洗ってくるわ!!」
リンったら速攻で僕から離れて逃げるように部屋から出て行ったよ…。
「まぁこれで2人を起こせるかな?」
そうして僕は自由になった右腕で2人を揺すりながら声を掛けて起こすのだった。
「ノゾムってば、何もあんなヒドい起こし方しなくてもいいんじゃないの?2人はそんな事されてないって言ってたし、私だけ扱いがヒドいわよ!!」
「ノゾム君はリンスレットさんをどのように起こしたの?そこのところを詳しく教えて!」
「の、ノゾム様の上で寝ていたなんて…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
あのあとサキとセシリアを起こして、3人が朝の身支度をしている間に朝食を部屋に人数分運び、全員揃うのを待って食事を始めたのだけど、女3人寄れば姦しいって言う通り騒がしかった…。
「リン、あれは寝たふりをしていたリンが悪い。それに2人はリンと違ってちゃんと寝ていたんだよ。扱いが違うのは当たり前じゃないか」
「それでも、私は優しく起こされたかったわ」
まだ納得してないリンを放置して、サキに今朝の説明をする。
「サキが何を期待しているのか分からないけど、僕は寝たふりをしているリンをちょっと脅しただけだよ?だからそんなに身を乗り出さないの!」
サキは「なんだそんな事か…」と言って大人しく食事を再開する。サキさんや、そんな事じゃなかったらあなたは何だと思ったんですか?
それにしてもセシリアはまだ謝りっぱなんだけど…。食事前にも僕たちと一緒に食べるのは~とか、こんなに良いものを私が食べても?など事ある毎に謝り始めるから大変だった…。
「あ~、セシリア?僕は気にしてないから大丈夫だよ?だから、謝るのは止めてご飯食べよう?」
「は、はい!……!?お、美味しい、です…。こんな…に美味しい…のは、初めて…です」
セシリアの謝るのは止まったけど、代わりに食べ始めたら泣きだしてしまった。セシリアは何食べていたのか分からないぐらい痩せていたからしょうがないのかな?
そんな騒がしい朝食を終えて、僕たちは今日の行動について話し合うことにした。
「今日これからどうするか決めようと思うんだけど、何か希望はある?」
「ん~あたしは特に希望はないかな?」
「わ、私は…みなさんに、ついて行くだけ…ですので、希望なんて…ありま、せん」
「なら私から1つ提案。私たちの家を探さない?」
リン以外は希望無しか…。
「リン、ちなみになんで家探しなの?」
「だって暫くはこの町を拠点に活動するんでしょ?なら宿生活よりも家を借りるか買った方が安上がりじゃない?」
なるほど…。確かにそう言われると家を探した方がよさそうだな。問題は借りるか買うかどちらにするかだけど…。
「う~ん。…皆は家を買うのと借りるのはどっちがいいと思う?多分1年はいないと思うんだけど…」
「いつ戻ってきてもいいように買ってもいいんじゃない?とあたしは思うけど?」
「私も買っていいと思うわ。維持に関してはギルドに依頼すれば問題ないと思うしね」
2人とも買う派か…。セシリアには「わ、私に…そん、なに重大な判断…は出来ま、せん」と言われてしまった。
「分かった。じゃあ買う方向で行動してみよう。とりあえずはギルドに行ってみるよ。リンとサキは日常品の買出しをお願い」
「ノゾ、ム様…わ、私は?」
「セシリアは暫く自宅待機ね」
セシリアは自宅待機命令にショックを受けて涙目になってしまった。いや涙目じゃなくあれは泣いてるよ。
「セシリアは歩くのがやっとってぐらいガリガリでしょ?だから暫くはしっかりご飯を食べて肉を付けること!多分、1週間もすれば戦闘は出来なくても、日常生活に問題ないぐらいにはなると思うから、そしたらちゃんと仕事を頼むから」
「わ、かりま…した」
僕が理由を説明をしたら、それはそれでセシリアには嬉しかったらしく、結局泣いてしまった。
その後は雑談をして、商店が開店する時間に僕たちは行動を開始した。僕は最初に宿屋の女将に3日分の追加料金を払う。もちろん4人分で。女将のほうはセシリアが増えた事で大層絡んできたけど、用があると言って逃げた。
女将から逃げた僕はギルドにやってきた。実は家の事以外にももう1つ用件があったのだ。昨日のセシリアを売った連中の件に関してだ。売る事自体は僕が口出しできる事ではないのだけど、あいつらは僕たちを襲ってきた。その件に関する処罰の結果を聞くのがもう1つの用件だ。
「すいません。ノゾムですが、昨日引き渡した連中の処罰が聞きたいんですが…」
「ノゾム様ですね。お待ちしておりました。ノゾム様が昨日返り討ちにしたと言う者たちですが、ギルドの方でも確認が取れましたので、本日付で労働奴隷になりました」
「その期間というのはどのくらいでしょうか?」
「えっとたしか…あった。はい、期間のほうは1年となっていますね」
1年か。長いようで短いな…。
