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今後の方針




 サキの笑みを見て不覚にもドキッとしてしまって怒りが無くなった僕は、話題を変えるためにサキの任務について聞くことにした。


 「そ、そう言えば、サキの任務の目的地は何処だったの?」


 リンが睨んでいるけど、知らないフリ知らないフリ…。


 「一応王都が目的地だったよ。多分だけど、あれを勇者にぶつけようとしたんじゃないかな?」


 「あれをあいつらにかぁ…。そうなっていたら王都は惨劇だったろうに」


 「あなた、勇者を知っているの?」


 あっ、つい勇者に反応して独り言のようにつぶやいてしまった。リンがさっきとはまた違う意味で睨んでるし…。


 「知ってるも何も、僕と勇者は同じ異世界人だよ」


 「じゃ、じゃああなたも勇者…?」


 「僕は違うよ。僕は無能だから国に切り捨てられたんだよ」


 「無能!? それならなんで、あれ(オーガ)をたおせたの?」


 「それはこれを見てもらった方が早いかな?」


 「ちょっとノゾム!」


 リンは僕がステータスを見せるんだと察して、僕を止める為に会話に入ってきた。だけど、吸血を見せてしまっている以上、バラしてもいいと思った僕はリンを無視してステータスを開いた。



【名 前】 ノゾム・サエキ

【年 齢】 17歳

【種 族】 ヴァンパイア

【職 業】

【レベル】 3

【H P】 17867598/17867598

【M P】 57912863400/57912863400

【筋 力】 7589431

【防御力】 6207259

【素早さ】 5988233

【命 中】 6542907 

【賢 さ】 7321784

【 運 】 100~0


【スキル】

異世界言語 剣術LV2 短剣術LV2 槍術LV1 斧術LV1 身体強化LV6 身体硬化LV6 忍び足LV2 威圧LV3 雄叫びLV5 気配察知LV2 火魔法LV1 水魔法LV1 風魔法LV1 土魔法LV1 氷魔法LV1 雷魔法LV1 闇魔法LV1 無魔法LV1 魔法合成 気絶耐性LV2 直感LV2 夜目 奴隷契約 観察 


【固有スキル】

ヴァンパイア 吸血 再生


【所有奴隷】

リンスレット

サキ



 う~ん。スキルは盗賊から奪ったけど同じのは統合されるらしい。お陰で、剣術と短剣術がLV2になった。闇魔法はこの間やっと覚えられた。これからは魔法にも力を入れようかな?そう言えば奴隷を所有するとちゃんと表示されるんだ。


 「あなたって化け物? ヒトじゃなかったの!?」


 「化け物は酷くない? 一応、元ヒト族ですよ。詳しくは後で説明するよ。ただ、この数値は今の僕のレベルじゃ出せないんだ。スキルのせいでね」


 「スキルのせい? そんなスキルあるようには思えないけど?」


 「そうか、こっちのには表示されないんだった。実は僕の観察のスキルは特別製で看破のスキルでも視えないものを視れるんだ。それによると『違和感』ってマイナススキルが僕にはあるんだ。そいつのせいで制限が掛かっていて全力を出せないんだよ」


 「マイナス、スキ…ル?」


 サキはマイナススキルって単語を聞いたことがない為に首をかしげていた。だから僕はマイナススキルの特徴をサキに教えてあげた。


 「そう言えばサキにもマイナススキルがあったような…」


 「えっ? 本当に!?」


 「確かあったと思うよ? ただ、サキが魔族だった方が衝撃だったから、他のステータスはうろ覚えなんだよね。だから、もう一度視てもいい?」


 サキは2つ返事で頷いたので早速視て確かめてみた。



【名 前】 サキ

【年 齢】 15

【種 族】 魔族

【職 業】 剣士

【レベル】 15

【H P】 651/651

【M P】 2181/2181

【筋 力】 802

【防御力】 312

【素早さ】 915

【命 中】 1064

【賢 さ】 471

【 運 】 25


【スキル】

剣術LV4 縮地LV3 見切りLV2 体術LV1 直感LV1 (魔力操作X)


【所有者】

ノゾム・サエキ



 やっぱりマイナススキルがあった。だけどXってなんだよ。某野球ゲームの能力かよ!


 『【魔力操作X】

 ・このスキルがある限りMPを使用するスキルを習得出来ない

 ・このスキルは習得率100%にならないとなくならない【習得率86%】』



 僕の『違和感』よりはマシに思えるけど、魔族にはかなりのペナルティだろ、これ? とりあえずそのままサキに伝えた。そうしたら彼女は複雑な顔をしていた。それもそのはずだと思う。彼女は魔力が使えないだけでどれだけ辛い目にあってきたか想像もつかない。なのにいつか使えるようになると、いきなり言われたらそれは心中複雑にもなるだろう。


 「あの、私が言うのもなんですけど、ノゾムの言う事をそんな簡単に信じていいんですか?」


 リンは、出会って間もない僕の言葉を信じているように見えるサキに疑問を抱いたようで、本人に質問していた。リンからしたら魔眼もないのに出会ったばかりの赤の他人の言葉を簡単に信じるサキが信じられないんだろう。


 「あたしも、色々と酷い扱いを受けて来ました。そういう風に扱う人たちは皆、あたし(・・・)を見ていないんです。だけど、彼はあたしが忌み子だと言う事情を聞いても、ちゃんとあたし(・・・)を見てくれるんです。それだけであたしは彼の言葉を信じられるんです」


