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オークション

2月17日15時現在

ランキングの日間の連載中部門で245位にランクインしました。

皆様ありがとうございます。

そしてこれからもよろしくお願いします。

2月17日20時現在

ランキングの日間の総合部門で235位にランクインしました。

とてもビックリしております。

飽きられないように頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。m(__)m

 オークション前に見たボロボロに傷ついた狐人の女の子を買うと決めた僕たちは、オークション会場に入って席に座り開始を待っていた。



 「そう言えば、ノゾムはどうしてさっきの子が親に売られたと思ったの?」


 オークション開始までの待ち時間でリンは先ほどの僕の予想の理由を聞いてきた。


 「………」


 サキは気付いているらしく、黙ってうつむいている。


 「まず、あの子はボロボロに傷ついていたけど、あれは日常的に受けてるものだよ」


 「な、何でそうだと言えるの?」


 「体のみえる所のあちこちにあった青痣だけど、真新しいのだけじゃなく、古いもの(・・・・)も混ざってあったんだよ。あれは毎日殴られないとああいう風にはならないんだよ」


 「………」


 リンはその様子を思い浮かべているのか絶句していた。まぁ僕は元の世界で毎日のように殴られていた経験があったからある程度は想像出来るけど、心情までは出来ない。


 「そして、そんな風に毎日危害を加えられる存在は歳のことを考慮するに、ほとんどの確率で親しかいないって訳」


 「そんなの許せない!」 


 「今言ったのは、あくまで予想でしかないからね」


 

 そうこうしているうちにいよいよオークションが始まるようだ。



 「皆様お集まりいただきましてありがとうございます。ワタクシ今回の司会進行を務めさせて頂きます、シネマと申します。まずは簡単に説明をさせていただきます。やり方は簡単です。私達主催者側が最低落札価格を提示させていただきますので、欲しいとお思いになられた際はご自身がその奴隷に支出してもいいと思う金額をコールしてください。最終的に最も高い価格を提示していただいた方を落札者とさせていただきます」


 この辺りは元の世界のオークションとなんら変わらないから助かる。ただ暗黙のルールとしてつり上げる金額は1万ギル毎が好ましいらしい。まぁ確かに、いきなり誰も手が出せないような金額に上げられたら、場が白けちゃうからね。



 「それでは早速ですが始めさせていただきたいと思います。まずは観賞用奴隷からまいりましょう」


 奴隷と言ってもその用途は千差万別だ。そんな奴隷を用途に応じて振り分けたのが『鑑賞』『戦闘』『家庭』『性』の4種類だ。

 『鑑賞』は女性なら綺麗、男性ならカッコいいなど、観る為の奴隷なので貴族が買う事が多い。

 『戦闘』は戦闘に秀でた者が多いので冒険者や貴族が買う事が多い。また『その他』と言う部類がないので、どこにも属さない奴隷もここに分類される事になる。

 『家庭』はメイドや執事みたいな家の仕事や事務仕事を得意とする者が分類される。貴族の他にも商人が事務要員として買う事もある。

 『性』は男女の営みの相手にさせられる事から全ての人に需要がある為、客層に偏りがない。



 「なんで最初に鑑賞用奴隷からなんだろうね?普通なら最低価格が低い家庭用奴隷からじゃないのかな?」


 ちなみに奴隷の価格的に家庭<戦闘<性<鑑賞が基本らしい。たまに戦闘でも鑑賞を超える金額がつく場合がある。額にすると順に10~15万、10~30万、10~70万、20~100万が大体の金額になる。

 だから普通なら家庭用から始めて一番お金が動いて盛り上がる観賞用は最後にすると思っていたんだけどな。


 「多分だけど、貴族たちの独占落札を防ぐ為じゃないかしら?最初に貴族にお金を使わせておけば、他の奴隷を冒険者や商人たちが安心して落札できるんじゃないかしら?」


 リンがそれらしい事を言ってくれた。

 

 「なるほどね。貴族ばかりがオークションで落札しちゃうと、他の参加者のリピーターがいなくなっちゃうから、それを防ぎたいんだね」


 リンとのやり取りを終えて意識をオークションに戻すと観賞用はそろそろ終わりそうだった。



 「…っ70万!」


 「73万!」


 「えぇい、75万だ!」


 「75万!75万以上はいませんか?…いないようなので75万での落札です。っとここで観賞用が終わりましたので、続きましては家庭用に移りたいと思います。それではまず…」


 今を見た限りだと、ある程度値が上がって一騎打ちとなったら、1万刻みにあげなくてもいいらしい。それに見た感じだと問題なくあの子を落札出来そうだ。


 そんな事を考えながらオークションを見ていてようやくあの子の出る戦闘用の奴隷になった。


 「それでは続きまして戦闘用に移りたいと思います。それでは最初にこちらの奴隷から。5万からのスタートです」


 どれどれ、一般の戦闘奴隷はどんなステータスなのか観察してみるか。



【名 前】 メルゲン 

【年 齢】 28歳

【種 族】 猫人族

【職 業】 剣士

【レベル】 7

【H P】 282/482

【M P】 209/239

【筋 力】 259

【防御力】 211

【素早さ】 315

【命 中】 235

【賢 さ】 174

【 運 】 12


【スキル】

剣術LV1 気配察知LV1



 こう視ると僕やリンだけじゃなくサキもそこそこに能力高い方だよね。それにしてもレベルはあまり変わらないのにあの子とはスキルの習得数が全然違うな。一体あの子はどれだけ過酷な生活を強いられてきたんだろう?



