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ダンジョン挑戦

今日は雪が降りましたね。

あまり積もらなかったので安心しました。




 占い師のお姉さんと別れた僕は2人と広場で合流した。


 「2人とも、もう広場にいたんだ。それで宿は取れたの?」


 「まだちゃんと取れたとは言えないわ」


 「どう言う事?」


 リンの中途半端は答えに僕が?マークを浮かべていると、サキが答えてくれた。


 「あたしたちが奴隷なのが原因なの。あたしたちが探した宿は、奴隷でも泊まれるんだけど、それには条件があって、主人の有無の確認が必要なの。だからノゾム君が宿に行くまでは予約扱いで、ノゾム君があたしたちの奴隷と確認が取れれば、問題なくその宿に泊まれるってわけ」


 「それならステータスを見せれば問題ないんじゃ?」


 「それだと、あたしたちが逃亡奴隷かもしれないでしょ?それを防止するために本人を確認しないといけないのよ」


 そう言われればその通りか。宿屋側も逃亡奴隷に宿を提供したなんてクレームつけられたくないもんな。


 「予約って事なら早めに宿に行った方がよさそうだね」


 「私も今日はゆっくり休みたいから早く行きましょう」


 「あたしも賛成!」



 今日の所はゆっくり休むために早速宿屋に向かうことになった。2人に案内されて辿り着いた宿屋は、この町でも結構値が張りそうな宿屋だった。


 「結構良さそうな宿屋だね。奴隷も泊まれるって言うからもう少しランク低いかと思ったよ」


 「だってノゾム、ここに来るまでにお風呂に入りたいって言ってたじゃない。だからお風呂付きの宿屋を探したのよ」


 「まぁ、探しだって言っても良いところの宿屋にはだいたい有るから、奴隷も泊まれるって方が探すのは苦労したかな?」


 あ~、確かにお風呂入りたいって言ったわ。まぁ資金には問題なし、ありがたくお風呂を堪能しますか。



 「いらっしゃい! おや? さっき来た嬢ちゃんたちじゃないか。そうなると、そっちのお兄さんが主人?かなり若いのに2人も奴隷を買えるなんて相当稼ぎがいいのか、いいとこの坊ちゃんのどっちかかい?」


 宿屋に入ると女将がリンとサキを見て僕が2人の主人だと分かったらしく、気さくに話しかけてきた。


 「その2択でしたら、一応前者ですよ。僕は冒険者ですので。それで、2人から聞いてはいると思いますが、宿泊をお願いしたいのですが…」


 「あら、ごめんなさいね。朝夕食事付きで一泊1人100ギルになるよ。部屋のお風呂は自由に使っていいよ」


 「はい、それじゃあこれ。1週間分です。お願いします」


 「え~っと…、はいちょうどだね。じゃあこれ鍵ね。5階に上がって一番左の三人部屋の505号室だよ。それにしてもよくお金をぴったり出せたね!私ビックリしたよ。冒険者って本当かい?商人の間違いじゃな?」


 ちょ、ちょっと待って! 今、3人部屋とか言わなかった? 言ったよね? 鍵も1つしかないし! 男と年頃の女の子が同室ってマズイよ!

 そう思った僕が女将に部屋を分けてもらおうと行動に移す前に、それを邪魔する者達の行動の方が早かった。


 「それではご主人様。お部屋の方に参りましょう」


 「鍵はお預かりしますね。それでは参りましょう」


 サキに鍵を奪われ、リンに腕を組まれて強制的にその場を移動させられた…。

 部屋に着いた僕はとりあえず、事情を聞くために2人を問い詰める事にした。


 「それでなんで3人部屋なの? 僕はてっきり部屋を2つ取ってると思ったのに」


 最初にリンが口を開いた。


 「ノゾム…何でも言う事聞くって…」


 「ちょっと、まだそれ有効なの!?」


 実はどの町でもリンは宿に泊まる時は1人部屋を拒否するのだ。そしてこのやり取りも毎回している。いつもは「1人は嫌」と涙目で言われて敗北している。


 「それにサキもいるんだし、1人じゃないよ?」


 そう言うとリンは涙目になって、「私を1人にしないんでしょ?」と切り札を使ってきた。

 僕はこのままでは敗北しそうなのでサキに助けを求める事にした。


 「サキは男と同じ部屋でいいの?」


 「あたしは問題ないよ? ベッドは3つあるわけだしね。と言うか、あたしも1人は嫌なんだよね。寝る時に1人じゃない安心感を味わってからもう1人じゃ寝れないよ。それに出来ればノゾム君が近くにいてくれた方が安心できると思うし…」


