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中盤~反撃開始~




 「どうだった? 私たちはノゾムにとってお荷物だった?」


 「…悪かった。リンたちは守られるだけの存在じゃなかった」


 リンの言葉に素直に頭を下げる。


 「でしょ?」


 「それにしても、いったい、いつの間にこれだけレベルを上げたの?」


 最後にステータスを視たのは、たしかイリスさんと出会った時だから、約4ヶ月前ぐらいかな? 普通に考えて、そんな短期間でレベル100を越えられる訳がない。


 「私、サキ、セシリアは、消えたノゾムを捜すためにひたすらダンジョンを攻略していたのよ。それこそ下級のダンジョンから上級のダンジョンまで。おかげで、ターニン近辺にあるダンジョンは、全て制覇したわよ」


 僕がフォーカスの師匠をしている間にリンたちは、ずっとダンジョンに潜っていたのか。


 「イリスとアイラは、自由都市にいる間に私たちと、かなりの頻度でダンジョンやら討伐依頼などをしていたからね」


 そう言えば、イリスさんはアイラさんからつきまとうな、とか言われてアイラさんとは別行動してたっけ?

 アイラさんも、ルージュのお守りから解放されてからは、よく外に出ていたな。


 「あれ? そうなると、ルージュは?」


 「あの娘に関しては私も分からないわ。ノゾムの方が詳しいんじゃない」


 う~ん。もしかして、従魔の経験値も加算されていたりするのかな?


 「いやぁ、僕もルージュだけは分からない」


 「そう? まぁ、いいわ。…じゃあ、私たちはそろそろ行くわ」


 「行く? どこに?」


 「そんなの決まってるでしょ? 転移陣のある場所よ。いい加減、この事態も終わりにしたいしね」


 何を言っているの? みたいな目で僕を見るリン。

 彼女たちは僕がいるいない関係なく、すでに転移陣の破壊を目指して行動を開始している。

 そんな彼女たちがここで足を止めてるのは、自惚れでなければ、僕を説教する為だろう。僕はまだ、彼女たちに見捨てられていないのだ。


 「…リン。今更かもしれないけど、転移陣を壊すの手伝ってくれないかな?」


 僕は、彼女たちから与えられたら猶予を生かすために頭を下げる。これからも彼女たちと仲間である為に。1人で何でも出来ると言う傲慢な考えをしていた自分と決別する為に。


 「はぁー。そんなのは当たり前。それよりも先に言うことがあるんじゃないかしら?」


 あからさまなため息をつくリンに、下げていた頭を上げ、彼女の顔を見てしまう。

 リンの表情はジト目で睨んではいるが、それは出来の悪い弟を見るような感じだ。

 …なんて言うか、こんな僕の傍にいてくれる経験がないから、なんかむずがゆいな。


 「1人で突っ走ってごめんなさい」


 「まったく。次はないからね、ノゾム。それに、この件が終わったら、みんなにも謝るのよ」


 「うん。そうだね」


 そう言って笑顔を見せてくれたリンは少しだけ、大人びて見えた。

 それの笑顔を見た瞬間、何故かアイツが最後になんて言いかけたのか分かったような気がした。多分、アイツは『いつでも頼ってくれ』と言おうとしたんじゃないかな? リンの笑顔を見ていると、そんな気がする。


 「それじゃあ、ノゾムへのお仕置きはこの件が終わってから改めてするとして、各転移陣の情報を話して?」


 「えっ? 今なんて?」


 リンの口から不穏な単語が聞こえた気が…


 「何でもないから、早く状況を話して。いくらみんなでも早くしないと抑えきれなくなるわよ?」


 「うっ」


 リンの一言に、追及の手を収めるしかなく、渋々各転移陣の事を伝える。




 「なるほどね。それでノゾムは、どうするつもり?」


 各転移陣の状況を聞き終えたリンは、これからどのように行動するのか訊いてきた。


 「東にある死霊系の転移陣は、イリスさんとアイラさんに任せようかと。他はどうしようか悩んでいるところ」


 「そこは妥当ね。けど、他を悩んでいる理由は?」


 「それは単純に人手不足」


 この場にいるのは、僕を含めて7人。そして転移陣は4つ。一ヶ所につき2人充てたいのだけど、どうしても1人足りない。みんなを頼ると決めたばかりで、僕1人で単独行動するのはあり得ない。どうしたものか…。