ちなみに犯罪を行って捕まった者はギルド、もしくは国の騎士団が引き取り本当に犯罪者か確認した後に労働奴隷に身分を落される。労働奴隷の期間は犯した罪の重さによって変わる。盗賊なんかは期間が決められてはいるけど、生きているうちには終えられないので、奴隷から解放される事は例外を除いてまずない。まぁこの世界で犯罪者は生死問わずなので、生きて引き渡される事はあまり多くない。
「なんで1年なんですか?」
僕は労働奴隷の期間の基準が分からないので聞いてみた。
「それなんですが、彼らの中に職業が盗賊の者がいなかったので、1年という労働奴隷になりました。仮に1人でも盗賊がいれば盗賊の略奪行為と判断され一生労働奴隷だったでしょう」
判断の基準となった職業の盗賊は略奪行為が成功した時になるらしく、未遂では盗賊にならないらしい。
「それとこちらは彼らの所持品です。彼らはこれだけのお金を持っていたのに何故ノゾム様を襲ったのでしょうね?」
それと捕まった犯罪者の持ち物は捕まえた人への報酬として全て渡される事になっている。これはそうでもしないと高位の冒険者が犯罪者を討伐もしくは捕縛してくれなくなるからだそうだ。なので本来なら昨日の引き渡しの前に身包み全て剥ぎ取ってもよかったんだけど、セシリアの事の方が気になったので、身包み剥ぎ取る時間を惜しんだだけだった。
「オークションの出品者だったんですよ。そしてこのお金は元は僕のお金なんです。あいつの出品した奴隷を僕が買ったんで。それが襲われる原因でもあったんですよ」
「なるほど、ただの欲に目が眩んだだけでしたか」
「それより、今家を探しているんですが、斡旋してくれる所って何処にありますか?」
「住居の斡旋でしたらギルドで行っていますので、少々お待ちください。今資料を持ってきますので」
へ~、ギルドって依頼の斡旋だけじゃないんだ。意外と手広くやってるんだなぁ…。
そんな事をぼんやりと考えていると、資料を持って戻ってきたお姉さんが早速に僕に家の希望を聞いてきた。
「それで広さなどはどの程度を希望でしょうか?それに予算は?」
「そうですね…。今は4人で住むんですが、もしかしたら今後増える可能性もあるので多少余裕があるといいのですが…。それにお風呂があると嬉しいですね予算のほうは購入を考えているので100万~200万ぐらいで」
「そうですねぇ…。予算の方には問題がありませんし、あとは希望に合う物件を探すだけですので、少々お待ち下さい」
そう告げてお姉さんは資料とにらめっこし始めたので僕はぼんやりと待つことにした。5分ほどして希望に合う物件が見つかったのかお姉さんに声を掛けられる。
「ノゾム様の希望に合う物件が運がいい事にちょうど1件だけ在りましたので、これからご案内しますが、よろしいでしょうか?」
「大丈夫ですのでお願いします」
お姉さんの案内された場所は、ターニンの町の大通りからは多少外れた住宅街の中でもさらに隠れるようにひっそりと佇んでいた。
ここって買い物などは多少不便かもしれないけど、それ以外はかなりの優良物件じゃないかな?
「ここは先日売りに出されたばかりの物件でして、10人ほどが生活できる広さを持っています。お風呂付きですし、庭もあります。多少大通りから外れているので、貴族の別荘と言ったところでしょうか」
「これってかなりの優良物件ですよね?僕の予算で本当に収まるんですか?」
僕は目の前の物件の良さにビビッて、つい聞いてしまった。
「それが、この物件は150万なんですよ」
なんか訳がありそうな気がするけど、他の候補がないのも事実なんだよなぁ…。
しょうがないからこれに決めようとしたら…
「ここがその物件か」
「はい、キース様のご希望に沿える物件です」
突然、第三者が現れた。ここに来たって事は目的は僕と同じ家探しか…。
「ん?キミたちは?」
「僕はギルドの案内で、ここの物件を下見に来たんだけど?」
「なるほど、キミも僕と同じ目的か」
「ちょっとシューナ!なんでここにお客様を連れてきているの?私がこちらのお客様を案内してるから、ここには来ないようにギルドに伝えていたはずよ?」
「せ、先輩!?も、申し訳ありません!伝言を確認するの怠ってしまいました!」
僕と後から来た青年は軽く言葉を交わし、同じ目的同士だと認識しあったが、僕を案内したギルドのお姉さんが彼を案内した女の子を説教し始めてしまった。
「とりあえず、どうしましょうか?」
説教が終わりそうにないので僕は青年に問い掛ける。
「キミもここを買おうとしていたんだろ?ここは譲ってもいいんだが、僕にも立場があってこの物件を簡単には譲れないいんだよ」
青年はいきなり譲れない意思を示してきた。僕としては譲っても構わないんだけど、今後の為にもさったと住居は決めてしまいたい。なので僕も譲れない意思を彼に示す。
「僕も似たようなものなんで…。どうしましょうか?」
「それなら簡単にかつ後腐れのないように模擬戦で決めようじゃないか!」
青年はとても楽しそうに宣言した。
ありがとうございました。
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