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占い師のお姉さん

 僕たちがグザリアの迷宮の6層で遭難していたところに現れたのは、いつかの占い師のお姉さんだった。


 「まったく、キミみたいな新人が準備もなしにこんな所にいるなんて無謀だよ?」


 僕たちの前に現れた占い師のお姉さんは、僕たちの準備不足を見抜いていきなりお説教を始めてきた。


 「お、お姉さんこそ占い師がこんな所に来て無謀じゃないですか!」


 「? …あぁ! そっかそっか。キミは私の事知らないんだ」


 「「「???」」」


 お姉さんのその一言には僕だけではなくリンもサキも?マークを浮かべて首を傾げた。


 「私は占い師であるけど、それはあくまで副業なの。本職は冒険者で名前はフローラ。ランクはSSよ」


 「「「!!!」」」


 お姉さんことフローラさんのランクを聞いて僕たちは驚愕した。なにせ世界に5人しかいないはずのSSランクの1人だと言っているのだから。僕は言っている事が本当なのか一応バレるのを覚悟で観察を使ってみた。



【名 前】 フローラ 

【年 齢】 25歳

【種 族】 ヒト

【職 業】 占い師

【レベル】 132

【H P】 38342/38342

【M P】 51627/55627

【筋 力】 33676

【防御力】 24625

【素早さ】 54324

【命 中】 44332

【賢 さ】 63213

【 運 】 52


【スキル】

剣術LV8 体術LV7 火魔法LV8 風魔法LV9 無魔法LV7 身体強化LV5 先読みLV8 直感LV7 魔力転換LV8 詠唱短縮 観察


【ユニークスキル】

未来視



 あぁ、うん…。前に王都のギルド受付のお姉さんに聞いたSSとSSSは人外って意味がよく分かった。確かに人外だよこのステータスは…。多分今の僕じゃ勝てないんだろうなぁ…。



 「それで? 私のステータス見ているようだけど納得できたかな?」


 案の定バレてますよ。


 「フローラさんがSSランクかは分かりませんが、それクラスの実力を持っている事だけは分かりましたよ。あと遅れましたが僕はノゾムって言います。こちらの2人はリンスレットとサキと言います。そう言う訳だから、2人とも戦闘態勢は解いていいよ」


 「ちょっとご主人様!」


 「…りょうかい」


 僕の指示に納得できないリンと納得したサキ。多分リンは僕なら勝てると思ってるから納得できないんだろうな。逆にサキは僕でも勝てない事を直感のスキルで感じたから僕の指示に納得したんだと思う。


 「リン。一応言っておくけど、この人には今の僕じゃ勝てないよ? だからあの人の不興を買う前に戦闘態勢を解いた方がいいと判断したんだけど?」


 僕が勝てないと聞いてリンは驚いていた。そんな状態でもリンが大人しくなってくれたので、話を進める事にした。


 「それで、フローラさんは何故このような場所に?仮にもSSランクがいるような場所ではないですよね?」


 「あら?キミたちを助けに来てあげたのにえらい言われようね」


 「…こう言っちゃ何ですが、一度だけ偶然出会った人が僕たちを都合よく助けに来てくれたと思えるほど頭の中お花畑じゃないですよ」


 「まぁ、それもそうだね」


 「だからこそ聞きたいのですが、何故僕たちを助けに?」


 「幾つか理由はあるけど、キミが納得しそうな理由をあげるなら、私の未来視でキミたちの危機が視えたから、だよ。私はこのスキルで視えた未来にはなるべく介入して未来を変えているんだよ。もちろん私に出来る範囲でだけど…」


 それは自分の力が及ばないような未来が視える事もあるって事なんだろうな。例えば、この世界なら魔物の襲撃なんかだろう。物理的に間に合わないとかもあったんだろうなぁ。


 「それで、キミたちはどうするの?」


 「どうするとはどう言う意味でしょうか?」


 僕が未来視の事であったであろう事を想像しているとフローラさんは抽象的な質問をしてきた。


 「それはだね、キミたちは私の力を借りて先に進むのか、この階層の転移水晶まで戻るのかどちらを選ぶのかと言う事だ」


 「それは普通に考えて転移水晶を選びますよ」


 「本当にそれでいいの? 私はキミたちを『助け』に来たんだ。このままダンジョン攻略の『助け』をしてもいいんだよ?」


 「それでも僕は転移水晶を選びます。自分たちのミスで今の状況を作ったのに、フローラさんの力を借りて戻るんじゃなく、ダンジョン攻略を進めたら僕たちは冒険者じゃなく、寄生虫になってしまいますよ」


 「うん、合格。キミたちを転移水晶の所まで連れてってあげる」


 合格ってもしかして試されていた?一体何の為に?


