ランクアップ
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
2月22日
誤字を修正
それと一部の表現を変更
発覚したトラウマ半日足らずで克服
↓
自覚したトラウマを半日足らずで克服
ゴブリンの巣殲滅後、リンに見つかって、帰宅後のお説教が確定したけど、僕達はまだ町に戻ろうともしていなかったりしている。
理由は僕が殲滅したゴブリンから素材の回収をしているから。
ゴブリンから手に入る素材は魔石のみ。肉は食べられたものではないので放置。
この魔石だけど、全ての魔物に存在し、魔物の強さによって魔石の大きさも変るらしい。さらには武器や防具の元になるらしい。魔石を使った武器や防具は魔法の力を宿す事が出来るとの事。
まぁゴブリン程度の魔石だと集めるのも億劫になるぐらいの数が必要になるらしいけどね。
そんな魔石を集めているとリンが愚痴をこぼし始めた。
「ちょっと多すぎじゃない? 一体どれぐらいいたのよ?」
「どれぐらいだろうね? 戦闘に集中していたから数えてなかったしなぁ。上位種が何種かいたのは覚えているけど、それ以上は…」
「なんだか、ノゾムはやっぱり規格外なのだと、思い知らされるわ…」
リンは何故か深いため息をついていた。
ステータス以外は規格外のつもりないんだけどなぁ…。
「言っておくけど、自覚したトラウマを半日足らずで克服ってそこそこおかしいわよ」
またもや顔に出ていたらしくリンにつっこまれてしまった。
とりあえず、この話題から逃げる為に自分のステータスの確認をしよっと。
【名 前】 ノゾム・サエキ
【年 齢】 17歳
【種 族】 ヴァンパイア
【職 業】
【レベル】 3
【H P】 17867598/17867598
【M P】 57912863400/579128634
【筋 力】 7589431 (-99.7%)
【防御力】 6207259 (-99.7%)
【素早さ】 5988233 (-99.7%)
【命 中】 6542907 (-99.7%)
【賢 さ】 7321784 (-99.7%)
【 運 】 100~0
【スキル】
異世界言語 剣術LV1 火魔法LV1 水魔法LV1 風魔法LV1 土魔法LV1 氷魔法LV1 雷魔法LV1 無魔法LV1 魔法合成 気絶耐性LV2 直感LV2 観察 (違和感)
【固有スキル】
ヴァンパイア 吸血 再生
あれ? レベル上がってはいるけど、2しか上がってないってどうゆうことですか? あれだけゴブリンを倒したっていうのに…。もしかして違和感持ちってレベル上がりにくいとか? まぁそれでも数値は軒並み5桁超えたけど…。
良かったことは剣術のスキル覚えた事かな?最後の方は剣を扱うのに少し慣れたかな?って思ったけど、スキルのお陰だったようだ。
「ノゾムどうしたの? なんか遠い目しているけど?」
おっと、どうやら苦労に似合うだけのレベルアップをしていない事が顔に出ていたようだ。
「一応戦闘後だったからステータス確認したんだけど…」
「したんだけど、どうしたのよ?」
「レベルが2しか上がってなかった」
「まぁ、そんなものでしょう?」
これが普通なんだ…。最初だからもっとぽんぽんレベルが上がるものだと思ってたけど、やっぱりゲームとは違うか。
それから僕たちは残りの魔石を回収して、町にに戻る前に川を見つけ返り血などを洗い流してから町に帰る事にした。
もちろん宿に帰ったあとは日が変っていた事もおかまいなくリンの説教を日が昇るまで受けました…。
明日に控えた昇格試験の説明を受けるのと昨日のゴブリンたちの魔石を売る為にギルドへ行く事に。
「すいません、明日の昇格試験の説明聞きに来たんですが…」
「ノゾムさんこんにちは。昇格試験の説明ですね。少々お待ち下さい」
「あっ、説明の前にこの魔石買い取っていただけますか?」
僕は説明中に魔石の査定をしてもらおうと例の魔石を全部出してしまった。
それを見た受付の女の子が顔を引きつらせてしまった。
「こ、これは? い、いったい、どうしたんですか?」
このリアクションを見て、僕はやらかした事に気付いたけど、すでに取り返しがつきそうにないので、諦めて昨夜の事を話す事にした。後ろでリンがため息をついていたけど、聞こえなかった事にした。
「しょ、少々お待ち下さい。上の人を呼んできますので!」
説明を聞いた受付の子はさらに引きつった顔をして誰かを呼びに行ってしっまた。
15分ぐらい待っていると、受付の子が戻ってきた。
「お待たせしてすいません。申し訳ございませんが、私についてきたもらっていいですか?」
僕とリンはとりあえずついて行く事にした。
ついていった先は3階の一番豪華な扉の前に到着した。
そして、彼女は扉をノックして「お連れしました。」と中に声を掛けると、間を置かずに中から男性の返事が聞こえた。
「入ってくれ」
「…失礼します」
僕とリンも彼女に続いて部屋に入ると、ここは執務室らしい。立派な机に30代前半ぐらいの紳士っぽい男性が座っていた。男性は僕たちが入室すると僕とリンを軽く睨みつけてきた。
ゾクッ!