 サキも困り顔で1人部屋案を拒否してきた。と言うか退路を断ちにきてるよ!? そして2人に懇願される事10分…。僕は白旗をあげる事になりました。





 翌朝

 昨日はあのあと大変だった…。色々大変だったけど察してください…。


 今日はダンジョンへ行く前に装備を整える事になっていたのでまず武器屋に向かう事に。


 「やっと安物の剣から卒業できるよ」


 「あたしも刀があると嬉しいんだけどなぁ」


 僕とサキは新しい武器に思いを馳せながら歩いていた。それもしょうがないと思う。僕はオーガ戦で剣を折ってから、自分の力に耐えられる強度の武器がなかったので、安い銅の剣を大量に買って今日までもたせていたし、サキは使っていた刀が盗賊に売られたらしく、昨日までずっと剣を使っていたのだ。


 「2人ともかなり嬉しそうね」


 「それはそうですよ。武器と聞いてワクワクしない前衛職はいないですから」


 「そこまで断定していいのか疑問が残るけど、その気持ちは解るかな?」


 僕も男の子ですからね。武器に憧れる中二精神は持っていますよ。


 「…私も武器買おうかしら?」


 「リン、武器買うの? 接近されたらバカ力でどうにk、…ナンデモアリマセン!!」


 失言だった。リンの筋力値に関する話題はNGだったの忘れてた。とんでもない殺気を感じたよ。


 「私だって近接戦闘のスキル覚えたいからね。あくまで自衛手段としてだけど」


 「それならどんな武器にするんですか?」


 リンに睨まれて怯えている僕に代わって、サキがリンと会話して場を繋いでいる。ホントありがたい。


 「あくまで魔法主体だから杖かな?」


 「そうなると目指すスキルは棒術かな? まぁその辺りはあとにして武器屋に早く行こうか」




 武器屋に着いた僕たちは各々が自分の武器を探していた。僕は探すより店主に聞いたほうが早いと思って店主に聞くことにした。


 「スイマセン。剣が欲しいんですけど、お勧めはありませんか?」


 「なんだ? ずいぶん若いようだが、新人の冒険者か?それなら入り口にある安い剣で十分だろ?」


 出てきた店主は小さいが髭もじゃだから多分ドワーフだと思う。そして僕を新人と思っているらしい。まぁ登録してから1ヶ月ぐらいだから新人で間違えはないけどさ。


 「こう見えて一応Cランクなんですが…」


 「おっと、そいつはすまなかったな。その若さでCとは将来有望じゃねえか。それで剣だったか? どんなのがいいんだ?」


 「片手剣サイズぐらいでとにかく丈夫なのが欲しいんです。並みの剣だとすぐ折れちゃうので…」


 「すぐ折れるってどんな筋力なんだよ。…っと、それならこいつはどうだ? 下級のトラゴンの牙で作った剣だ。これならそう簡単には折れないはずだ」


 渡されたドラゴンの牙で出来た剣を軽く振ってみたけど、いい剣だと思う。


 「問題なさそうだな? そいつでいいか?」


 「はい、ありがとうございます。あと仲間も武器を選んでいるので良かったら見繕って頂けませんか?」


 そう店主に言って2人を呼んで武器を選んでもらう事にした。サキはジャイアントイーグルの爪で出来た刀を、リンはエルダートレントの枝で作った杖をそれぞれ見繕ってもらった。


 「Cランクならそれぐらいの武器で十分だろう。もしそれ以上の武器が欲しくなったら、武器の素材となる物を持って来い。そしたら武器を作ってやるよ」


 「店主さんありがとうございます」


 「ザックだ。それと武器は全部で4万ギルだ」


 「僕はノゾムです。これお金です。それじゃあダンジョンで素材を手に入れたら持ってきますね」


 僕たちはお金を払ってお店をあとにした。防具に関してこれと言った物はなかったので、僕とサキは動きやすさを重視した装備を、リンはローブを購入してダンジョンに向かった。