 「………」


 心を読める魔眼を持っているリンだからこそ、理解できない理由だろうなぁ。


 「そ、そう言えばこれからどうするの?」


 サキは真面目に答えたらリンが黙ってしまったので気まずくなったのか、僕に今後の事を聞いてきた。


 「サキは奴隷解約よりも、今後のぼくたちの行動の方が気になるの?」


 「それ(奴隷解約)はあなたと話しているうちにどうでもよくなってきたの。あなたはあいつらより人として扱ってくれると思うから。だから解約してあっちに戻るよりあなたたちといた方がいいと思ったの」


 「そっか。無理やり契約したから申し訳ないとは思っていたんだけど、そう言ってくれたなら救われるよ。これからヨロシクねサキ」


 「こちらこそ。…えっとあなたのこと何て呼べばいい?」


 「何でもいいよ、サキの呼びやすいように呼んで」


 「それじゃあ、…の、ノゾム…君で」


 サキの僕の呼び方が決まったので握手をする事に。


 「私もこれからよろしくお願いしますサキさん」


 「こちらこそです。リンスレットさん」


 リンもサキと握手をするのかと思ったらいきなり頭を下げた。サキもいきなり頭を下げられて戸惑っている。しかしリンは頭を下げたまま話し始める。


 「それと、ごめんなさい。私、あなたの心の中を覗いて嘘をついていなかったか、ずっと調べていました」


 「えっ、何? どういうことですか?」


 サキはいきなり心の中を覗かれていたと言われ軽く混乱していた。


 「私の片目は魔眼なんです。普段は包帯で隠しているから能力は発動しないんですが、今回はあなたの話、特に魔族について嘘か本当かハッキリさせたかったので、魔眼を使わせてもらいました」


 「…………魔眼を使ったことは逆の立場なら同じ事をしたと思うので、気にしないで下さい。それよりも何で、その事をあたしに、今話したんですか?」


 サキは魔眼を使った理由には多少不満を抱きながらも飲み込んでくれたけど、その事を告白した事については追及してきた。


 「サキさんとは、これから共に行動するのであとで知られるよりは、今自分から言おうと思いました。それとサキさんがノゾムを裏切らないと判ったので、私もあなたを信用してもいいと思い、自分の事を話す事にしたんです」


 「リンスレットさんは狡いですね。そんな風に言われると何も言えないじゃないですか」


 そう言ってサキはリンに握手を求めた。リンも恐る恐る手を出し握手に答えた。とりあえず、この一件はこれで解決かな?




 「それでサキ、これからどうするかだったよね? 一応、ターニンを目指しているんだよ。そこを拠点にしてダンジョンでレベル上げをする予定だ。魔人の動きに対応できるように強くならないとだからね」


 「ノゾム、奴隷の購入はどうするの? サキさんで打ち止め?」


 「う~ん、とりあえずは向こうで見てから決めようかな? これから魔人に本格的に狙われるんだとしたら、3人じゃ大変だと思うからね」


 「あたしはノゾム君の決めた方針に従うだけだから、その辺りはお任せします」


 「よし、それじゃあ町に戻って依頼達成の報告しますか。ってそう言えばサキは身分証明できるものもってるの?」


 サキは魔族だからもしかしたら持ってないかもしれない。その場合はどうしようか…。


 「…あたし持っているから大丈夫。けど、町に入ったことはないの。だからちゃんと使えるか心配で」


 「それじゃあ、今まではどうしていたの?」


 「基本は野宿で食べ物は魔物の肉だよ。体洗うのは川を見つけてだったから毎日は出来なかったけど…」


 「誰も助けてくれなかったのですか?」


 サキの生活を聞いてリンが当たり前の疑問をした。しかしそれはサキにとっては地雷でしかなかった。


 「あたしは忌み子ですからね。親ですらあたしを助けてはくれませんでした」


 「それでよく今まで生きてこれましたね」


 「親も、最初から酷い扱いをしてきた訳ではなかったんです。10歳までは肌の白い魔族でも魔法は使えるようになると思っていたので、それまでは育ててくれたんです。身分証明書もその時に」


 「なんで10歳なんですか?」


 リンの疑問に僕も内心で同じ疑問を感じてた。


 「魔族の間で魔法とは、10歳までに使えるようにならなかった属性は生涯使える事はない、と言われているんです。だから、親も10歳までに魔法を使えるようにならなかったあたしを見捨てたんです。魔族にとって魔法は、一種のステータスなんです。それを使えない者は、身内であろうと酷い扱いを受けるんです。いや、身内だからこそ、酷い扱いをするんです」


 そうだったのか。しかし、その魔法至高主義はまさにエルフの血を引く者たちの考えだろう。この世界のエルフは魔法の使える種類や属性の数で優劣をつけてるらしい。そして自分たちより魔法の扱いが劣っている種族を見下す傾向があるそうだ。


 「そんな訳だけど、あたしは持っているから町に入るのは大丈夫です」


 サキは暗くなりかけてきた雰囲気を変える為に話を打ち切った。僕はそれに乗るように出発を促した。


 「よし、改めて町に戻りますか。そしてターニンへ向かいますか」


 「「はい!」」


 

 ターニンに着いたら初のダンジョン挑戦か。ちょっと楽しみだなぁ。



ありがとうございました。


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