お、悪寒? 睨みつけられただけで? なんで?
悪寒を感じた僕は目の前の男性に警戒した。その警戒を感じ取ったのか男性は僕に話しかけてきた。
「どうしたんだい? いきなり私を警戒したようだけど? 何か感じたのかな?」
「っ!?」
あまりにも目の前の男性が的確に僕の感じた事を当ててくるので、使う気のなかった【観察】を使って調べる事にした。
【名 前】 カードス
【年 齢】 31
【種 族】 ヒト
【職 業】 双剣士
【レベル】 57
【H P】 4291/4291
【M P】 2763/2763
【筋 力】 3628
【防御力】 3023
【素早さ】 3872
【命 中】 2974
【賢 さ】 2631
【 運 】 27
【スキル】
双剣術LV7 速度強化LV6 体術LV5 縮地LV4 気配察知LV5 気配遮断LV4 風魔法LV3 看破 偽装
看破と偽装スキルを見つけた瞬間血の気が引いた。それを見た男性改めカードスは紳士らしくないいやらしい笑みを浮かべて僕に問いかけてきた。
「どうしたんだい? まるで見てはいけない物を見たような感じだけど? 『ヴァンパイア』くん?」
「「っ!!」」
ヴァンパイアと言われ、リンは臨戦態勢に入るけど、対して僕は色々と諦めたので質問してみた。
「確かに見てしまったかもしれませんね、カードスさん」
「ほぅ。一体どこでそれを調べた? 公にはなってないはずだが?」
カードスは名前を言われた瞬間から空気が変った。それまでの紳士的な空気が無くなった。
「すでに色々バレているようなので、隠しても無駄だと判断したので正直に言いますが、僕のスキルで調べました。それとこちらからもお聞きしますが、先ほどの悪寒の正体は看破のスキルですね?」
「偽装を見破るほどの【観察】か。普通ならありえないんだがな? それは置いておくか。それとお前の質問はそれで正解だ」
やっぱりさっきの悪寒はスキルの影響のせいか。それにしてもいきなりスキルを使ってくるなんて思わなかった。とりあえずは会話の主導権を握っておかないと。
「それで僕たちを呼び出してどうするおつもりですか? もうお分かりの通り、僕が全力で暴れたらカードスさんでも瞬殺できるんですが?」
「おいおい、落ち着けよ。こっちとしてもお前を敵に回すような事はしねぇよ。とりあえず座れよ」
僕は言われるまま机の前にソファーに腰をかけた。リンはいまだに戦闘態勢のままだったけど、僕が座っても大丈夫だと言うとしぶしぶソファーに座った。カードスも紳士的な雰囲気に戻していた。
「まぁ、回りくどい事はなしにして、呼び出した議題ついて、話すとしよう。ノゾム君、Dランク昇格おめでとう」
「はあぁ?」
いきなり言われたランクアップに僕は間の抜けた声で反応してしまった。
カードスはそんな僕におかまいなく話を進めていく。
「理由は、キミがゴブリンの巣を壊滅させた事を評価して、私が独断でDランクにした。考えてもみたまえ、200匹ほどのゴブリンを倒したのがFランクだなんて知れたら、他の初心者たちも、自分もできると勘違いしてしまうからね。その勘違いした初心者たちが、勝手にキミと同じような事をして死ぬ。それは不味いんだよ。若い芽を摘む事になってしまう。そうなるぐらいなら、キミがDランクだった事にしてしまった方が問題は少なくなるんだよ」
僕はカードスの説明を聞いているうちに多少冷静になったのでこれから言われるであろう事を先に口にする事にした。
「つまり、Dランクに上げたその代わりに明日の試験で何かしないといけないんですね?」