 「なら、私たちが1ヶ所受け持ちましょうか?」


 僕が頭を悩ませていると、突然声をかけられた。声がする方を向いてみると、そこにいたのは…


 「フリーシアさん!? それにフローラさんまで!!」


 リンの話ではフェルたちと海岸で獣人や船乗りたちを護衛していたはずの2人だった。


 「何やら手が足りないらしいじゃないですか」


 「1ヶ所は私たちに任せて、キミたちは残りをお願い」


 「けど、海岸の方はいいの?」


 2人の申し出はとても嬉しい。が、リンの言う通り、海岸の戦力が落ちるのは困る。


 「それなら大丈夫です。海岸の方は、私たちと共に来た冒険者だけで安定しましたので」


 フリーシアさんがリンの質問に答える。そう言えば、来たのはSとAランクって言ってたっけ。僕たちが来た時に遭遇した怪獣が出てこない限りは大丈夫か。


 「では、2人には南にある転移陣の破壊をお願いします。出現魔物はウルフ種や亜人種が中心です」


 「任せて下さい!」


 「お姉さんたち、頑張るね」


 転移陣の破壊を頼むと、2人は快く引き受けてくれた。


 「次は僕たちだ。東はさっき言った通り、イリスさんとアイラさん。西はセシリアとルー。北は僕とリンとサキの3人で」


 「ちょっと待って、ノゾム。どうして、私たちの北だけ3人なの?」


 各転移陣へと振り分け方に疑問を抱いたリンが、僕に質問を投げかける。


 「転移陣はリンとサキに任せて、僕はこの件の首謀者を捜そうと思うんだ」


 「…この島にいるの?」


 「確実にいる。徐々に強くなる魔物、戦いが長引くにつれて連携を多用してくるなど、指揮官がいるのは間違いない。多分、遠くを見れるようなスキルを所持していて、それを使って戦況に合わせて指示を出しているんたと思う」


 じゃないと、辻褄が合わない事態が幾つかあるからね。もしかしたら、最初から見られていたのかもしれない。帝国兵とかタイミングが良すぎたしね。


 「何処にいるか、分かるの?」


 「多分、ここから一番遠い、北の転移陣辺りだと思うから、その辺りを捜してみようかと」


 「ノゾムさん、それならフローラに任せればいいと思いますよ? 人や物探しにも有効な先読みの巫女ですから」


 「実際は見つける未来がないと視えないし、目的を持って未来を視ようとすると、色々制限に引っかかって、たいしては先は視れないよ? まぁ、やるだけやってみるよ」


 フローラさんのおかげで、闇雲に捜さなくてすむかもしれない。これば是が非でも、視えてもらいたいものだ。


 「…ん~。これは?」


 「どうでした?」


 一分ほど経った辺りでフローラさんが首を傾げたので、声をかけてみる。


 「ノゾムとサキが何処かに移動しているね? 影の向きからみて、北東かしら?」


 「そこにリンはいないんですか?」


 「いないわ?」


 途中で別行動をとったって事か? ん~。ここで考えても分からないな。ひとまずは、北の転移陣を目指せば、フローラさんが未来視で視た光景の謎も解けるだろう。


 「分かりました。とりあえず、さっき言った通りに動くことにしましょう」


 「ノゾムさん? 動くって言いますが、周囲は魔物で埋め尽くされてますよ? これを突破するのは骨が折れそうなんですが…」


 フリーシアさんがこのまま行動をする事に難色を示す。それでも、突破出来ないとは言わないあたり、流石SSランクと言ったところだろう。


 「大丈夫です。大半の魔物は僕が片付けますから」


 「片付けるって、簡単に言いますが…」


 「『暴食の闇(ブラックホール)』」


 フリーシアさんの言葉を遮る形で、ドーピングマジックを発動させる。

 幸い、媒体を埋めたおかげか、未だに地面の下にあった為、ドーピングマジックは問題なく発動した。

 そして、強制的に黒く染まった地面に引きずり込まれていく魔物たちの悲鳴が響き渡るなか、僕はフリーシアさんの方へ視線を向けると、そこには引き攣った笑みを浮かべている彼女がいた。


 「相変わらずとんでもないわね」


 「やっぱり、ノゾム君はバケモノだよね」


 「ご主人様、大丈夫ですか?」


 「主様、彼女たち固まってるわよ?」


 「望君、またとんでもないモノを創ったわね」


 「ご主人様~! 私の獲物奪わないで下さいよ~!!」


 魔物が一掃されたので、サキたちも僕たちの傍へと戻ってきた。

 ちなみに、さっきのセリフは、リン、サキ、セシリア、イリスさん、アイラさん、ルージュの順だ。セシリアとイリスさん以外は好き勝手言っているので無視をして、これからの事を手短に伝える。全員、特に反対意見も出なかったので、さっさと動く事にする。じゃないと、せっかく殲滅した魔物が、また元に戻っちゃうからね。


 「それじゃあ、ここから反撃といきますか!」


 『おお~~~!!』

ありがとうございます。


今の内に断っておきますが、フリーシアさん、フローラさんの戦闘シーンはカットします。もしかしたら、別の所で出番があれば、その時は書きたいと思います。

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