 「10万」


 「11万!」


 「11万以上いませんね?はい、11万で落札です。続きましてはこちらの奴隷です」


 来た!あの子だ。ボロボロに傷ついているせいで、運ばれてきても壇上で倒れたままだけど大丈夫か?観察してもさっき視た時よりHPが減ってるから、早く手当てしないと!


 「それではこの奴隷は見ての通りですので1万からのスタートになります」


 「2万!」


 僕はスタートと同時にコールした。それに続くように金額がつり上がっていく。


 「3万」


 「4万」


 「5万」


 僕は5万でもう一度コールする。だけどまだまだ入札希望者は絶えない。


 「6万」


 「7万」


 僕はとりあえず様子を見る事にした。そうしたら12万で一度入札が止まった。


 「13万」


 なので僕はコールする。すると一度途切れたコールが再び再開された。


 何かおかしい?こう言っちゃ何だけどあんなボロボロの女の子にこんなに入札者がいるのはおかしい。そう思って周りの参加者を見回してみると入札希望者同士が目線を合せていた。が、そこには競り勝つと言った感情は見当たらず、何かを図っているかのように思えた。

 そうしているうちに再びコールが途切れたので、もう一度コールする。


 「18万」


 するとどうだろう。またコールが再開された。絶対に何かあると思った僕はバレないように辺りを見回すと、先ほどの入札希望者が目で合図しながらコールしているのが見えた。そしてそいつらはニヤニヤしながら、僕の方に視線を移してきた。それを見た僕は確信した。あいつらがあの子を売った本人だと。そしてあいつらはつり上げるだけつり上げて儲ける気だ。予想だけど、奴隷商館に売りにいけばある程度の金額になるのを知っているんだろうな。だからそれ以上の金額にならない限りこの茶番を止めないんだと思う。


 「23万!それ以上はいませんか?いなけr「100万!」…ば?」


 僕はあいつらの思惑にムカついたので『一対一になるまで1万ずつしか上げない』と言う、暗黙のルールを破って一気に金額をつり上げた。お陰で司会者も何が起きたのか分かってないようだ。なので僕はもう一度コールする。


 「100万でお願いします。と言ったのですがダメですか?」


 会場も急な値上げで静まり返ってしまった。


 「えっと、100万以上はいますか?いませんね?それでは100万での落札です」


 落札が確定したので僕は壇上に向かう。本来ならば会場裏に用意された場所でお金の受け渡しと奴隷契約を行うのだけど、さっきのヤツらがムカついたので僕は壇上にわざと上った。


 「これ白金貨です。あと奴隷契約はこちらでするので、この子を連れて行きますね?」


 僕は白金貨をその場でスタッフに渡し、彼女を抱きかかえてその場をあとにする。その際にわざと参加者に聞こえるようにスタッフと話した。











 

 オークション会場をあとにして、僕たちは町の路地を入った裏通りに来ていた。

 何でこんな所に来たかと言うと、理由はいくつかあるけど、最大の理由はさっきのヤツらが襲いやすいようにするためだ。

 そのためにあんな目立つようにお金を払い、奴隷契約をその場で行わなかったんだから。

 とりあえずヤツらが来るまでの間に彼女の体力を回復させよう。


 「リン、サキ。とりあえずこの子を回復してあげて」


 僕はアイテムボックスからポーションをいくつか取り出し2人に渡す。そして僕はここらへんに近づいてくる気配がないか集中して索敵していた。


 索敵しながらも改めて彼女を見てみる。

 先ほど抱きかかえた時の感じだと身長は155ぐらいかな?そして茶に近い金髪で長さはボサボサで分かりづらいけど、多分ボブぐらいかな?頭のてっぺんには獣耳がついている。

 そんな風に見ていると彼女に変化が起きた。

 急に彼女の姿を隠すように煙が発生した。


 「えっ?えぇっ!?何なの?」とリンが軽くパニックになっている。


 対してサキは「一体どうなってるの?」と状況を把握しようとしていた。


 そうして1~2分で煙が収まるとそこにいたのは、銀髪(・・)の女の子だった。


 「「「……………」」」


 流石に予想外の事態に僕たちは言葉を失った。

ありがとうございました。


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