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帰宅

ちょいち短いです

 「や~、そんなに経ってないけど、随分懐かしく感じるね」


 「ほんの2週間ぐらいなのに不思議よね」


 あれから特に何も起こることなく、大陸に到着し、そのまま港町に泊まらず自由都市へと帰ってきた僕たち。

 久々に見る自由都市を懐かしむ僕に同調するリン。


 「それじゃあ、私たちはマスターに、帰還の報告をするため本部へと顔を出してきます」


 「なら、僕たちは一旦屋敷に戻りますね。そちらに顔を出すのは…ん~、お昼前ぐらいにしますね」


 「分かりました。それまでには、報告を済ませておきます」


 フリーシアさんたちは言い終わるやいなや、ギルド本部へ足早に行ってしまった。


 「僕たちも屋敷に戻ろうか」


 フリーシアさんたちを見送った僕たちも懐かしの我が家へと歩き始める。







 「フェルたちは、手分けして屋敷の掃除や点検をしてくれ。またすぐにでも空けることにはなるけど、しっかりね」


 『はい!!』


 屋敷に帰ってきてすぐに使用人組たちに指示を出す。全員、元気よく返事をし行動に移る。


 「私たちはどうするの?」


 「まずは、船でも話した王国組と帝国組の編成をしちゃおうか?」


 と言う事で、僕たちはリビングへと移動する。




 「まず、改めて確認するけど、僕たちはこれから戦争を止める為に動く事になる。ただし、自由都市の方針だから動くんじゃない。ぶっちゃけ、戦争自体はどうぞご勝手にって感じだ。みんなだってそうだろ?」


 僕の本音に全員が苦笑いになる。けど、誰1人として否定はしない。それもそうだ。僕たちは物語にいるような、全てを救うために自分の命を省みない勇者なんかじゃない。僕たちは、自分や身内の命が一番大事なんたから。けど、それでも介入するのは…


 「それでも、僕たちがこの戦争に関わるのは、それぞれにどうしても無視できないモノがあるから」


 僕は、あいつをあの時、生かすと選択した事に対するケジメの為。

 リンは、同族の真意を確かめる為。

 セシリアは、魔人のせいで奴隷となった同族の為。

 アイラさんは、自身の目的の為。

 ルージュは、父親の死因を知る為。

 サキとイリスさんはこの戦争に対して自身の命を懸けるこれと言った個人的な理由は無い。けど、仲間が命を懸けるのだから自分もと言ってくれた。


 「と、まぁそれぞれ思うところがあるだろうけど、ちゃんと生きて帰ってくる事ね」


 重くなり過ぎた空気を少しでも軽くするために、わざと軽い口調にする。

 みんなも僕の意図を察してくれたのか、肩の力を抜いて笑顔で頷いてくれた。


 「じゃあ、これから帝国組と王国組に分けるよ。今決まってるのは、王国組が僕。帝国組がリン、アイラさん、イリスさんとなっている。で、サキ、セシリア、ルージュはどうする? 希望があれば聞くけど?」


 「ノゾム様、私は帝国に、行きたい、です」


 どちらに行くか決めていなかった3人に話を振ると、意外にもセシリアがいの一番に自分の意見を口にした。


「ノゾム様、決めました。私は王国に行き、元王族として、国の行く末を見届けたいです」


 次に行き先を決めたのはルージュだった。


 行く末を見届ける…か。

 その言い回しに少しだけ不安を感じるが、今言ってもどうにもならないだろう。


 「なら、あたしも王国に行くよ。流石に、ノゾム君とルージュだけじゃ、手が回らないでしょ?」


 最後に、サキが人数を見て王国組に志願して、全員の振り分けが完了した。


 「確かに、僕とルージュだけじゃ厳しいけら、サキの申し出は有り難いよ」


 「ノゾム、そろそろ時間じゃない?」


 「おっと! もうそんな時間? 僕はこれからギルド本部に行ってくるから、みんなは手分けして旅支度をしてて」


 僕はみんなに指示を出してからリビングを後にし、本部へと向かう。






 「ふぅ~。リンのおかげで遅刻せずすみそうだ」


 ギルド本部前に着いた僕はそんな独り言を漏らす。


 建物の中にはいると、いつも以上にピリピリとした空気で、普段の賑わいはなりを潜めていた。まぁ、原因は言わずもがな、戦争だろう。


 そんな雰囲気など気にも留めずに受付へと足を進め、受付嬢に用件を伝える。


 「セイドリックさん…、じゃなくて、ギルドマスターに取り次ぎお願いします」


 「すみません。ギルドマスターは今…、ひゃっ!? の、ノゾム様!? え、え? 何で?」


 何故か受付嬢は混乱し始めた。


 何故?


 「あ、あの~。取り次ぎを…」


 「ひゃ、ひゃい! 少々お待ちひょ!」


 理由は分からないけど、このまま混乱させておくわけにもいかないので、もう一度声をかけると、受付嬢はかみながら脱兎の如くこの場から駆け出して行ってしまった。






 待つ事、約10分。










 受付嬢じゃなく、フリーシアさんが現れた。


 「フリーシアさん?」


 「お待たせしてすみません、ノゾムさん」


 「いや、それは別にいいんですが…」


 「そうですか。それでは、こちらですのでついてきて下さい」


 言われた通り、彼女の背中を追いかける。




 「あの?」


 「なんですか?」


 「なんで、フリーシアさんが案内役なんです? てっきり、最初の受付嬢さんがしてくれるものだと思ったんですが」


 移動中、気になっていた事を訊いてみた。


 「…彼女なら、心労の為休んでいます」


 フリーシアさんは苦笑いしながら答える。


 「心労? もしかして、僕のせいですか?」


 「ノゾムさんのせいでもあり、ノゾムさんだけのせいではないんですよ」


 「???」


 曖昧な物言いに首を傾げるしか出来ない僕。


 「今、このギルド本部には、全てのSSランク冒険者がいるんです」


 えっ! SSランクって、確か僕を含めても6人しかいないんだよね? 僕、フリーシアさん、フローラさん以外の3人もいるんだ。


 「で、私とフローラ以外の4人は、全てあの娘の所からマスターに話を通したんです」


 あぁ、SSランク《僕ら》を相手にする緊張による心労ですか。それは、なんか悪い子としたなぁ…。


 「そもそも、私たちが戻ってくる日と、ほかのSSランクたちを招集した日が同じって言うのも、凄い偶然なんですけどね」


 それは、本当に偶然なんだろうか? と、邪推してしまう僕。


 「おかげで、戦争に対する私たちの動きを今日中に決められるのですけどね」


 「ちなみに、僕はフリーシアさんとフローラさん以外のSSランクの冒険者に会ったことないんですが、残りの3人ってどんな人たちなんですか?」


 「バカ脳筋バカ変人バカです」


 「は?」


 残りの3人についてフリーシアさんに訊ねたところ、即答で帰ってきたバカの3連発。僕は呆ける事しか出来なかった。



ありがとうございます

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