 「あの、失礼ながら質問してもよろしいでしょうか?」


 「いいわよ。金髪隻眼のお嬢さん」


 「何故、ご主人様を試すような事をなされたのでしょうか? 試すぐらいならば、最初から来なければよろしいのではないでしょうか?」


 リンが一歩前に出て、外向けのキャラで僕が思った事と同じ事を質問してくれた。


 「私は未来視が出来るけど、視えた人の人柄までは分からないのよ。例えば、視えた人を助けたとしてもその人が賞金首とかの悪者なら、助けるだけで他の人に迷惑を掛ける事になるかもしれないでしょ? それなら最初から助けない方が世の為なのよ。だから私は助けるに足るべき人物か試す事にしているの」


 「そのような理由があったのですか。私如き奴隷の質問にお答え頂きありがとうございました」


 リンはフローラさんに礼を言って一歩下がった。

 

 「キミたちも納得したようだし、そろそろ帰りましょうか」


 そう言ってフローラさんは歩き始めた。多分転移水晶の所へ。僕たちはフローラさんを見失わないように後を追いかけていく。そうして僕たちはフローラさんに助けられて、久々に外に出れたのだった。






 ダンジョン攻略失敗から3日が経った。

 ちなみにフローラさんとはあの後すぐに別れた。僕たちはさ迷っていた間の討伐した魔物の換金は翌日にしてその日は宿へ直行して泥のように眠った。

 翌日、ギルドで換金して2人と今後の方針について話し合った。今回の失敗を教訓にして、まずは斥候系のスキルを持った人を仲間に引き込む事にした。ついては以前より案があった奴隷オークションで探してみる事になった。なのでオークションの前日まではグザリアの迷宮の1~5層でお金稼ぎをしていた。



 「さて、それじゃあ町に出て、どんな奴隷が出るか情報収集しますか」


 「そうね、出来れば女性がいいわね」


 「あたしも女性の方が気が楽」


 2人とも奴隷とはいえ、男性と行動するのは嫌らしい。


 「とりあえず、ミーテルさんの所に行ってみようか。もしかしたら今回出る奴隷の情報を持っているかもしれないし」 


 町に出てまず最初にミーテルさんが店長の奴隷商館に向かった。そこでミーテルさんから仕入れた情報は、なんでも今回のオークションは冒険者向けの奴隷が多いらしい。流石にそれ以上の情報は出てこなかった。

 僕たちは会場へと足を運び、事前にオークションに出る奴隷を見れないのかと運営の人に聞いてみると、意外にも見ていいとの事なので、案内の人と共に見て回ることにした。

 奴隷の待機所へと案内されたのは会場の裏手だった。そこにいた奴隷はみな別々の檻に入れられていた。そして皆共通しているのは目が死んでいる事とやせ細っている事だった。

 僕は1人1人に鑑定をして視て回った。流石に冒険者向けが多いだけあって戦闘系スキルを持っている奴隷が多かった。そんな中1人目に付いた奴隷がいた。

 


【名 前】 セシリア

【年 齢】 16歳

【種 族】 狐人

【職 業】 術師

【レベル】 10

【H P】 82/570

【M P】 63/710

【筋 力】 251

【防御力】 260

【素早さ】 285

【命 中】 240

【賢 さ】 297

【 運 】 30


【スキル】

短刀術LV1 気配察知LV3 魔力察知LV2 気配遮断LV1 罠感知LV1 罠解除LV1 地図作成 夜目


【固有スキル】

九尾解放 妖術 



 彼女は観察の結果は僕たちが今一番欲しているスキルを持っていた。だけど、そんな事よりも彼女の状態の方が気になった。何故なら彼女だけ他の奴隷とは違いボロボロに傷ついていたのだ。その事を案内の人に聞いてみた。


 「すいません、ちょっと気になったんですが、何故彼女だけこんなにボロボロなんですか? これからオークションに出るんですよね? このような状態だと、価値が下がってしまうのではないんですか?」


 「そちらの奴隷に関してなのですが、今朝奴隷として売られてたらしいのです。ですので、我々としてもこのような状態で出すのは不本意であるのですが、治療に掛けるお金と時間がないのです。それに売ってきた側もその事には了承しているのですよ」


 「…失礼ですが、売ってきた人って言うのは誰なんですか? 今朝売られてきたって事は商館経由でここに来たって訳ではないですよね?」


 「申し訳ないのですが、商館からの出品ではないとしか答えられません」


 こんな状態じゃ立つ事も出来ないだろうし、喋る事も出来ないだろうな…。まぁ大体誰が売ったのかは予想がついているから聞き出せなくても問題はない。


 「そうですか、分かりました」


 そうして僕たちはオークションに出る奴隷を見て回り、会場に戻ってきた。


 「それにしても、あのボロボロだった子に、一体何があったのかしら?」


 「特に普通の狐人族に見えましたけどね?」


 リンとサキもさっきの奴隷の子が気になるらしい。僕も気になってはいるんだけどね。


 「その事なんだけどさ、僕はあの子を買おうと思うんだけど…。ちょうど僕たちが欲しているスキルも持っているし。それに僕の予想だけど、あの子…親に売られたんだと思う…」


 「何それ!? 許せない!」


 「………」


 僕の予想を聞いた2人の反応はリンは怒りを顕にし、サキは自分の事と重ねているのか黙ってしまった。


 「リン落ち着いて。あくまで僕の予想なだけでまだ確定ではないんだよ?」


 「そうだけど! だけど、それが本当だと思うと…」


 「それを聞くためにも、まずはあの子を買わない事には始まらないんだけど…。2人はあの子でいい?」


 「私はいいわよ」


 「…わたしもいいよ」


 2人とも彼女を買う事を了承してくれた。サキの様子が少し気になるけど…。

 あとはオークション開始を待つだけだ。


ありがとうございました。


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