 「ここが新しく出現したダンジョンか…」


 「意外と人はいないのね」


 リンは新しいダンジョンだからもっと人がいるものだと思っていたらしい。だけど実際は人が全然いないのだ。


 「あたしたちが武器を買いに行ってる間に大体の冒険者は出発したんじゃない?」


 「なるほど!それなら僕たちも早く出発しないと。とりあえず今日は5層まで行こうか」


 「ちょっと待ってよ。ノゾム君とリンスレットさんはこのダンジョンでも平気かもだけど、あたしはかなり厳しいんですが…」


 サキが弱気な事を言っているので僕は笑顔で答えてあげた。


 「死ぬ気で頑張れば何とかなるよ! それに危なくなったらちゃんと助けるよ」


 「私もサキさんの事、ちゃんと助けるから問題ないですよ」


 「…分かりました! 覚悟を決めます」


 サキが覚悟を決めたのでダンジョンでの基本方針を決める事にした。


 「とりあえず、ダンジョンに来た目的は僕たちのレベル上げと僕のスキル収集と武器の素材集めだ。だから戦闘は基本的にリンとサキだけで僕は敵が弱ったら吸血、そしてトドメは2人が刺す。ある程度スキルが集まったら僕も戦闘に参加するからよろしく」


 「分かったわ」


 「あたし大丈夫かなぁ…」


 「低層なら問題ないでしょ? それじゃあ出発!」





 ダンジョンに初めて入って知ったけど、ダンジョン内は灯りが必要としないぐらいには明るかった。それに通路も広い。3人が横一列で武器を振り回せるぐらい幅がある。高さも4~5mぐらいはあるかな?


 「意外に広いんだね」


 「ダンジョン内は異次元と言われてるんだよ。この階層は洞窟みたいな感じだけど、階層によっては森だったり草原だったりするそうだよ。さらにダンジョンは5層ごとにボスがいてそれを倒すと入り口に転移できるようになるの。一度転移できるようになれば、入り口からの転移も可能になるから、いちいち1層からやり直さなくてよくなるんだよ」


 サキが僕の独り言に反応してダンジョンの解説をしてくれた。


 「へ~。だから1層に人がいないんだね」


 「ノゾムの探知に反応ないの?」


 「今のところ人の気配はないよ。魔物は幾つかあるけど…。まぁここにいても始まらないし行きますか」


 僕たちは入り口で話していてもしょうがないので、進む事にした。






 探索を開始して10分ぐらいでようやく、魔物と戦闘する位置まで来た。


 「ここを曲がった所に1体魔物がいる…。距離は10mって所かな? サキいける?」


 「多分大丈夫。あたしが倒せなくても、リンスレットさんが隙をついて魔法でどうにかしてくれると思うから」


 「その前に1層の魔物ならサキさんでも大丈夫よ」


 「それもそっか。じゃあサキ、頑張ってね」


 僕がエールを送るとサキは頷いて曲がり角から敵に向かって駆け出した。それに続いてリンも飛び出した。リンは後衛なのでサキみたく駆け出さず、その場で敵の様子を窺い始めた。そして僕は2人よりワンテンポ遅れて角から飛び出して魔物に鑑定を使った。



【名 前】 スライム

【年 齢】 

【種 族】 スライム

【職 業】

【レベル】 5

【H P】 323/323

【M P】 53/53

【筋 力】 182

【防御力】 157

【素早さ】 86

【命 中】 144

【賢 さ】 81

【 運 】 10


【スキル】

熱源感知LV3 並列思考LV1 


【固有スキル】

分裂



 この世界のスライムは意外と強い? 固有スキル持ってるし。あとで2人に聞いてみよう。



 サキは角から飛び出しスライムに向かって一気に駆け出していた。スライムは熱源感知でこちらを把握していたらしく、こちらに向かって移動していた。

 サキが向かってくるのに合せてスライムも攻撃態勢に入ったけど、その瞬間にサキは縮地を使ってスライムの背後に回ってスライムを刀の峰で切り伏せた。スライムは打撃ダメージじゃ分裂出来ないらしく、動かなくなった。鑑定してみると多少HPが残っている。


 「終わりましたよ」


 サキは戦闘が終了したと僕たちに伝えて刀を鞘に収めた。

 僕は早速吸血する事に…。これ以上人間辞めたくないから分裂はいらないんだけどなぁ…。そう思いながら吸血する僕だった。



ありがとうございました。

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