「話が早くて助かるよ。キミは明日Eランクへの昇格試験を受ける予定だったけど、対外的にはCランクへの昇格試験を受けてもらう事になるが、しかしその実態はこちらからの指名依頼を受けてもらう。もちろん依頼の報酬はしっかり払うし、成功すれば試験でもあるからCランクに昇格も出来る」
「色々聞きたいことがあるんですが、最初に依頼内容から聞いて後でまとめて質問するので、依頼内容を教えてください」
「分かったよ。それじゃあ依頼内容だけど、北の森でオーガが目撃された報告が挙がってきたので、これの調査、そして可能なら撃破してもらいたい」
オーガぐらいでこんな回りくどい事しなくても…
そう思った僕はその事も含めて聞きたい事を全て聞く事にした。
「それでは聞きたい事を質問していきますが、まず、僕たちは確かにヴァンパイア種族ですが、カードスさんは、種族的にも、立場的にもヴァンパイアに、こんな事してもいいんですか?」
「それなら問題ないよ。ギルドは種族差別はしないんだ。そんなことしている集団に自由都市なんて街は造れないよ。だからいくら世界的には忌み嫌われているヴァンパイア種族でも犯罪者でない限りギルドは差別しないよ」
前にリンが冒険者登録はするなら自由都市でするって言っていたけど、そういう事か。
「では次に、カードスさんはこのギルドでどれだけえらいんですか?なんとなく予想はつきますが…」
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。私はこのイーベの町のギルド支部のギルマスですよ」
イーべって言うのかこの町。そう言えばこの町の名前初めて聞いたような気がする…。そして案の定ギルマスか…。
「やはりギルマスでしたか。では次は、この依頼はなんで僕なんですか? オーガならCランクパーティーでも問題ないじゃないですか。あと断った時、何か問題は?」
一番の疑問はこれだった。いくら特例でDランクにしてもらっても、いきなりギルマスからの指名依頼ってのが分からなかった。
「断ったときはDランクの昇格はなし。代わりにこの町の冒険者全員にキミがヴァンパイアだと知らせなければならない。初心者にキミのマネをして無茶をさせない為にもね。そして、この依頼が君でなければならないのは、キミがヴァンパイア種族であるのも関係しているんだけど…」
拒否は出来ないか…。
リンは僕の隣でヴァンパイアだってバラすと言ったカードスを睨みつけている。僕はリンの肩に手を置いて彼女に向かって顔を横に振って睨むのを止めさせる。そして睨むのを止めたのを確認してから話を進める。
「何で種族が関係しているのですか?」
「正確には、ヴァンパイア種族であるが為に有しているその強大な戦闘力、だけどね。
話を進めるけど、森で目撃されたオーガって言うのが普通のオーガではないらしいんだよ。普通のオーガならCでも問題ないが、上位種ともなれば話は別だ。種類にもよるが、下手をするとAランクが出てこないといけなくなる。さらに言えば、オーガはこの辺りにはいないはずなんだよ。オーガの生息地はこのあたりだと北の森でも深部と呼ばれるぐらい深いところでこの町から徒歩で2週間ぐらい歩かないと行けない所だ。あと上位種なんて北の森には生息していないんだ。以上の事からとても強いキミにオーガの調査して欲しいんだ」
そうゆう理由なら確かに僕は適任だ。だけど、断れない今の状況は、カードス手のひらで踊っているようでやだなぁ。
「それなら、報酬とは別に幾つか条件を飲んでいただけるなら受けてもいいですよ?」
僕はそう言ってせめてもの抵抗として条件を提示する事にした。